GA4活用で成果に繋げる!押さえておきたいGoogleが描くマーケティング最適化の未来 事例詳細|つなweB

GA4はこれまでの一過性のコンバージョン刈取り型から脱した、本質的なマーケティング改善を実現するためのツールへと進化を遂げようとしています。一方で、実際のマーケティングの現場からは、GA4をどう活用していけばよいのか、何から始めればよいのか分からないといったお声をよくお伺いします。

本記事では、5/9(火)に開催された㈱プリンシプル主催のオンラインセミナーの内容をご紹介します。自社のマーケティングにおいて、GA4を具体的にどのように活用して成果につなげていけばよいのか? GA4活用を軌道に乗せるまでのロードマップは必見です。

ぜひ、ご自身でも自社におけるGA4活用の未来に当てはめながらご覧ください。


株式会社プリンシプル主催のデジタルマーケティングイベント
「The Principle Days 2023」参加者募集中!

 
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教えてくれたのは…

村松 沙和子さん
株式会社プリンシプル 解析チーム マネージャー

2014年より株式会社プリンシプルに在籍。 これまでにBtoB、BtoC 合わせて100社以上のデジタルマーケティングの解析プロジェクトを経験。 Googleアナリティクスを中心としたマーケティングデータの定量分析に加え、ユーザーテストやインタビュー調査などの定性調査を組み合わせて現状課題を分析、クライアントのマーケティング改善提案、施策実行の伴走を行う。 解析コンサルティングチームのリーダーとして、“データとアクションをつないで人と企業の円滑なコミュニケーションを実現し、世界を幸せに”をミッションに日々取り組んでいる。Web Designing 2022年6月号の特集「緊急報告GA4」の監修を担当。

 

GA4が実現するジャーニー最適化とは

GA4は、「ユーザー軸」で顧客のフルジャーニーを最適化することを最終ゴールとしています。そもそも、これまで追いかけてきた「セッション軸」とGA4の「ユーザー軸」には、どういった違いがあるのでしょうか?

まずはそれぞれの軸の違いを紐解き、ユーザー軸でのジャーニー最適化とは何か、Googleが目指すマーケティングの未来についてご説明します。

GAのデータスコープとは?

「データのスコープ」とはデータを捉える範囲を指しています。GA4には主に「イベント軸」「セッション軸」「ユーザー軸」の3つのスコープがあります。

 
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「イベント軸」は最も細かい粒度で、特集ページへの来訪、カートへの投入といった、GA4のイベントレポートで確認できるユーザーの1つ1つのサイト上での行動からデータを捉えます。

「セッション軸」は訪問単位でデータを捉えます。上の図では広告とアプリのプッシュ通知から記録され、どちらも購入につながっていることがわかります。

「ユーザー軸」はユーザーのジャーニー全体に着目してデータを捉えます。上の図では、あるユーザーが広告から初めて来訪し、その後リピーターになって、合計2回購入していると判断できます。

セッション軸のレポート

セッション軸では、流入時のメディアごとの流入数、CV数、CVR等、データをセッション単位に分解して評価します。

 
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メディアごとの流入数やコンバージョン数、コンバージョン率といった形でデータをセッション単位に分解し、セッション単位で評価していきます。たとえば上の図の場合、自然検索のセッション数が5、コンバージョンが2回、コンバージョン率40%となるため、自然検索はSNSや広告と比べて成果が良いチャネルと判断できます。

ユーザー軸のレポート

一方、ジャーニー全体を捉えて改善施策を検討していくのがユーザー軸のデータの捉え方です。

 
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先程と同じユーザー行動の図を例にとると、初回来訪に最もつながる施策はSNSで、2ユーザーを獲得できており、LTVの平均は¥7,000です。SNSへの予算配分を増やすと潜在ユーザーを呼び込めるのではないか、また、コンテンツに接触して熟読したユーザーはコンバージョンしやすいのではないか、といった仮説を立てることができます。

