DX時代4つの注目キーワードをデータで読み解く 事例詳細|つなweB

DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれて久しくなります。だからこそ、注目技術やデジタル関連ワードへの理解を深めておきたいところです。ここでは、オープンソースデータを中心に4つの代表的なキーワード(「AI」「IoT」「5G」「クラウド」)に関する調査データを掲載。以下の「活用目的」データ(DATA0)も参照しながら、各技術の全体像や利用状況を把握しましょう。

 

DATA0_先端技術の活用目的 (提供/利用側別)
「令和元年版情報通信白書」P066、図表1-2-2-12より。実際の活用状況を照らし合わせながら、新技術の使いどころを検討してみるといいでしょう 出典:財務省(2018年)「財務局調査による「先端技術(IoT、AI等)の活用状況」について」 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/n1200000.pdf

 

AI - 国内利用率が1割強。世界と大きな差

AIについて、世界と日本国内それぞれの利用状況を俯瞰できるデータを用意。日本は世界上位国の動きから離されぎみです。

日本のAI事情はまだまだ?

時代の変遷とともに技術の進化を遂げ、AI市場が右肩上がりの状況にあることは間違いありません。しかし視点を世界に向けて、世界主要国に比べると、日本はまだまだ遅れをとっています。

ここでは、AIの導入状況を、世界→日本(DATA1、DATA2)、大企業→中小企業(DATA3)、現場での使いどころ(DATA4)という観点で整理できるデータを掲載。特にAIの使い方を調査したDATA4を通じて、自社事業だと考えられる活用場面を想定しつつ、業務改善だけでなく、マーケティング上の成果を引き出すツールとしてAIの活用場面を生み出せるかどうかです。

AI活用後に何をどう導きたいのかまでを描けていることが、AIの導入状況の今後に関わってくるでしょう。AIを導入し活用する側だけでなく、AIを提供する側にも求められる課題と言えます。

 

DATA1_AIアクティブ・プレイヤーの国別の割合
AIが世界各国でどれほど利用されているかを比較。中国が突出し(合計85%)、日本は最下位(39%)も、2位以下は大差がなく、日本の挽回に期待大。※「情報通信白書」より「AIアクティブ・プレイヤー」の定義は、「一部の業務をAIに置き換えている」または「一部の業務でAIのパイロット運用(試験運用)を行っている」のいずれかに該当し、かつ自社のAI導入を「概ね成功している」と評価した企業
「令和元年版情報通信白書」P065、図表1-2-2-9より
出典:ボストンコンサルティンググループ(2018年)「企業の人工知能(AI)の導入状況に関する各国調査」 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/n1200000.pdf
DATA2_各国のAIアクティブ・プレイヤーの産業別の割合
AIが産業別でどれほど活用されているかを各国別で比較。やはり中国が全産業で存在感を発揮。日本は全産業で平均以下と、AI活用の遅れが浮き彫りです。
「令和元年版情報通信白書」P065、図表1-2-2-10より。産業問わず中国が際立つ。日本は一部の産業を除き、大きく後れをとっている
出典:ボストンコンサルティンググループ(2018年)「企業の人工知能(AI)の導入状況に関する各国調査」 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/n1200000.pdf
DATA3_国内のAI活用状況
国内でのAI活用状況をグラフに。全体で1割強、中堅/中小企業に絞ると5.6%と活用されていない実態が明らか。それだけ伸びしろが大きい状況とも言えます。
「令和元年版情報通信白書」P066、図表1-2-2-11より。AIの利用率について、全体、規模別、業種別、提供/利用側別での数値をまとめたデータです
出典:財務省(2018年)「財務局調査による「先端技術(IoT、AI等)の活用状況」について https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/n1200000.pdf
DATA4_職場で現在、AIがよく使われている業務(日本、最大3つまで回答。n=415)
世界10カ国・地域の合計8,370名が回答した調査です。日本はその中の415名で、企業・団体の従業員、マネージャー、人事部門リーダーたちが回答。
出典:日本オラクル(株)による、日本の「職場におけるAI(人工知能)」に関する調査結果(2019年11月13日公開) https://www.oracle.com/a/pr/docs/ai-at-work-graph.pdf

 

