Web制作プロジェクトの成否は「要件定義」にあり。雑誌『Web Designing』、株式会社LIGが提供する『LIGブログ』とのコラボ連載「どうする要件定義」では、発注者と受注者が「後でモメない」要件定義のポイントを紹介します。
「要件定義」という言葉、耳にしたことがあるという人は多いと思います。では、要件定義とはそもそも何か、具体的にどうすればいいか答えられますか?本連載では、Webサイト制作の要ともいうべき要件定義について掘り下げていきます。つなweBでは発注サイドの視点から解説します(制作サイドの視点でまとめた記事はLIGブログで公開中)。
監修
コストと見積もりの考え方
登場人物
プルルルル…ガチャ
あー、昨日お送りいただいた概算見積もりなんで すけれど……。もうちょっとどうにかなりませんか?
相場は全然わからないけど、なんだか高い気がするんだよね……。
もうちょっと……ですか? 業界としてはそんなにおかしな金額ではないのですが……。
金額交渉かぁ……。正直しんどいなぁ
そもそも、ディレクション費用ってなんですか? デザイン費やコーディング費なら、まあわかるんですけど。
あ、予算ってどれくらいだろ。誰かに聞いておけばよかったなぁ
ええーっと…弊社では伝統的に入れる習慣になっていまして…。ちなみに、全体でどれくらいの予算感をイメージしていらっしゃいますか?
そういえばディレクション費用って、なんの費用なんだ?
あー…。そうですねぇ、どれくらいの予算が妥当なんでしょうね? 教えていただけますか?
それがお送りした概算見積もりなんですが……。
……どうしましょう?
……どうしましょう?
Webサイトの見積もりに含まれる項目や費用の根拠を確認しよう
今回は、Webサイトの費用についての考え方と、見積書の依頼方法/作成方法について述べていきます。
見積もりの内容やフォーマットは制作会社によってさまざまですが、LIGの場合、Webサイトの要件定義費と制作費を別々にお見積りすることが多いです。要件定義を通してプロジェクトの目的に応じた最適な実施内容・制作物を見極めた結果、制作費を再算出する可能性があるためです。
制作費の見積書には、デザイン費やコーディング費といった内訳が並びます。これらはWebサイトのページ枚数や、各ページの内容量・仕様の複雑さなどによって算出されます。
一方、少々イメージにしくい項目に「ディレクション費」というものがあります。この項目に当たる内容は、進行管理、チーム内の情 報共有、内容や品質のチェックなど多岐に渡ります。目に見えにくい部分ですが、プロジェクトを進める上で欠かせない項目です。
ディレクション費は、必ずしもページ数だけを元に算出されるものではありません。見積書でディレクション費について触れるとき には、具体的な業務内容やドキュメントなどの成果物を記載しておくと混乱を招かずに済むでしょう。
漠然としたイメージを伝えるより参考サイトを提示して見積もってもらおう
Web制作をつくる前に、まずは概算の見積もりを依頼したいと考えることが多いと思います。このとき、最終的な見積もりとの金額差が開かないようにするには、どのように依頼したらいいのでしょうか。
金額の乖離を減らすには、発注したいWebサイトの内容をなるべく詳しくイメージしてもらうことが大切です。概算の時点で細部を詰めるのは難しいですが、ボリュームや見せ方が近いWebサイトを制作会社に伝えると近道になるでしょう。その参考サイトをベースに「もう少しこのページのボリュームを…」と相談するとお互いイメージしやすくなります。
場合によっては、複数の制作会社に見積もりしてもらう「相見積もり」もいいかもしれません。その場合、単に金額だけではなく、概算見積もりを出す前にどのようなコミュニケーションを行ったかも重要なポイントになります。制作するWebサイトの内容だけでなく、業種や市場などプロジェクトの背景にまで関心を持ってくれる制作会社かどうかを気に留めてみてください。相手のビジネスの全体像からプロジェクトをイメージできる制作会社のほうが安心できますし、概算見積もりと本見積もりとの乖離も少なくなるでしょう。
なにか参考サイトを元に話したほうがより具体的な概算が出てくるんだな。
本記事は、マイナビ出版が発行する雑誌「Web Designing 2023年8月号(6月18日発売)」を元にしています(編集・執筆:小平淳一)。本誌では、2人のキャラクターが登場し、発注側と制作側の双方の視点でノウハウを解説。株式会社LIGが提供する『LIGブログ』では、「制作側の視点」の記事を公開中です!