ツールが時代に追いつき、ユーザー軸でのスコープが可能に

以上のように、セッション軸で見ると自然検索が圧倒的に成果が良いように見えますが、ユーザー軸により大きな視点でジャーニー全体を捉えると、まったく違った景色が見えてくることがわかります。ユーザー軸でのデータ活用はGA4で始まった概念ではなく、数年前から「ジャーニー全体でデータを捉えてマーケティングに活かしていくべき」ということはいわれてきました。時代背景として、ユーザーの行動がプラットフォームやデバイスをまたぐことが普通になり、マーケティングにおいても中長期的に成果につなげるためには、一度で終わりではなく、ユーザーと継続的な関係性を築いてライフタイム全体でコミットしてもらうことが重要になってきました。

そういった背景に対しGA4のような計測ツール側でユーザーの一連の行動をつないだデータを見れるようになったことで「ツールが時代に追いついてきた」というのが今の状況と考えられます。

機械学習の予測データをアクションにつなげる

ユーザー軸でジャーニー全体を捉えた上で行う改善施策を、さらに強化するのが機械学習の機能です。GoogleはGA4を、「将来に向けて設計された、新しい分析体験を提供する次世代のソリューション」と謳っています。Googleが開発してきた機械学習のテクノロジーを利用して分析したり、予測した結果をマーケティングのアクションにつなげやすくするというのがGA4のもうひとつのコンセプトです。従来、分析から得られた気づきを集客やサイト改善に活かしていく作業は、担当者ベースで分析から施策の実行まで人力で実施されていました。どうしても人手と時間がかかってしまうところを機械学習が代替して、データ活用を半自動化してスピード感をもって施策に反映できるような世界を、Googleは目指しているということです。

Googleは具体的に下記の3つを挙げており、GA4のデータに基づいたサイト改善のPDCAを通してユーザーの体験を最適化する機能に対し、今後もしっかり投資をしていくと明言しています。2023年9月末にサポートが終了するGoogleOptimizeを代替できるような機能の発展に期待が持てます。

 
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ここまでのまとめ

 

1.GA4の登場で、ユーザー軸のデータをもとに、顧客のジャーニー上の行動・心理の理解を深め、中長期でエンゲージメントを高めるためのPDCAを回していくという、本質的な取り組みに一歩近づいた

2.将来的には、機械学習の予測データを改善アクションにつなげる機能もさらに拡充される見込み

3.GA4のコンセプトを理解した上でGA4を最大限活用して、自社の顧客のフルジャーニー最適化に挑戦する

 

GA4活用までのロードマップ

GA4導入~活用の理想的な進め方

 
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改めて自社のマーケティング上の課題に立ち戻り、課題から逆算したデータ活用を考えていくのがGA4活用を軌道に乗せる近道です。自社がロードマップ上のどのステップにいるのか、自社のGA4活用状況に当てはめて考えてみましょう。

【ステップ①簡易基盤移行】
まずはGoogleタグマネージャー経由でGA4のタグを実装し、最低限のデータを取得開始するところからスタートします。タグを実装するだけで自動で基本的なページビューであったり、スクロール(イベント)が計測開始されます。最初から完璧にカスタマイズを施したうえでの導入は、ハードルも高く時間もかかってしまうため、まずはできるかぎり早く最低限のデータを取得する環境を整えていくのが賢明です。初期設定の際には、自社のアクセスを除外するなど、最低限のコンバージョン設定は済ませておくとよいでしょう。

【ステップ②GA4活用設計】
GA4の活用設計を行います。改めて自社の課題にあてはめて、どういう風にGA4を活用していくのか、活用方針を検討していきます。自社のターゲットユーザーのジャーニーであったり、今後の課題を整理していき、それから逆算してGA4で追いかけるべきKPIであったりレポートの形を決めていきます。

【ステップ③GA4基盤拡張】
活用設計を行うと、不足しているデータが浮き彫りになってきます。ここからイベントを追加実装したり、Googleタグマネージャーへの追加のタグ投入を行ったり、自社にあったデータ基盤へとカスタマイズを行います。

【ステップ④データ活用】
GA4のデータを使って定期的なモニタリングのレポートを作っていったり、アドホック的な分析を行って課題を発見したり、施策の立案や施策を実施した後の効果検証を行い、マーケティング改善のPDCAを回していくフェーズです。

ではステップ②において具体的に何をすればよいのか、詳しく掘り下げていきましょう。

GA4活用設計の考え方

GA4の移行自体は比較的簡単にできるものの、そのデータを活用して自社のマーケティング改善の運用に活かしていくのは意外とハードルが高く、なかなか進まないというのが多くの現場の実情かと思います。そのハードルを越えるために、GA4活用設計のプロセスが重要になってきます。

