LinkedInが日本のビジネスパーソンをグローバル化する 事例詳細|つなweB

LinkedIn(リンクトイン)は「仕事のためのソーシャル・ネットワーク」である。世界中のビジネスパーソンが詳細な自分の経験やスキルを書き、仕事のパートナーを探し、同じ業界やプロフェッショナル同士で情報や意見を交換している。全世界で5億人以上が登録するビジネスに不可欠のプラットフォームだが、なぜか日本では知名度、利用者ともにきわめて低い水準にとどまっている。

検索機能を使って居住国別にアクセス可能な登録者数をみると、米国が1億4,900万人でもっとも多く、中国も4,000万人が利用しているが、日本はわずか170万人にすぎない。人口比でみれば、他のアジア諸国にも見劣りがする。これは日本居住の外国人ビジネスパーソンも含むので、日本人の登録者はさらに少ないだろう。現在の勤務先別にみてもIBM、Apple、P&Gなどグローバル企業では10万人以上が登録しているところが珍しくないが、各企業とも日本の比率は1%前後のところが多い。

海外では実名によるプライベートな交流はFacebook、ビジネスに関するコミュニケーションはLinkdInと明確に使い分けるのが一般的だ。外国人ビジネスパーソンが、日本人と名刺交換した後にFacebookで「友達」申請をすることに驚くという話はよく聞く。普及が進まない理由として、職務経歴を公開することへのハードルや転職市場の特殊性などが指摘されるが、英語ができる人たちのためのサービスと思われている側面もある。

LinkedInを日本のビジネスパーソンが使いこなせるようになれば、仕事の進め方や採用プロセスなどが大きく変わる可能性がある。そのためにも日本の登録者はもっと増えなくてはならない。それはLinkedInの課題だけではなく、日本人のグローバル化にも必要なことだ。

左のグラフと右の表は、2018年5月末時点のLinkedInでの検索表示数をもとに、筆者が作成したもの(グラフ内数値の端数は四捨五入)。 出典:LinkedIn 
Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/
萩原雅之
※Web Designing 2018年8月号(2018年6月18日発売)掲載記事を転載

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