組織経営の進化形態とは?人材採用「超」進化論 事例詳細|つなweB

よい組織には優れた人材が集まってくる

「採用」と「組織改善」はセットで考えるべき課題と言えるでしょう。優れた人材がいればよりよい組織をつくることができ、よい組織ができれば優れた人材が集まってくる。これは、多くの方が肌で実感していることではないかと思います。

では、どんな組織に優秀な人材が集まるのでしょうか? そう聞かれたら多くの人が「一人ひとりの能力を最大限に活かす組織」と答えるのではないかと思います。かつてのように、社のメンバーが自らの個性を殺し、歯車のように働く組織は、うまくいかなくなってきています。この考え方は当然のことながら採用にも反映されており、「自分の能力を活かせる、あるいは活かしてくれる組織かどうか」は、エントリーしてきた人物がもっとも気にかける項目の一つとなっています。

会社の組織をどんな方向に進化させていくべきか

では、どういった組織形態を目指すべきなのでしょうか。それを考える際に役に立つのが、図04です。これは「組織経営の進化形態」と呼ばれる図で、下から上に向けて進化していく様子を示しています。

04 組織経営はどう進化するか
「組織経営の進化形態」下記参考より翻訳および一部加筆
(参考『Reinventing Organizations - A brief introduction- Gemma HornosCirera』 https://es.slideshare.net/gemma12/reinventing-organizationsillustrated- ppt)

一番下の「オオカミの群れ」(マフィアとかストリートギャングといった言葉が記されていますね…)は「軍隊」に進化することで組織化されますが、そこで重視されるのは上意下達の命令であり、個人の意志が入り込む余地はほとんどありません。それが「機械」にまで進化すると、個人をベースとしたイノベーションが生み出される余地が生じます。ただし、そこではまだ、ヒエラルキーが重視されています。

機械から一歩踏み出し、「家族」になると、より多様性が尊重され、個人の裁量が重視されるようになりますが、最上位の「生命体」にまで進化すると、裁量はそれぞれの個人に完全に委ねられ、経営者の役割は組織の中を良くすること、つまりそれぞれの構成メンバーが最大限の力を発揮し成長するための環境づくりに限られていきます。会社は経営者のものではなく、会社に所属する全員のものになるというわけです。

実際にアメリカなどではこの図の上位にあてはまる組織形態を持った会社が成果をあげ、より成長するといった傾向が現れているのですが、その理由はまさに、“優れた人材が集まるから”なんですね。一部のスタートアップ企業などは、優れた能力を持ったメンバーを集めることを優先して行い、そのメンバーの特性を見ながら、どんな事業を行うかを決めるといったやり方をとるほどです。事業目的よりも、人を中心に考えるというわけです。

日本でも遅ればせながら、この図の上位にあるような組織形態をもった企業に優秀な人材が集まるようになってきています。

組織の改善は一朝一夕にできるものではありませんが、こういった進化がより優れた人材を集め、成長をもたらすのだ、ということを頭に置いておくといいでしょう。

小泉森弥
※Web Designing 2018年8月号(2018年6月18日発売)掲載記事を転載

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