 
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GA4活用設計では、自社の現状を整理したうえでGA4のあるべき活用の方向性を定めていきます。そのプロセスにおける特に重要なポイントは、自社における重要な顧客であったり、その顧客のジャーニーを整理することです。GA4はフルジャーニーの最適化を目的としたソリューションなので、まずは自社における重要な顧客のジャーニーがどういったものなのかを整理することが必要になってきます。その後、ジャーニーの最適化という観点から現状の課題と今後取り組むべき施策を整理していって、今後の課題や施策から逆算して重要な指標にブレイクダウンしていきます。そのうえで、今後定期的に追いかけるべきレポーティング項目や分析事項を整理して、もし足りないデータがあれば、追加で取得が必要なデータの定義を行います。

ここからは、GA4活用設計の各プロセスを詳しくみていきましょう。

①顧客像・ジャーニー可視化

まず自社において重要な顧客像や、理想的なジャーニーを整理するところから始めます。ターゲットユーザーの人物像を事細かにリアルに設定するような本格的なペルソナ作成は大変です。ペルソナまで作りこむ必要はなく、下記の観点から大まかに整理できれば十分です。

  • どんなニーズを持っているのか
  • どんな属性のユーザーを顧客として重視するのか
  • 自社のサービスや商品に対して、最初にどういった接点を持ったか
  • どういった事項を重視して購入や申し込みを検討しているか

多くのサイトでは異なるニーズを持った複数のユーザー群がいるケースもあるかと思います。そういったケースでは、下記のように分けて整理するのが望ましいです。

 
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次に、ターゲットユーザーのジャーニーを整理していきます。現時点での想定で構いませんので、顧客が自社を認知してから購入に至り、優良会員になるまでの理想のジャーニーというものを可視化してみましょう。比較検討、初回購入という形で各フェーズにおいて顧客の心理状態であったり、タッチポイントで想定される行動を整理していきます。

 
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ターゲットユーザーやジャーニーの整理は、その時点で取得できているデータの範囲内になってしまうとは思いますが、GA4が整備されていなければUAのデータを使うなど、定量データも役立てることができます。GAのユーザー属性や閲覧コンテンツであったり、Google Search Consoleの検索クエリなどを確認することで、現時点でどういったユーザーがどんなニーズを持ってサイトに来訪しているのか、ジャーニーの参考にすることができます。また、現状のサイトへの流入経路であったり、コンバージョンの期間やセッション回数など、コンバージョンまでの接点がどのように発生しているかのところも、定量データを参考にできるかと思います。

担当者が単独でジャーニーの整理や施策を検討するというよりは、顧客のジャーニーに関わる他部門、たとえばECサイトであればコールセンター業務に携わっている担当者、リード獲得サイトであれば営業担当者など、他の部署のスタッフも巻き込んで進めていくと、ユーザー像やジャーニーの精度が非常に上がります。

また、たとえばセールスチームとの会話の中で、GA4の行動データを営業のアプローチに活かしたり、データ活用のアイデアも拾えるかもしれません。多くの企業において、GA4を活用して顧客体験を改善していく段階ではWebの部署内のみで完結しないことが多く、組織横断で一気通貫した取り組みが求められます。そのためにも、データ活用の設計段階から他部門も巻き込んで、ともにデータを活用して顧客体験を改善していき、社内全体で一緒に共通認識を高めていけると非常に理想的です。

②KPI設計

理想のジャーニーを目指す上で、認知、比較検討、初回購入といった各フェーズにおいて、現状どういった課題が存在しているのか、その課題を解決する上でどのような取り組みを実施中、もしくは今後実施する予定なのかというところを洗い出すことが肝要です。

 
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フェーズごとにボトルネックになっている重要な課題と施策の整理を進めて、その施策の成果を測るKPI、たとえば売上や問い合わせ数など、自部署の達成目標に向けての達成度合いを評価する指標を設定します。

もし認知フェーズで潜在ユーザーへのアプローチ不足というところに課題があり、認知広告に取り組む場合、インプレッション数やCTR、サイト流入直後のエンゲージメント率が評価指標として考えられます。各フェーズにKPIを設けてGA4で計測をすることで、ジャーニーが想定通り改善ができているのかというのをGA4上で検証できるようになります。