IoT - 米国・中国と大きく離された世界3位

IoTは、AIに比べると活用が進んでいますが、米中の背中は遠く、国内活用率は3割未満。しかし、伸びしろは十分です。

AIよりは浸透が進むIoT。「業務改善」で活用する

「モノのインターネット」とも訳されるIoTは、ここ数年で生活シーンに関連する家電や文房具、自動車、ヘルスケアなどの製品が浸透してきています。IoTという意識を持つことなく、暮らしに溶け込む製品が出てきている点やAIよりも一足先に注目されていたことからも、世界の中の位置づけ(DATA1)や国内状況(DATA2)の両面で、AIよりIoTは利活用されている状況が確認できます。

活用状況の業種別では、製造業が約3割でトップを占有(DATA3)。労働力人口減少や作業の効率化、人為的なミスの防止策などが要因と推察されます。活用の中身は、「データを業務改善に活用」が46.7%(DATA4)。AIと同様、IoTを導入して使いこなせるかどうか、活用による成果に基づきさらに先の展開を描けているかが、今後の浸透や利活用の広がりに関わるでしょう。

 

DATA1_世界の国別IoT支出額
全世界のIoT活用度を見るべく、国別のIoT支出額の上位7位をグラフ化。また、全世界のIoTに対する総支出額は7,450億ドル(2019年)に達する見通し。
IT専門調査会社 IDC Japanによるリリースより(2019年2月12日公開)
出典:Worldwide Semiannual Internet of Things Spending Guide
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ44846519
DATA2_世界の国別IoT支出額
全世界のIoT活用度を見るべく、国別のIoT支出額の上位7位をグラフ化。また、全世界のIoTに対する総支出額は7,450億ドル(2019年)に達する見通し。
IT専門調査会社 IDC Japanによるリリースより(2019年2月12日公開)
出典:Worldwide Semiannual Internet of Things Spending Guide
https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ44846519
DATA3_IoT導入企業の業種別構成比(n=610)
IoTの導入企業を業種別に。リリースより、1位の製造業の5割以上は、利用用途が「機械設備の稼働状況の把握」。国内1万4,549社を対象に実施した調査です。
MM総研が2019年12月17日に公開したリリースより。2019年11月に調査を実施
出典:「IoT技術の国内利用動向調査」(2019年11月実施)
https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=387
DATA4_IoTデータの活用の中身について(n=598)
IoTデータの使われ方をMM総研が調査。リリースでは、「単にデータを収集して可視化するだけではなく、意思決定に結び付ける動きが進んでいる」と指摘
MM総研が2019年12月17日に公開したリリースより
出典:「IoT技術の国内利用動向調査」(2019年11月実施)
https://www.m2ri.jp/news/detail.html?id=387

 

5G - 各業種で注目。消費者の興味喚起がカギ

高速・大容量の次世代通信規格「5G」のサービスが3月25日から開始。各社の利用意向調査を中心に整理しましょう。

5Gは今後の広がりを見据えた準備を

日本では2020年3月から5G(第5世代移動通信)のサービスが開始。今後、回線数の増加とともに、高速・大容量、低遅延、多接続という5Gの特徴を活かした革新的なサービスの提供が期待されます(DATA1)。5Gの発展は、ネットワーク連携とリアルタイム分析/検知などを要するIoT系サービスをますます拡張させるなど、さまざまな業種のデジタル環境の進化にもつながります(DATA2)。

現状の調査データの多くは主に利用意向が大半で、5Gと言えば、「スマートフォン/携帯電話」や「ノートパソコン」が浮かびやすい状況です(DATA3)。5Gの認知に関する調査を参照すると、5Gという名前のみの認知層だと、興味を持つ割合が5割を切るため(DATA4)、先手を打って5Gの利点がわかりやすく伝わるソリューションを提供できるかが、普及スピードを左右するでしょう。

 

