制作会社との契約内容の見方とチェックポイント 事例詳細|つなweB

要件定義が固まって自社と制作会社の合意が取れたら、業務委託契約を結ぶ作業になります。契約にはいくつか種類があり、明記しておかないといけない内容もありますのでチェックが必要です。

 

制作会社との業務委託契約には、大きく分けて2種類があります。1つは「基本契約」と呼ばれ、自社と制作会社、双方の事業者が取引を行う上で必要な約束事を記すもので、契約を結ぶ制作会社にお願いする案件ならば本件以外でも基本的に適用されるものになります。

もう1つは「個別契約」で、基本契約の上で個別の案件にまつわる金額や作業内容、納期などの条件を定めるのに使われます。これだと、初回の契約に2つ以上の契約書を用意する必要が出てきますが、今回のWebサイトの制作後に発生する保守管理や改修、リニューアル、さらには別件のWebサイト制作などの業務を新たに依頼することになった場合、その依頼内容に関する条件だけ記載すればよく効率的です。継続的なお付き合いを考えているなら基本契約と個別契約の併用がおすすめです。

一方、案件ごとに契約書を作成するという方法もあります。これは一番最初の契約から1つの契約書作成で済むので時間は短縮できますが、その後契約書に示されていない何かしらの作業が発生するたびに一つひとつ契約書をつくり締結作業をしなければいけないという負担があります。

 

 

それ以外にも締結すべき契約があります。企業の機密情報を保護するための「秘密保持契約(NDA)」。発注前でも自社から情報を提供する際には事前に取り交わす必要があります。システム開発が伴うなら、「保守契約」というものもあります。問題が発生した場合や、当初のシステム内容の改良を求めたい場合に対応してもらう旨を示したものです。また、Webサイト制作は業務内容的には「情報成果物作成委託」に含まれ、「下請法」の対象になりますので、発注者は発注内容の書面での交付と、下請取引内容を記載した書類の作成が義務付けられます。

そして、もう1つ重要なのが「著作権」です。たとえ自社が発注してつくられたWebサイトでも、著作権は実際に作成した制作会社が持っています。例えば制作の過程でロゴマークやキャラクターなどが作成された場合やカメラマンにお願いして撮影された会社外観などは、基本的にはそのWebサイト内で使用できるものであり、自社の他のWebサイトや販促物、印刷物に使用すると著作権侵害になってしまいます。今回のWebサイト制作において作成された成果物の著作権はどちらに帰属するか必ず確認しましょう。

 
※Web制作・運用バイブル 2022(2021年11月8日発売)掲載記事を転載