Uターンでフリーランスに。地元案件の積極受注で取引増&地域貢献 事例詳細|つなweB

(1)現状と地方に拠点を持つようになった背景について

岐阜県高山市(飛騨高山)を拠点に、持ち家の空き家をリフォームして1部屋を作業スペースに。基本は1人で作業し、案件ごとに複数人でネットワーク越しに連携しています。

実家が祖父の代から飛騨春慶塗(ひだしゅんけいぬり)の製造販売を営み、父親の大病をきっかけにUターンを決断。Web制作界隈の業務と並行して、家業は新たなブランドを立ち上げるなど、少しずつ手伝う状態です。当時は、東京での生活の区切りも考え始めた時期で、流行の最先端をつかめる環境に満足しながら、もう少しゆとりがある、地方により良い生活を求めるようになってきました。2018年には娘が生まれて、家族や育児の理由も加わりました。

地元にいる今は、プライベートで周囲に頼れる人がいて助かります。Uターンに理解のある取引先、仕事仲間、そして家族の支えがあり、関東圏の仕事を引き継ぎながら、リモートワークしやすい立場を活かしています。

 

(2)地方での活動を支える仕組みは?

基本はUターン前と同様で、仕事仲間にも取引先にも電話やメール、SlackやChatworkなどのチャットツールでやり取りしています。必要に応じてビデオ会議や上京しての打ち合わせですが、年に数回程度です。

また、移動を考えると地方では車が必須。大学生時代に自動車免許を取得したまま10年近く車の運転をしていなかったので、Uターン前に自動車学校でペーパードライバー講習を受講、運転感覚を取り戻しておきました。

 

(3)地方に拠点を置く上での、地域貢献については?

飛騨高山は、外国人が多く訪れる国際な観光都市で、街中に住む人たちの多くは観光業に携わっています。実家も伝統工芸品を販売する観光業の1つですので、そのつながりから地元案件のみならず、官民一体となった観光イベントや野外音楽イベントの案件にも携わる機会があります。

地元での案件はすべて地域貢献に直結すると考え、多少予算が厳しくても積極的に受けています。

 

(4)地方に拠点を持つメリットや成果について

Uターン前の関東での取引先に加え、地元での取引先も増え、案件数は10~15%ほど増加。さらに実家の伝統工芸の仕事も兼務し、体感では忙しさが増しました。関東でのフリーランス時代と比べると、売上は毎年ほぼ同一で推移していますが、物価が安く、生活レベルがある程度下がったので、出ていくお金が大きく減り、Uターン前より生活資金に余裕が出ている状況です。

 

(5)地方に拠点を持ったからこその気づき、注意点は?

一概に言えませんが、人付き合いやクチコミが優先され、Webサイトやデジタル対応の需要を感じていない相手が多いです。優先順位が高くなく、無料のブログやホームページ作成サービス、SNSの運用だけで満足する人が多いです。特に個人や中小企業がクライアントの場合、規模や予算が関東圏と大きく異なります。

都会での学びや経験を地元に還元したい場合、そのままを持ち込むだけでは通用しません。地域の特性や求められていることを調査したほうがよいでしょう。

遠藤義浩
※Web Designing 2019年10月号(2019年8月17日発売)掲載記事を転載

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