Web制作プロジェクトの成否は「要件定義」にあり。雑誌『Web Designing』、株式会社LIGが提供する『LIGブログ』とのコラボ連載「どうする要件定義」では、発注者と受注者が「後でモメない」要件定義のポイントを紹介します。
「要件定義」という言葉、耳にしたことがあるという人は多いと思います。では、要件定義とはそもそも何か、具体的にどうすればいいか答えられますか?本連載では、Webサイト制作の要ともいうべき要件定義について掘り下げていきます。つなweBでは発注サイドの視点から解説します(制作サイドの視点でまとめた記事はLIGブログで公開中)。
監修
要件定義って何をやるの?
登場人物
要件定義が大切なことはよーくわかりました。それではどうぞよろしくお願いします。じゃ、来週中くらいまでにいただけると…。
でも、時間がないことには変わりがないんだよなぁ…
ちょっ、えーと…。要件定義は、制作会社とご依頼いただいた会社が一緒につくりあげるものなんですよ。
全部押し付けられても無理ですよぅ
そうなんですか?必要なことがあったらやりますよ?何をしたらいいでしょう?
えーと、どうしましょう…。とりあえず親睦パーティでも?
要件定義って…誰が何をするの?
お、そしたら私の好物の天ぷらでも。いいお店があるんですよ。
どんなに忙しくても宴会は行きます。それが私の流儀!
いいですねぇ!「腹が減っては戦はできぬ」と言いますし…って、こんなのでいいんだっけ?
要件定義にどんな項目が含まれるのかを把握しよう
現在LIGでは、要件定義書の構成を「?業務要件」「?機能要件」「?非機能要件」「?プロジェクト計画」の4項目に分けて作成しています。上の図では、各項目内にいくつかの小項目が並んでいますが、これはあくまで例でありケースバイケースで変わります(今回は小項目についての詳しい解説は行いません)。
「?業務要件」では、そのプロジェクトでどんなことを実現したいかといった内容をまとめます。「?機能要件」ではWebサイトのページ構成や実装する機能について、「?非機能要件」では表示のパフォーマンスやセキュリティ、対応環境など、目に見えない部分の仕様について明らかにしていきます。最後の「?プロジェクト計画」は、このプロジェクトをどのように制作・納品・運用していくかを図式化・文章化していきます。
要件定義と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「機能要件」や「非機能要件」あるいは「プロジェクト計画」の部分だと思います。しかし、最初の「業務要件」部分を文書化しておくことは、とても重要なことです。制作途中で仕様やコンテンツに変更があったとき、最初に決めた目的に対してブレていないかどうかを振り返ることができるからです。
自分たちのしたいことが盛り込まれているか、費用やスケジュールがどうなっているかを把握
多くの場合、要件定義書は制作会社が作成します。しかし発注側は、制作会社に全部任せっぱなしというわけにはいきません。 要件定義書の制作途中には、何回か草案の確認や読み合わせの機会があるはずです。その段階で書いてある内容をしっかりと理解し、疑問があったら確認することが大切です。
要件定義書は、どこかの段階で役員などステークホルダーの承認を得る必要が出てくるはずです。その過程で、担当者に説明を求められることもあるでしょう。その時に責任を持って説明できるように、当事者意識を忘れずに内容を確認していくのがいいと思います。
要件定義書をステークホルダーに見せるタイミングは、企業ごとに異なるでしょう。しかし、あまり固まっていない段階で何から何まで確認してしまうと、自分が担当者になっている意味がありません。やはり初期段階では担当者と制作会社で内容を詰めていくのがいいでしょう。
確認時、特に重要なのは、「自分たちのやりたいことを理解してもらえているか」です。ここがズレたままだと当然思い描いたようなWebサイトにはなりません。想いを共有できているかどうかを入念に確認しましょう。
要件定義書は任せっきりにせず、当事者意識を忘れずにチェックしないとな!
本記事は、マイナビ出版が発行する雑誌「Web Designing 2023年6月号(4月18日発売)」を元にしています(編集・執筆:小平淳一)。本誌では、2人のキャラクターが登場し、発注側と制作側の双方の視点でノウハウを解説。株式会社LIGが提供する『LIGブログ』では、「制作側の視点」の記事を公開中です!