顧客体験(CX)向上施策がうまく効いているかどうかは、何らかの指標で管理する必要があり、多くの企業が採用しているのがNPS(ネット・プロモーター・スコア)である。「満足したか」ではなく、「薦めたいか」という質問は、たしかに体験の総合評価としてシンプルで使い勝手がよい。
その企業やサイトを「友人や同僚に薦める可能性」について、0(まったく思わない)から10(非常にそう思う)の11段階スケールを用いる。9と10をつけた人(プロモーター=推奨者)の比率から0~6につけた人(デトラクター=批判者)の比率を引いたものがNPSスコアである。ネットは「正味の」という意味で、-100から+100までの値をとる。
はじめてNPSを導入する企業の多くは、スコアがマイナスになることに驚くだろう。11段階の真ん中「5」は回答者にとって良くも悪くもないという気持ちだろうが、NPSでは「批判者」としてマイナスに扱われる。日本人の回答が無難な中央に集まりがちであることは多くの実験や国際比較で明らかになっている。
そこで頼りになるのが業界内比較だ。NPS事業を扱うNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションは業界別に自主調査を行い、主要企業の平均や分布を定期的に発表している。これを見ても、多くの企業やサイトのNPSはマイナスだ。逆に米国のベンチマークでは多くがプラスとなる。グローバル比較で日本法人だけいつもマイナスで肩身が狭いという話も聞くが、同情せずにはいられない。
NPS活用はスコアそのものではなく、継続的に調査してその変化を見ること(トレンド分析)、業界平均や他社と比べて相対的に評価すること(ベンチマーク分析)、顧客特性やグループで分けて比較すること(セグメント分析)の3つが重要だ。頭文字をとり「TBS」と覚えておくとよい。

https://www.nttcoms.com/service/nps/report/
- Text:萩原雅之
- トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/