最適解だけでなくユーザーにとっての「快適解」も重要! 事例詳細|つなweB

最適解とは?

最適解とは、ある問題や課題において、最も望ましい結果や解決策のことを指します。最適解は、与えられた制約や条件の下で、最大限の利益や効果をもたらす解決策です。最適解は問題や目的によって異なる場合がありますが、一般的には最も効率的で満足のいく結果を示します。最適解を見つけるためには、問題を適切に分析し、可能な解の中から最適な選択を行う必要があります。

近い意味「正解」もありますが、こちらは一つの明確な解(答え)が存在する場合に適しています。たとえば算数の問題で「1+1はいくつ?」という問題に対する「2」という答えは「正解」です。一方「最適解」は、複数ある解の中から、もっとも正解に近いものを選ぶというものです。

Text:つなweB編集部

「最適解」だけじゃない! ユーザーを良い気持ちにさせる「快適解」や「誠実解」

日本経済がなかなか回復しないなかで、ネット広告業界は堅調である。日経広告研究所によると、2020年度の広告費は外出制限による消費低迷やオリンピック延期などの影響で、マス4媒体がマイナス16.1%と大幅に落ち込む一方、ネット広告費は3.6%のプラスであった。2021年度は半年前の予測が上方修正され、ネット広告は20%以上の成長が見込まれるという。大きく落ち込んだマス4媒体広告もプラスに転じる予測となっている。

皮肉なことにマス広告、特にテレビCMを支えているのはネット企業だ。アプリやサービスの知名度を上げ、検索してもらうのが目的なので、CMではサービスの名前や機能の連呼が目立つ。懐メロや童謡の替え歌が多いのも記憶に残りやすいからだ。1980、90年代に広告が文化としてクリエイティブを競っていた時代から様変わりだ。当時は「気持ち良いな」「この企業好きだな」と思ってもらうことも大切なCMの役割だった。

ネット広告はクッキーによる個人の閲覧履歴、行動履歴のデータに基づいて精度の高いターゲティングを訴求し成長してきた。人工知能も活用しターゲット精度をより高める技術として進化してきた。Webやアプリにおける私たちの広告体験はより便利で快適になるはずだが、そう感じる人はどのくらいいるだろうか。統計としてのネット広告拡大とは裏腹に、押し売りのような広告であなた自身の体験はむしろ悪化してはいないだろうか。

クッキーとデータ活用は売上を伸ばすという最適解をもたらすことはできるが、過度のターゲティングは多くのユーザーをうんざりさせてきた。クッキーレスで生まれる制約は、広告のあり方を見直す機会になるかもしれない。データに基づく最適解だけでなく、ユーザーを良い気持ちにさせる快適解や誠実解だってあるはずだ。

グラフ内の点線箇所は予測部分を示す。マス4媒体広告費の予測で、重なっている2020年は、2月予測が「-16.0」で7月予測修正が「-16.1」 出典:日経広告研究所「広告費伸び率の実績と予測」より(2021年2月および7月に発表)
https://www.nikkei-koken.gr.jp/research/2388/
https://www.nikkei-koken.gr.jp/research/2038/
Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/
萩原雅之

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