Googleアナリティクス挫折回避! アプリ版GAのAIアシスト 事例詳細|つなweB

GoogleアナリティクスではAIを利用した機能を搭載

Webサイトを制作したからには成果を期待し、分析のために「Googleアナリティクス」(以下GA)を実装したはず。このGAにもAIを利用した機能が搭載されているのをご存じだろうか。Webサイトのアクセス状況を教えてくれる「アシスタント」は、AIが分析した結果をテキストで表示する、スマホのGAアプリのみに提供された機能だ。

01 アシスタント画面
Googleアプリが現在の状況を判断してくれる。何から見ればよくわからない方はこの画面をまず確認。GoogleのAIがデータから導きだした注目すべきポイントをGoogleが教えてくれる(※画像はタブレット表示。スマホの場合はひとつずつ縦に並ぶ)
02 スマホアプリの画面とGAアプリのホーム画面
PC表示と多少項目が違うが「ユーザー」「ユーザー獲得」(PC画面でいう「集客」)「行動」には「サマリー」がある。分析結果がグラフになっているので、見た目でWebサイトのアクセス状況がわかる

ここでは、「手間がかかる」「わからない」などの理由でGAを利用していない人が、アシスタントも含めた分析結果を確認できるような、解析の第一歩を踏み出すための後押しをしてみたい。

 

スマホだからこその操作性とグラフによる視認性アップ

スマホアプリは、PCよりも見やすい。操作は直観的で、組み込まれているレポートにはグラフが表示されるので見ただけでわかる。

アシスタント機能を使う前に、まず手始めに、「ユーザー」「ユーザーの獲得(PCでいう集客)」「行動」の3つのサマリーを見てほしい。

筆者が一番おすすめしたいスマホアプリのレポートは、Webサイトへの新規ユーザーの流入数を「1週間24時間別に色の濃淡で表示」しているものだ。

03 「ユーザー獲得」サマリー内「新しいユーザー(時間帯別)」
週のどの時間に流入が多いかが一目で判断できる。特に設定も必要なく、アプリでは標準で組み込まれている(eコマースにも同様のレポート「収益(時間帯別)」があり、購入者の行動がすぐにわかる)

見ただけで誰でもわかるデータなので、例えば、有料広告の流入効果を確認、改善の参考にできるだろう。

PCでは「目標」の中にある「eコマース」、スマホはホーム画面に項目あるので、一目でわかる。「eコマース」の組み込みレポートで、売上金額や1ユーザーあたりの購入点数、そして「何が売れたのか」などを直感的にすぐ把握できる。また、画面上部の<>をタップするだけで期間を前後できるので、PCにはない操作感で期間による比較が簡単に行える。さらに収益の結果を1週間24時間別に示してくれるレポートは、「メルマガの配信時間」や「有料広告の強化」などの施策を行った効果を自分たちで確認・判断が出せることが、ビジネスの上でも有効だろう。

 

埋れた改善すべきデータをAIが教えてくれる

ここで、GAアプリだけの機能「アシスタント」の登場だ。現在、英語表記なので、抵抗がある人には「わからない」かもしれない。

しかし、最初は「なんとなくわかる」だけでもいいのだ。というのも、AIが分析しているのは、「分析データに潜んでいる契機や異常値を、瞬時に浮き上がらせる最初のステップを自動化(※Googleアナリティクスソリューションより引用)」したものだ。つまり、各カードに表示されたAIのインサイトは、Googleが「まずは改善をしたほうがよい」と示してくれていると判断できる。もし、分析が得意ではない、何もわからない担当者なら、表示されたことを最初に改善施策として行ってみてはどうだろうか。

もし、「サイトを分析してほしい」と思って、簡単な分析でも業者にお願いすれば数万円はかかる。そして時間がかかることもある。であるなら、こういう機能を使わない手はないだろう。

 