DATA1_5G回線数の予測
グローバルの携帯電話事業者による業界団体GSMAによる予測です。棒グラフが回線数(左の縦軸)、折れ線グラフが人口カバー率を表します。
総務省「平成30年版情報通信白書」第1部P131「図表3-3-4-1」より
出典:GSMA https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd133410.html
DATA2_2020年度に新規投資が期待される製品・サービス(業種別、n=2,826)
調査対象は、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者。5分野、全110項目で「現在の導入状況と今後の投資意欲」について調べた結果です。
調査・コンサルティング企業、(株)アイ・ティ・アールの2019年12月11日のリリースより
出典:ITR「IT投資動向調査2020」(上の表は、各分野/業種の2020年度新規導入可能性で1位の項目を掲載) https://www.itr.co.jp/company/press/191211PR.html
DATA3_5G利用検討機器(5G利用意向者ベース、n=577)
調査対象は、国内企業のIT戦略・IT投資の意思決定に関与する役職者。5分野、全110対象は、国内企業(従業員数50名以上)にフルタイム勤務(20~69歳)で、「携帯電話・データ通信カード・PC関連の導入に関する選定に関与する」人です。
リリースでは、スマートフォン・携帯電話などでの5G利用意向層に聞くと「大容量のデータをやり取りしやすい」という広帯域性を理由に挙げているとのこと
出典:IDC Japan「2019年 5G企業ユーザー調査」より(2020年2月26日公開) https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ46081120
DATA4_5Gへの関心度(認知度別で比較)
ネットリサーチ事業を手がけるクロスマーケティングが、20~69歳の男女1,000人を対象にした(通信関連事業への従事者は除く)調査結果です。
出典:クロス・マーケティング「5Gに関する調査」より https://www.cross-m.co.jp/report/it/5g20200225/

 

 

クラウド - なぜ利用率が6割弱に止まるのか?

「クラウド」は、本誌読者にはなじみが強いサービスですが、基礎データを参照すると、利用していない層の多さも気になります

クラウドが「利用されていない」理由を探る

「クラウド」にまつわるデータは、総務省「通信利用動向調査」にさまざまなデータが数多く掲載されています。ここでは、その中でも踏まえておくべきデータを抽出しました。産業を分けず全体の割合でクラウドの利用率を見ると58.3%(DATA1)。利用の中身(DATA2)や利用による効果の側面(DATA3)についても、客観的な状況を把握しておきましょう。

今回掲載していませんが、ガートナーが発表した2019年の調査では、日本のクラウド支出の状況を「抵抗国」と評価。抵抗国とは、「米国より7年以上遅れている」ことを意味した言葉で、6割未満の国内利用状況が世界規模だと不十分であることを指摘されたような形に。クラウド利用をしていない企業の理由(DATA4)を参考に、利用を阻む要因への解消策を打ち出したいところです。

 

DATA1_クラウドの利用状況(2018年/n=2,119、全体)
国内の従業員100人以上の企業が対象(DATA2,3,4も同様)。「利用している」の割合は、前回(平成29年)調査より2.0ポイント上昇しました。
産業別でクラウド利用が8割以上を記録したのが、「情報通信業」の84.5%と「金融・保険業」の80.5%
出典:平成30年版総務省「通信利用動向調査」(P15、図表4-2) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201800_002.pdf
DATA2_クラウドサービスの利用内訳(2018年、n=1,317)
クラウド利用企業が具体的に利用しているサービスの内容について、上位10項目を抜粋したグラフ。上位3位までは半数を超えており、広く使われているようです。
11位には「システム開発、Webサイト構築(9.2%)」
出典:平成30年版総務省「通信利用動向調査」(P16、図表4-3) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201800_002.pdf
DATA3_クラウドの利用効果の推移(2018年、n=1,317)
クラウド利用企業が具体的に利用しているサービスの内容について、上位10項目を抜粋したグラフ。上位3位までは半数を超えており、広く使われているようです。
参考までに、同調査での「クラウドを利用している理由の推移」も参照すると、1位が「資産、保守体制を社内に持つ必要がないから」(41.4%)、2位が「どこでも、機器を選ばずに同様のサービスを利用できるから」(33.6%)
出典:平成30年版総務省「通信利用動向調査」(P18、図表4-5) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR201800_002.pdf
DATA4_クラウドを利用しない理由の推移(複数回答、2018年、n=407)
利用すれば効果が得やすいと言えるなら(DATA3)、利用しない理由を知ることで、「使わず嫌い」層へのアプローチのヒントにしましょう。
前回調査より「必要がない」は2.3ポイント上昇するも、2位の「セキュリティに不安」は7.8ポイント減少しています
出典:平成30年版総務省「通信利用動向調査」(P19、図表4-6)
※Web Designing 2020年6月号(2020年4月17日発売)掲載記事を転載