アフィリエイト広告のポイント 事例詳細|つなweB

Web上のメディアや個人のブログなどに掲載するアフィリエイト広告。他のネット広告とは一味違ったその特徴について、幅広くデジタルマーケティングを手がける株式会社オプトの柴田誠司さんに話を伺いました。

 

柴田誠司さん
株式会社オプ アフィリエイト戦略部 部長/入社以来、一貫してアフィリエイトのコンサルティング業務に従事。アフィリエイト媒体やASPとの提携、施策立案を実施している。 https://www.opt.ne.jp/

 

 

成果報酬型広告で投資リスクを抑え予算を有益に

アフィリエイト広告とは、Webサイトやブログなどを運営するアフィリエイターに広告を掲載してもらい、ユーザーがその広告経由で購入などを行うと、アフィリエイターに報酬が発生するという広告手法です。広告主が我々のような広告サービスを手がける企業を介して出稿し、アフィリエイターを集めて仲介するASP(Affiliate Service Provider)を通してアフィリエイトサイトに広告を掲載します。

また、弊社では、独自のアフィリエイト計測ツール「Performance First」
(https://www.performancefirst.jp/)を保有しています。加えて、広告主とアフィリエイターを直接繋ぐお手伝いもしています。

アフィリエイト広告を活用する一番のメリットは、成果報酬型であることから、投資リスクを抑えることができ、予算を有益に活用できる点です。アフィリエイト広告は広告主が設定した成果(購入や会員登録など)が出た際に、初めてアフィリエイターへの報酬が発生する仕組みだからです。

出稿コストも、ASPが提供する計測ツールの使用料として月額数万円は必要となりますが、広告自体は少額からでも出稿でき、中小企業から大手企業まで規模を問わず活用されています。弊社では、金融業界をはじめ、転職エージェントなどの人材業界、D2Cのコスメや健康食品関連、ECサイト事業者の方々など、業種・業態問わず幅広くご活用いただいています。

多様なパートナーを通じてユーザーにアプローチ

アフィリエイトサイトは法人企業による大手メディアもあれば、個人ブログなどもあります。さまざまなアフィリエイトサイトで広告を掲載でき、広告主の自社サイトや一般の広告媒体とは違ったユーザーへアプローチができる点も大きな強みです。しかし、アフィリエイターに掲載してもらえないと広告が配信されないという面も持ちます。

そうならないためには、アフィリエイターに「この広告を掲載したい」と思ってもらえるよう、モチベーションを高めることが重要です。一般的に認知度の高い企業や商材の広告はアフィリエイターのモチベーションが高くなることが多く、掲載されやすい傾向にあります。一方、認知が広まっていない企業や商材の広告を掲載してもらうのは難しいかというと、そんなこともありません。ただ、認知度の高い企業や商材の広告よりも、工夫をする必要はあります。アフィリエイターに掲載したいと思ってもらうには、大きく二つの方法が挙げられます。

一つは、報酬方式を工夫することです。認知度の高い商材よりも成果報酬の単価を少し高めに設定することで、アフィリエイターのモチベーションを高めやすくなります。また、広告の成果とするアクションを、購入や申し込みなど、広告主の売り上げや利益に直結するアクションよりも少し手前の、資料請求や無料会員登録などにすることで、報酬が発生するまでのハードルを下げるという方法もあります。しかしこのケースでは、企業利益や売り上げに直結するアクションを成果としたときよりも報酬金額を低く設定する場合が多くなるため、バランスを考える必要があります。また、掲載のきっかけをつくるために、広告を掲載するだけで500円の報酬を支払うキャンペーンを実施する広告主もいます。

そして、もう一つは、アフィリエイターに商材の情報を提供したり、サンプルを送って使ってもらったりすることです。商材がよいもので、自分が運営するメディアを訪れるユーザーとの親和性が高いと思えば、アフィリエイターは積極的に掲載してくれます。

このような工夫でアフィリエイターの気持ちを掴み、モチベーションを高めることが、アフィリエイト広告を掲載してもらう上での大事なポイントです。

 

アフィリエイト広告の仕組み

広告主は広告サービスを手がける企業やASPを通して出稿します。アフィリエイトサイトに掲載された広告を経由してユーザーが購入などを行うと、アフィリエイターへ成果報酬が支払われます。このとき何を成果とするかは、広告主側で設定することができます

