コンテンツマーケティングの費用対効果 事例詳細|つなweB

世界最大規模のコンテンツマーケティングカンファレンス「Content Marketing World」を運営するContent Marketing Institute(CMI)は、北米企業のコンテンツマーケティング担当者を対象に、運用の実態や費用対効果(ROI)に関する調査も行っている。

昨年12月の最新調査では、効果をみる指標(メトリクス)として「エンゲージメント」、「見込み顧客(リード)数」、「会社全体の売上」、「顧客獲得コスト」の4つを挙げているが、日本においても同様の指標を重視している企業は多いはずだ。

「エンゲージメント」は、コンテンツに対するクリック数、いいね数、シェア数、あるいはそれらをインプレッションで割った比率で出すなど、定義は異なるものの、比較的測定しやすいこともあり、79%の企業が効果を実証できる(demonstrate)と回答。逆に効果測定が難しいのは「顧客獲得コスト」で、指標化できているのは34%にとどまる。広告など他の顧客獲得施策や自社サイト運営との切り分けが難しいことも理由だろう。

また、マーケティング全体予算に占める比率をみると、すべて(100%)をコンテンツマーケティングに当てている企業があれば、まったく費用をかけていない(0%)企業もあり、ばらつきが大きい。費用が「わからない」という企業も3分の1を占めており、これではROIの算出は難しい。

コンテンツマーケティングは、顧客とよい関係をつくり、収益につながる行動を起こしてもらうことが目標とされ、扱うコンテンツ形式やチャネルも多岐に渡る。コンテンツマーケティングがマーケティング手法として定着するには、魅力的なコンテンツやクリエイティブ開発にとどまらない。「どの手法が、どのくらいの成果につながっているか?」を客観的な数字で示すことが、次の課題となる。

Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/
萩原雅之
※Web Designing 2018年6月号(2018年4月18日発売)掲載記事を転載

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