AIは、設定した目標や売上額アップに向かってとことん突き詰める

では、実際のインサイト内容を見てみよう。「これぞAI」というのは、「分析情報を表示」内の下部にある。改善する推奨方法や、なぜそういう数字を導きだしたか、中には「重要な市場だったらこの現象を開発者に聞いてください」というのもある。

 例えば、05を確認してほしい。「いくつかの商品の売上が先週より36%上がった」と見出しにある。同画面の「Recommendations」(推奨)で、より商品が売れるための宣伝施策をAIが導きだしている。

・Adwordsを使い宣伝
・ソーシャルメディアで商品を宣伝
・自分のサイトで商品を特集する

「売れている商品をもっと売って、売上を伸ばしましょう」という、コンバージョン重視の施策である。つまり、「目標設定」に対していかに効率よく効果を出すか、ここはAIが得意とするところである。

04 eコマース
ECサイトを運営している人はスマホの方がわかりやすいだろう。画面上部の<>をタップして期間を前後しながら売上金額、売上商品などの比較が簡単にできる
05 アシスタント詳細画面 Recommendation内容
「You can take advantage of their rising popularity.」とあるとおり、評判が上がったものを利用して推奨施策を出していることがわかる

もう一つ、06を見てほしい。「『先週に比べて1セッションあたりの価値』が下がった」というレポートだ。

06 アシスタント詳細説明画面
先週と比べて「アメリカ合衆国のデスクトップ」の数値が117%下がっているとなると、一度詳細な検証をしてみることも必要だ、と担当者が行動に移すきっかけとなるだろう

「毎月セッション数などが微減だったものの、特に改善もせずにそのままにしていたら、気付けばピーク時よりも売上が落ちていた」などはよくある話だ。そうならないためのアドバイスとしてサイトの変化を示す指標をAIのインサイトが導き出したことは、実際に役立つことを示している。

ちなみに下がったという結果に対し、AIはこう説明している。「もっとも大きなインパクトを与えたのは『アメリカ合衆国』の『デスクトップ』からアクセスしたユーザーだ」。この結果を人間が導き出そうとすると、ウェブ解析の知識が必要になってくる。

このようにサイトに今起こっていることを手軽に確認できるのは大きなメリットだ。

07 アシスタント詳細説明画面
「ページの読み込みスピードが遅い」という分析結果である。この結果が出た場合は要注意だろう。現在Googleは読み込みスピードが遅いサイトの評価を低くしているので、「遅くなった理由を考えて改善すること求めている」と判断していいだろう

 

とはいうものの改善のアクションは人間の役割

どうしても英語が苦手なら、Googleの翻訳アプリを使用するのもよい。それも面倒という方は、「緑が良くなった数字、赤が悪くなった数字」を示しているので、これだけでもわかれば、表示している内容は推察できるだろう。 しかし、「カートとの連携」「目標設定」「Google Adwordsとの連携」や「自社IP除外」「ボットの除外」など、GAの設定を行い、きちんとしたデータを取得しているという前提が必要だ(※設定はPCのみで行える)。

もうひとつ、施策効果の判断や、判断後の改善、たとえば広告文などの有料広告改善、サイトのコンテンツの改善は自分たちで行う必要がある。Googleアナリティクスソリューションでも「フィードバックと利用方法に応じながら、時間とともにスマートになっていく」とあるとおり、フィードバック、つまり改善自体は「人」が行う必要がある。

改善を行い、よりコンバージョンにつながる結果を生み、そのデータを時間をかけて集めていけば、AIは学習していく。そうすることで、もっとよいアドバイスを出してくれるようになる。AIを利用したGAアプリのアシスタントは、今後、施策のスピードアップを推し進めてくれる機能になるだろう。

 

Text:はしもとみき
Webコンサルタント/Webマーケター。GAIQホルダー、上級ウェブ解析士を所持。現在は主にWebを中心としたマーケティングやサイト改善コンサルを行っている。元映像ディレクター
はしもとみき
※Web Designing 2017年6月号(2017年4月18日)掲載記事を転載

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