 

アフィリエイト記事の有益性と正確性の確保

アフィリエイトサイトでは、商材の紹介記事などと一緒に広告が掲載されることも多くあります。それにより、広告だけでは伝えきれない追加情報を伝えたり、客観的な見せ方ができたりするため、 ユーザーに有益な情報となります。

特に人気の見せ方としては、競合する複数の商材と比較し、強みや弱みを伝える比較記事が挙げられます。記事作成のため、アフィリエイターも実際に複数の商品を使い比べたり、商材についてよく研究したりしています。通常の広告は、企業からの発信となりますが、比較記事は第三者的に公平な視点で書かれるので、訪問したユーザーにとって、広告とは異なる情報源となります。

また、アフィリエイターが実際に使い、オススメだと思うものを紹介するレコメンド記事もあります。近年はインフルエンサーによるアフィリエイトサイトも増えてきました。ユーザーとしては「あの人がオススメするなら本当によいものだろう」という商材への信頼にも繋がりますし、よい商材を知るきっかけにもなります。

こうした記事において、薬機法などの法令順守はもとより、誤った訴求内容や誤表記が生じたり、専門の知識がないことにより不適切な表現をしてしまったりする可能性もあります。しかし、不正確な情報が出ることは絶対に避けなければなりません。そのため、広告主や弊社では予め記載方法のガイドラインなどを準備しています。さらに弊社では、記事の内容をパトロールする専属のチームがあり、常にアフィリエイト広告を人力で目視しています。万が一誤りがあれば、アフィリエイターに修正依頼をし、広告主のブランドを毀損しないよう努めています。慎重を期すため、記事公開前の事前審査もしています。

また、アフィリエイト広告は、掲載されるメディアを広告主側でコントロールできないという点も他のネット広告とは大きく異なります。広告主としては、ブランドイメージを毀損するようなメディアに掲載されるのではないかという懸念があるかもしれません。ただ、アフィリエイトサイトとして登録する際に審査があり、例えばギャンブルやアダルトサイトは登録できないようになっています。万が一審査したのとは別のサイトにアフィリエイト広告が掲載されるようなことがあれば、即刻そのアフィリエイターとの提携を解除し、広告の成果報酬は支払われないということも契約内容に盛り込んでいますので、そうしたことが起きない抑止力となっていると思います。

なかには、広告主側で法人企業が運営するメディアにしか掲載できない条件にしたり、オープンに掲載サイトを募集せず、掲載してほしいサイトにASP側から声をかけたりするというクローズドな形で展開するものもあります。

広告の成果の先にある中長期的な成果を見る

アフィリエイト広告の広告成果を見る際には、一時的な成果だけでなく、リピーターになってもらえているかという、中長期的な成果までを見ることが大切です。健康食品などの商材では、企業の課題は継続して利用してもらえるユーザーを増やすことである場合も多く、長期的な視点でPDCAを回していきます。

アフィリエイトサイトによっては、アフィリエイト広告をきっかけに、初回購入などの一時的な成果はあるものの、中長期的に見たときに継続して購入しているユーザーが少ないサイト、逆に初回購入に至るユーザーはそれほど多くないものの、購入後のミスマッチが少なく、継続して購入するユーザーが多いサイトもあります。我々はそのようなアフィリエイトサイトの特色やユーザー層の傾向も確認しながら、CPAだけでなく、CPO(Cost Per Order/新規顧客による受注1件にかかった広告費)やLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)を高めるための広告運用を支援しています。

 

アフィリエイトサイトがユーザーにもたらすメリット

アフィリエイトサイトでは広告を掲載するだけでなく、複数のサービスや商品の比較レビューをしたり、アフィリエイターが使った上でオススメの商品を紹介したりした記事とともに掲載されることが多いです。これらはユーザーにとって有益な情報となります

 

短期的な成果だけでなく、中長期的な成果も見よう

健康食品のような商材では、一度だけの購入ではなく、継続的に購入するユーザーを獲得することが望まれます。そのため、アフィリエイト広告経由の初回の利用だけでなく、その後の継続的な利用があるか否かという中長期的な成果もあわせて見ていくことが大切です

 

