GA4の新機能を5つのポイントで理解する 事例詳細|つなweB

デジタルマーケティング環境の大きな変化に対応する形で登場したGoogleアナリティクス 4。実際にはどんな特徴を持っているのでしょうか。

 

【POINT01】オムニチャンネル対応

Webとアプリの統合計測ができるようになった

こからは、GA4の特徴の中でも、特に注目したいポイントを5つ紹介したいと思います。いずれも重要な点ですので、しっかりと押さえておいていただきたいと思います。

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UAとGA4で大きく変わった点としてまず知っておきたいのが「計測対象」です。UAは対象がWebサイトに限られているため、スマホアプリのデータも扱いたいという場合は、「Googleアナリティクス for Firebase」のような専用ツールを別途用意する必要がありました。その点、GA4は両者の計測を統合して行えるようになり、利便性が大きく高まりました。

レポート画面を見てみると、GA4には「データストリーム」という項目が追加されたことがわかります(右図)。そこを見ると、「 Webサイト」や「iOSアプリ」「Androidアプリ」と、それぞれのデータが計測できるようになり、OS別、アプリ別のデータを確認できるようになったことがわかります。Webサイトとスマホアプリそれぞれ用意している場合でも、計測が非常に容易になったと言えます。

これまでWebサイトとアプリの計測を別々に行っていたり、マーケティング施策そのものを別々に行っている場合は、これを機に統合を検討したいところです。

プラットフォームごとの比較

GA4では、データストリームの中にweb、iOS、Androidと、それぞれのデータが並び、折れ線グラフで変化の様子を比較検討できるようになりました

 

【POINT02】フルジャーニー & LTV

セッションスコープからユーザースコープへの転換

UAとGA4のレポート項目を比較してみると、「リアルタイム」「ユーザー」については変化がありませんが、「集客/行動/コンバージョンレポート」の部分が大きく変わっています。

ここからわかるのは、GA4ではライフサイクルの中での集客やエンゲージメント収益を重視するようになった、ということです。つまり、GA4は、セッションごとの売り上げを重視していたUAとは一変し、ユーザーを軸にした計測、さらにライフサイクル全体を見ることを重視したツールになったと言えるでしょう。

ユーザーとの接点となった流入経路はどこか、そこから何回訪問してくれたか、どこでコンバージョンをしたか、さらにはLTVがその後どう上がっていったか。こうしたカスタマーのジャーニーをもとにした分析もできるようになっています。LTVについては下で紹介している通り、グラフで確認することもできます。

これまでUAを使っていて、セッションごとの「直帰率」と「コンバージョン率」を重視していた場合は、考え方の大幅な転換が求められるようになると言えるでしょう。

ユーザー軸の分析

GA4では、データストリームの中にweb、iOS、Androidと、それぞれのデータが並び、折れ線グラフで変化の様子を比較検討できるようになりました

 

初回購入金額を100%としたLTV増加の模式図

GA4では、ユーザー軸で見たときのLTVの増加を重視しており、このようなグラフで確認できるようになっています

 

【POINT03】予測とアクション

機械学習の力を活かした予測が可能に

3つめのポイントは機械学習の採用です。先ほども触れましたが、機械学習とは、大量のデータを学習させることで規則性や関係性を見つけ出し、予測や判断をする技術のこと。GA4ではこれを利用して、解析結果を次のアクションに利用できる仕組みを実現しています。

具体的には、GA4は収集したデータを分析して、「7日以内に購入する可能性が高い」ユーザーや既存顧客であるとか、「28日以内に利用額が上位になる」と予測されるユーザー、さらには「7日以内に離脱する可能性が高い」ユーザーや既存顧客などを見つけ出して、それをGoogle広告のターゲティングに活用できるようになっています。

ただし現状で、この機能が使えるのは7日以内に1,000人以上のコンバージョンがあるECサイトに限られており、例えばお客様からの「お問い合わせ」をコンバージョンとしているサイトでは利用できないなど、発展途上といったところです。ただし、Googleからすればこの機能を充実させることは、Google広告の利用者を増やしていくことにつながります。将来的には誰にでも使いやすい進化させていくことになるのではないかと思います。

予測オーディエンス

GA4では機会学習を利用し、収集したデータを自動分析して「予測オーディエンス」というグループをつくります。この結果をもとに「購入が近い」であるとか、「LTVが高まりやすい」ユーザーなどを見つけ出し、Google広告のターゲティングに活用できます

 

【POINT04】データ活用

データの活用がより柔軟に

集計結果を見る場合、UAでは画面上に表示されるレポートや表を見ることしかできず、集計前の数値を利用するには、高度なカスタマイズをするか、有償版の「Googleアナリティクス 360」を利用するしかありませんでした。

しかし、GA4では無償版を利用しているユーザーも「Google BigQuery」との連携が行えるようになり、元データをエクスポートできるようになったため、手元で詳細な分析をしたり、グラフ・表をつくることが容易になりました。

例えば、GA4で収集したデータと、オフラインで管理している「会員データ」や「実店舗での売り上げデータ」をマージして分析するといったことにも取り組みやすくなりますし、「Tableau(タブロー)」のようなBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)を使って、これまで以上に踏み込んだ解析や、ビジュアル化をするといったことも可能です。

GAで収集したデータをより幅広く活用できるようになったというわけです。

BIツールの活用

BigQueryを利用することで、計測した生データを活用できるようになるため、BIツールを使ったデータ活用なども容易になります(図はTableauでの作図画面)

 

【POINT05】クッキーレス

ユーザーの識別精度の向上が図られる

UAでは、ユーザーの識別を基本的にクッキーで行っていましたが、クッキー規制(クッキーレス)が進むことで、その精度が下がることが予想されます。

GA4ではより精度の高いユーザー識別の方法として、まず第一にUser ID(会員ID、ログインIDなど)を利用します。自社サイトに会員としてログインしてくれていれば、PCやスマホを行き来している状態でも、ユーザーの識別が可能になるというわけです。

User IDが利用できないサイトでは、その代わりとして「Googleシグナル」を使うことができます。Googleシグナルとは、ユーザーのGoogleアカウントを利用して識別情報を取得する仕組みで、PC、スマホの両方の環境でGoogleアカウントでログインしているユーザーについては、識別が可能になります。

GAではこれに加えてクッキーも利用しますが、なんといっても自社サイトで会員登録をしてもらうということが非常に大事になります。この点、これからの取り組みとして大きな課題になっていくでしょう。

UAとGA4 ユーザーの識別方法の違い

クッキー規制の影響もあり、UAとGA4ではユーザー識別の方法が大きく変わります。今後はユーザーに会員登録をしてもらうことが重要になります

 

まとめ
★GA4の大きな特徴をあらためて表にまとめました。要チェック!

 

 

Text: 小泉森弥
※Web Designing 2022年6月号(2022年4月18日発売)掲載記事を転載