顧客体験の改善を継続した結果、最終ゴールとなる「サイト成果の最大化」において、どういったところにボトルネックがあって、どのような取り組みを行うのかを洗い出し、そこから逆算してGA4で追いかけるべき指標へ落とし込んでいくことが重要になってきます。

③レポーティング設計

取り組むべき指標やKPIが整理できたら、レポーティング設計のフェーズに移行します。月や四半期の定点レポートにおいて、どういった項目を確認していくのか、施策の成果の検証としてどういったアドホック分析が想定されるのかといったところを整理していきます。

 
reporting

また、レポーティングに際し、どういった手段でレポーティングするかというところも同時に検討していきます。GA4の標準レポートや探索レポート以外に、Looker StudioやTableauなどのBIツールなど、レポーティングには様々な選択肢があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、自社の実情にあわせて最適なレポーティング手段を選びましょう。

GA4の活用はスモールスタート可能

KPIやレポーティングの整理が完了すると、必要なデータ基盤が明確になります。不足している部分があれば、追加でデータ基盤の拡張を行っていきます。データ基盤を使ってデータの活用を進めていくことが、理想的なロードマップになります。

 
roadmap

理想のロードマップはあるものの、担当者がGA4を学び始めたタイミングで自社にとって最適なGA4の設計やカスタマイズの実装を一発で完成させるというのは難しいケースがほとんどです。その場合、まずは自社のジャーニー上の最重要課題に着目し、その課題に対してうまくGA4を活用できないか?という視点で考えていくとスムーズにスタートできます。優先度の高い課題から活用設計、データ活用の実践を小さく繰り返してPDCAを回し、トライ&エラーで進めていきましょう。

(株)プリンシプルによるGA4活用支援

GA4活用支援サービスについて

株式会社プリンシプルは、GA4の移行ロードマップにおいて伴走支援サービスを提供しています。GA4の実装からデータの活用まで、一気通貫でサポートが可能です。

 
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プリンシプルのGA4トレーニングについて

プリンシプルの研修では、各企業様の受講目的、達成したいレベル感などご希望をヒアリングのうえ、ご要望に応じてカスタマイズを実施。自社における実務に活かせる知識・スキルの定着が可能です。

 
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(株)プリンシプルとは?

本記事で話をしてくださった村松沙和子さんが所属する株式会社プリンシプルは、コンサルティング、マーケティング、テクノロジーを兼ね備え、デジタルマーケティングDX戦略の立案から実行までを一貫して提供する企業。

GA4に関しての取り組みについても幅広く進めており、ビジネス背景や課題をヒアリングし、GA4を最大限活用するために最適な導入設計からデータ活用まで支援、データ活用の自走化に向けたGA4のトレーニングやヘルプデスクなどの提供もしています。GA4をより深く活用していくことを検討しているならぜひ相談を。

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https://www.principle-c.com/

 

2023年7月「The Principle Days 2023」開催決定!
豪華講師陣のウェビナーが無料で視聴可能

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株式会社プリンシプル主催のデジタルマーケティングイベント「The Principle Days 2023」。
今回のテーマは「Googleアナリティクス4(GA4)」です。

GA4への移行に伴い、セッション軸からユーザー軸への分析、それに伴うマーケティング戦略の転換が求められています。だからこそ各企業がやらなければいけないことは、ユーザー軸での分析をした上でカスタマージャーニーの最適化をすることだと考えております。

しかし、ユニバーサルアナリティクス(UA)に比べてGA4は機能が高度化しており、使いこなすのが難しいという声をよくお聞きします。また、「マーケティングを実際にどのように変えていくべきか」についての情報もまだまだ少ないのではないでしょうか?

そこで本イベントでは、「GA4活用支援実績80社以上」「GA4トレーニング実績1200名以上」の株式会社プリンシプルが、GA4活用を推進する事例も含めて最新情報をお届けします。

多くの企業様にデータを軸としたデジタルマーケティング戦略の立案からWeb広告・SEO施策までをサポートしてきたプリンシプルだからこそ提供できる貴重な情報が盛りだくさん!

GA4の活用で遅れを取らないために、そして一歩先を行くために、The Principle Days 2023 へのご参加お待ちしております。

 

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