アフィリエイトサイトへの集客方法が多様化

アフィリエイターは、多くのユーザーにアフィリエイトサイトへ訪問してもらうため、さまざまな試行錯誤をしています。以前はリスティング広告やSEO対策などが主流の方法でしたが、近年はSNSからの流入施策に力を入れる方が多くなっています。

弊社では、一部のアフィリエイトサイトと連携し、アフィリエイターの流入施策を支援することもあります。そのナレッジを活用し、アフィリエイト広告の掲載面においてより成果が出やすくなるよう調整をしています。例えば、AとBの2つのサイトがリスティング広告でユーザーを集客していた場合、それぞれのサイトの流入数や解析情報などを開示していただきます。Aのサイトに訪問したユーザーは広告主のサービスと親和性が低く、Bのサイトに訪問したユーザーは広告主のサービスと親和性が高い方が多かったとします。その場合、Bのサイトで広告掲載する機会を増やし、Aのサイトでは掲載を控えるなどの調整をしています。流入経路などの情報はメディアの資産ですし、ノウハウを取られると危惧されることもありますので、簡単に開示してもらえるものではありません。アフィリエイターとの長いお付き合いの中で信頼を得たということもありますが、アフィリエイターにも広告主にもよい形になることを目指して取り組んできた結果でもあると思います。

アフィリエイトサイトで掲載される商材は、最近は動画配信サービスなどのおうち時間を楽しく過ごすためのものや、リモートワークの浸透によってネット回線サービスに関連するものなどが多くなってきました。このような世の中の潮流にマッチした商材は広告の出稿量も増えますし、掲載するメディアも増えます。今ユーザーが興味を抱くと思われる商材を掲載することが、アフィリエイトサイトの集客施策の一つにも繋がります。

コンテンツの見せ方としては、動画を活用することも増えてきました。YouTubeなどが浸透している時代だからという背景もありますが、Googleではジャンルによっては検索順位の評価が動画の方が高くなりやすいため、SEO対策の効果も期待できます。

多様化しながら市場の成長は続く

ここまでご紹介してきたように、アフィリエイト広告とは、アフィリエイターがよいと思った商材を紹介し、サイトを訪問したユーザーが購入や申し込みなどをして、その成果として広告主から報酬が支払われるという、とてもわかりやすい広告です。トラブルが起きないようしっかりと制限をかけて管理しながら運用していけば、メリットはとても多い手法です。

他のネット広告と違い、システムの設定で管理するというよりも、人と人のやり取りがとても多い人間臭い広告手法である点も特徴的です。広告を掲載するにもアフィリエイターの心を動かす必要があり、広告主の熱意を伝えるなど、さまざまな駆け引きや交渉、折衝をすることが重要になってきます。弊社では、さまざまなネット広告を統合的に手がけていますが、アフィリエイト広告も長く使われてきた定番手法の一つであり、市場は毎年105~110%ペースで成長してきました。なかには10年以上継続利用されている広告主もいます。今後も時代の変化にあわせて多様化しながら、多くの広告主とアフィリエイターに活用されていくのではないかと思います。

また、アフィリエイト広告は信頼できる第三者が会社や商品を勧めてくれるというところが、ユーザーにとってのメリットでもあります。このメリットに近いものとして、自分がいいと思った商材を友人・知人に勧めることで紹介者に特典が発生するリファラルマーケティングというものもあります。こうした手法をアフィリエイト広告と組み合わせて展開するようなことも今後ニーズがあるのではないかと考えています。

 

アフィリエイト広告の効果を上げる調整

アフィリエイトサイトでは、ユーザーの訪問数を増やすためにリスティング広告などを出稿しているところもあります。しかし多くのユーザーが訪れてもアフィリエイト広告の成果に繋がるとは限らず、より親和性の高いサイトで広告掲載の機会を増やす調整をすることもあります

 

リファラルマーケティングの仕組み

ユーザーが友人・知人にサービスや商品を紹介し、申し込みや購入に至った場合に、ポイントなどの特典が提供されるという仕組みです。もともと人間関係のある間柄での紹介なので、ユーザーも正直な感想で紹介しやすく、友人も信頼して利用するという特徴があります

 

 

Text: 平田順子
※Web Designing 2022年2月号(2022年4月18日発売)掲載記事を転載

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