「Facebook月間利用者20億人」という数字への信頼 事例詳細|つなweB

Facebookの全世界での利用者数が20億人間近である。米Facebook本社の四半期レポートによれば、2017年1Q(第1四半期、3月31日時点)のMAU(1カ月あたりのアクティブユーザー数)は19億3,600人、中でもアジア太平洋エリアの利用者数が7億1,300万人でもっとも成長が著しい。DAU(1日あたりのアクティブユーザー数)は12億8,400万人で、月間利用者の60%以上が毎日使っていることになる。このDAU/MAUは定着度をあらわず指標として重要で、毎年着実に増加しているのがわかる。

ネットビジネスにおいて、どのくらいのユーザーが実際に利用しているか(アクティブであるか)は、もっとも基本となる指標だ。海外企業はこのあたりの開示がしっかりしている。数字を誇張したりデザインに凝ったりすることがなく、シンプルな時系列データを地道に公表している。

日本でこのように定期的にアクティブユーザー数を発表する企業は少ない。スマホアプリの累計ダウンロード数などは自慢げに発表されるが、使わなくなるユーザーは多いのだから、あまり意味がない。また、定義のよくわからない「視聴数」や「アクセス数」といった言葉が今でも使われる。メディアやユーザーが勝手に誤解してくれるのを期待しているようにも見える。背景には、このような指標の発表について、多くの企業が「PR」の一環として考えている現実がある。

正確なMAUやDAUは外部からはわからないので、当該企業が発表するしかない。Facebookの20億人という数字を第三者が信頼するのは、開示情報を通してFacebookのビジネスの実態がきちんと可視化されているからである。利用状況データについても、財務データと同じくらいの厳密さで開示することが、日本のネットビジネス全体の信頼につながるはずだ。

Facebook四半期報告書より作成。各年とも3月末時点の実績値。DAUとはデイリーアクティブユーザー、MAUはマンスリーアクティブユーザーを指す 出典:Facebook Reports First Quarter 2017 Results(2017年5月3日) https://s21.q4cdn.com/399680738/files/doc_financials/2017/FB-Q1'17-Earnings-Slides.pdf
Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/
萩原雅之
※Web Designing 2017年8月号(2017年6月17日発売)掲載記事を転載

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