国ごとに違う郵送事情
越境ECで一番デメリットとなるのは、国ごとに決まりの違いがあることです。それらに対応するためには、いろいろと勉強しなければなりません。
たとえば郵送手段についてはEMSという日本郵政の海外発送サービスがよく利用されています。国内で発送する場合は、荷物の容量がいくつかある規定サイズのどれに当てはまるかがわかれば良いのですが、EMSは梱包済みの荷物の重量で申告する必要があるため、注文を受けたあとに梱包を終え送料を確認してからお客さんに「これで良いか」確認を取るという一手間がかかります。
また、いま中国に関しては、越境ECの商品をEMSで送るのがダメになってしまっています。中国物流企業のSFエクスプレスやECMS社に依頼するのが確実です。このように国ごとのルールを把握し対応する必要があります。
また、到着を急がない場合、日本郵政のSAL便はヨーロッパまで数百円で届くなどとても安価ですが、追跡ができないので、不着の際にはどう対応するか考えておく必要があるでしょう。
植物検疫で輸出可能かを確認
特に食品を扱うときに気をつけるのは、税関をクリアできるものか否かという点です。こちらも送付先の国によってそれぞれ規定が違ってきます。税関をクリアできる国が少なかったり、関税がものすごく高かったりするものもあり、そうしたものは越境ECには不向きといえます。まずは化粧品など一年中販売することができ、常温で傷まないような食品以外のものからスタートするのが良いでしょう。カニなどの生ものだときちんと届けるためのハードルも高くなります。日本酒も関税で定価の3倍くらいになってしまうので、あまりオススメしていません。また、中国はとても食品に厳しく、東日本大震災以降は東日本7都道府県でつくられた食品は輸入禁止となっています。
どの国にどの食べ物が郵送できるかは、農林水産省の植物検疫に問い合わせれば親切に教えてもらえます。ただ、その情報も日々変化していきます。先日もマレーシアにある食品を送ったところ、発送段階では問題のなかったものが、輸送中に決まりが変わったため輸出不可になってしまい、全部没収されたということがありました。
また、国内では販売可能なものでも、ワシントン条約に反するものは絶対にダメです。それを知らずに越境ECサイトに載せてしまった雑貨店は、違反が見つかりモール内の検索順位が急激に落ちてしまったということもありました。動物や植物に関わる商品の場合は注意が必要です。
越境ECをはじめるなら善は急げ
国内向けのECサイトとは違った、知るべきこと気をつけるべきことはありますが、それを乗り越えればその先に多くの顧客が存在します。意外な国や地域であなたの会社の商品がウケるかもしれません。
海外で、日本製のこの商品が良いと認知されたとき、やはり最初に知ったメーカーやショップのもののインパクトは強いです。先行者利益を得るためには、スモールスタートからで構いませんので、競合他社が進出する前に少しでも早くはじめることをオススメします。いまからはじめてきちんと運用していけば、2020年には軌道に乗ったショップにすることができるでしょう。