Webサイトの数値目標でありがちな「落とし穴」 事例詳細|つなweB

 

後になって気付く大きなミス

Web担当の方に、ぜひ頭に置いておいてほしい点があります。それはWebの数値目標を立てる際には、いたるところに「落とし穴」が潜んでいて、はまってしまう人が実に多い、という点です。では、その落とし穴とはどんなもなのでしょうか。わかりやすい事例が「価格設定」の場で現れます。

自社の商品やサービスの価格設定には、通常、仕入れ価格や販管費などの原価をもとに決める考え方と、競合する製品やサービスの価格を見ながら戦略的に決める考え方があります。一般的には、その両方の要素を踏まえて価格決定を行いますよね。

ところがWebの場合は、自社の原価構造だけを鑑みて価格を決めてしまう会社が多いんです。たとえば「単価が○円で粗利が△円、受注率は□%だから、お客様を1人呼んでくるのにかけられる予算は5,000円までだね」といった具合です。この時、1人を呼び込むための広告のクリック単価はいくらか、といったような広告市場の状況については、なぜか置き去りにされてしまいます。もし実際のクリック単価が3万円だったら…。計画は瞬く間に暗礁に乗り上げてしまうでしょう。

また、コンバージョンレートをなぜか5%に設定して計画を立案していた、という事例もありました。一般的にコンバージョンレートはおよそ1%程度が目安ですので、5%というのはあまりにも現実味のない数字です。この場合も計画はすぐに頓挫してしまうでしょう。

 

最悪の事態になる前に勇気を持って修正を

ここまで読んで、「そんなバカなことがあるか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。なぜなら、市場状況に対する配慮を欠いた価格設定など、通常ではありえないからです。ところが、Webとなると、そういった目配りができなくなってしまう企業が少なくありません。そこにはWebマーケティング業界における平均値の情報収集不足や、さらにはWeb担当と営業部門のコミュニケーション不足などの複合的な要因が絡み合っていると思われます。また、かつての未成熟だった頃のWeb業界のイメージを引きずって、現在の複雑な構造を甘く見ているといった理由もあるような気がします。

いずれにせよ、実現不可能な計画がそのまま進んでしまったら大変です。目標を達成できる可能性は低く、皆が苦しむだけ。すぐにでも修正をかけ、できればWebマーケティングに詳しい人、あるいはコンサルタントに相談をしてみることをおすすめします。

Webで陥りがちな価格設定のミスはこうして防ぐ
現実世界では当たり前のことがなぜかWebではできなくなることがある。価格設定時には自社の都合だけでなく、市場の概況にも目配りを。
教えてくれたのは…
ソウルドアウト 松原拓也さん
小泉森弥
※Web Designing 2017年12月号(2017年10月18日発売)掲載記事を転載

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