我が家のプロジェクトマネジメント失敗談 事例詳細|つなweB

昨今は制作現場に限らず、日常生活においてもプロジェクトマネジメントが必要な場面や、それを好んで導入するシーンが増えているように思います。その背景には、『テラスハウス』『バチェラー』のようなリアリティショーの影響なんかもあるのではないのかな、と。日常生活をプロジェクト化することで、プレイヤーとしての「主人公」と演出家としての「プロデューサー」、言い換えれば主観的にも客観的にも楽しめますからね。課題のある物事に対して少し距離を置いて冷静に進めるためにも、プロジェクト化は好都合な手法なのだと思います。ということで、今回は私自身の直近プロジェクト「海外移住」で起こってしまった3つのプロジェクト失敗談をお伝えします。

 

・失敗その1_プロジェクトマネージャーの不在!

家族移住はチームプロジェクトですが、全体を把握してスケジューリング、タスク振りをするマネージャーを置きませんでした。夫婦2トップの布陣で「都度話せばいい」と。結果、お見合い&譲り合い(なすりつけ合い)&スケジュール遅延と、よくある事態が頻発。WDの読者さんなら、こういう状況を経験なさっている方が多いと思うので、結果はご想像にお任せします。ある意味「失敗あるある」でお恥ずかしい限り。

・失敗その2_タスクと工数の管理不足!

移住日の1カ月前まで、夫婦ともに仕事はフル稼働。にもかかわらず準備に当てる時間の洗い出しと工数管理が不十分なまま、タスクは積み上がり、これは本当に移住するのか? と疑わしくなるほどでした。その結果、最後の荷物整理や事務作業は、仕事の合間を縫って分単位で遂行する始末。まさに地獄の1カ月でした(苦笑)。急遽、外部スタッフ(親とか友だちとか)に追加発注も…工数管理は本当に大事です!

・失敗その3_ゴールが曖昧。キャッチフレーズが必要!?

「移住」は一見するとゴールです。が、たとえばWebサービスやアプリでも「ローンチ」がゴールではありませんよね。それは通過点に過ぎず、ローンチを経てどういうメッセージを社会に発信するのか、そのビジョンが必要です。と、日頃から口を酸っぱくして言っているのに自分のことになった瞬間、忘れてたなぁと。移住プロジェクトを経て家族で達成したいことを、キャッチフレーズにしておけばよかったと今になって思います。

これらをどう挽回したのかというと、「やばい!」となった私が重い腰をあげて、プロジェクトマネージャー的に動き始めたことが挙げられます。動ける時間、優先順位付け、工数管理、タスクのリスト化(担当決め)、リソース追加など。そこで、とりあえず最低限の「ベター」を採択していきながら、なんとかローンチに漕ぎ着けました。なにより、最後の追い上げと巻き返しは、普段の仕事で「これ、やばい!」という状況を回避したプロジェクトマネージャーとしての経験が少しは活きたように思います(笑)。

仕事に限らずプライベートにおいても「プロジェクト化」はおすすめ! なのですが「プロジェクトマネージャーの任命」「タスクと工数管理」「ビジョンの設定」は特に大事です。それが恋愛であっても結婚であっても、たとえ子育てであっても。

以上、米国ポートランドへの移住を完了し、新しい暮らしを楽しんでいる今だから書ける話でした。思えば2019年7月は俗に言う「炎上」だったなぁ。反面教師としていただければ幸いです!

「いまからポートランドに移住するよ!いってきます!」 2019年8月成田空港の搭乗口付近にていまから乗る飛行機を眺める次男
ナビゲーター:松原佳代
2005年に(株)面白法人カヤック入社。広報および企業ブランディングを担当する。2015年に独立し、株式会社ハモニアを設立。スタートアップの広報戦略、広報人材育成をおこなう。2017年7月より、(株)カヤックLivingの代表取締役を兼任。暮らし、住宅、移住をテーマとする事業を展開する。カヤックLiving/ Twitter @kayom
松原佳代
※Web Designing 2020年2月号(2019年12月18日発売)掲載記事を転載

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