【数字とビジネス】数字を読む力を身につける 事例詳細|つなweB

 

ざっくりと数字を読む力を身につける

「数字は厳密なもの」という印象が、仕事上で数字と付き合う際の弊害になっているケースが見受けられます。学校で習った算数や数学の影響ではありますが、学校での数学と「ビジネス数学」との大きな違いは、ビジネス数学は理論ではなく、実践中心であること。そして、概算が重視される場合があり、唯一の正解が存在するわけではない、ということです。必ずしも厳密に取り扱う必要がないのですから、大雑把に数字を捉える力、「把握力」を身につけることは、仕事改善の足掛かりになります。

冒頭の計算ミスの例ですが、「1万円に含まれている消費税はいくらですか」と聞いたときに、「125,000円」と答えた人がいました。電卓の入力ミスで「10,000÷8%」と計算したために生じたミスです。1万円の内税の8%が1万円より大きいはずがない、という数字に対する違和感が働いたら防ぐことができました。仕事の中の数字には必ず実体があります。お金であれば、これくらいの金額感という実体があり、納期であれば、これくらいの時間の長さという実物がある。数字の裏側にある、その実体をイメージすることを日々意識し続けることで、おかしな数字にパッとひと目で気づくことができます。また、不必要な計算をする手間も省け、計算の速度も上がります。上の「Quiz」がその最たる例です。数字の裏側にある実体をイメージするとはどういうことか、体感してみてください。

 

把握力がつけば、駆け引き上手にもなれる

クライアントに見積もりを提出するときにも、大雑把に数字を把握し、示す力は有効です。たとえば「このプランから、これを外すといくらになる?」と、駆け引きを持ち掛けられる場合です。数字の裏の実体をイメージできていれば、その場で「おおよそ100~150万円くらいです」と、想定さる範囲を提示し、相手にボールを投げることができます。「持ち帰って、検討します」では、仕事効率が下がります。駆け引きの場では、先手必勝。自分のリズムでやり取りをするために、プランや見積もりは3つ、松竹梅で表せば、オプションてんこ盛りの「松」、適正内容の「竹」、リーズナブルな「梅」を事前に用意して臨むというのも有効です。

[Quiz]次の5人で、BMI25.0以上の肥満と診断されたのは何人?30秒で答えてください。
[解説]数字から、肥満かどうかイメージできるかがカギ。175?、55?くらいの中肉中背タイプであれば、おそらく肥満ではありません。そのイメージを元に5人の数値をみたところ、明らかに肥満ではないのは、B氏、D氏、E氏。残るA氏、C氏の2人分の計算で答えがでます。答えはA氏の1人だけです。
八波志保(Playce)
※Web Designing 2017年12月号(2017年10月18日発売)掲載記事を転載

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