ボードゲームで学ぶプロジェクトマネジメント 事例詳細|つなweB

プロジェクトマネジメントの大切さは理解できるけれど、何から手をつければいいのか、どこに視点をあわせればいいのか、ピンとこないという人も少なくないのではないでしょうか。そんな人にぜひオススメしたいのがボードゲーム「プロジェクト テーマパーク」。なんとこのゲーム、開発したのは「Backlog」の開発・運営をするヌーラボ! プロジェクトマネジメントを知り尽した彼らだからこそつくることができたこのゲームの「制作の経緯」と「遊びどころ」を作者の砂川祐樹さんに聞いてみました!

 

マネジメントの楽しさを知ってもらいたい!

——なぜヌーラボが、ボードゲームを?

砂川 直接のきっかけはテレビです。 地元の福岡のテレビ局と「何か面白い企画を考えよう」から始まり、「ボードゲームをつくれないか」という話になりまして(編集部注・ヌーラボは福岡に本拠を置く)。

——そこで白羽の矢が立った、と。ただ、砂川さんはエンジニアですよね?

砂川 はい。普段はBacklogの開発チームで働いています。ただ、ブラウザゲームの開発・ディレクションをしていた職歴があるので、ゲームというジャンルにはなじみがありました。 

——経験があるとはいえ、プロジェクトマネジメントのゲームをつくるなんて難しそうです。

砂川 Backlogの開発に携わっている中で、普段から思うところがありまして、それを念頭においてゲームのルールに落とし込む構想を練っていきました。

——「思うところ」というのは?

砂川 おかげさまでBacklogは多くの方に利用していただいているのですが、中には「何からやればいいのかわからない」「難しくて続かない」といった声をいただくことがあります。

——やるべきことを理解できても、コツを理解するには時間がかかりますよね。

砂川 日々「プロジェクトマネジメント」というジャンルと向き合っている立場からすると、その点がとても残念だと思うところなのです。うまく管理できれば、プロジェクトはもっと効率よく進められるようになりますし、マネジメントすることの面白さを感じることもできるはずです。

——いいところ、楽しいところを知ってほしい、と。

砂川 はい。これまでもヌーラボではプロジェクトマネジメントの基礎を説明するWebページをつくるなどして、そのための取り組みをしてきました。…実はそのページも僕がつくったんですが。

——砂川さんはエンジニア兼プロジェクトマネジメント広報宣伝大使というわけですね(笑)。では、この「プロジェクト テーマパーク」で遊ぶことで、具体的にどんなことがわかるのでしょうか?

砂川 プロジェクトマネジメントというとマネージャーだけの仕事と思われがちです。確かにそういう一面もあるのですが、大切なのは目的のために「チームで」取り組むことです。このゲームでは、同じ目標にみんなで向かうことの大切さや楽しさを感じられると思います。

——なるほどー。では、ゲームの遊び方を教えてください!

 

 

自分ごととして捉えたチームが勝つ!

——では作者の砂川さんに、ゲームの遊び方を説明してもらいます。

砂川 プロジェクト テーマパークは3人から5人で遊ぶ協力型のゲーム。参加者が皆で協力してテーマパークをつくるというゴールを目指すわけです。

——対戦型ではないのですね。具体的には何をすると「勝ち」ですか?

砂川 決められた納期である6カ月以内に、必要なアトラクションを建設できれば勝利です。納期をオーバーしてしまったり、クライアントの信頼を失ってしまったらゲームオーバーです。

——やけにリアルな言葉が出てきますねー。ちょっとドキッとします(笑)。

砂川 アトラクションによって、建設の難易度が違います。といっても、カードに書かれているサイコロの目が出ればいいんです。例えば「ゴーカート」は4以上の目が出れば建設できます。

——ふむふむ。「トイレ」は2以上、「回転ブランコ」は5以上、「ジェットコースター」は15以上…ん? 15ですか!?

砂川 これは複数メンバーのサイコロの目を足す、つまり協力して建てるアトラクションですね。

——「天気」や「ヤル気」のカードは?

砂川 これらは、ゲームの進行に影響を与えるカードです。いいカードなら、サイコロの目に数字を加えることができたりして有利になるのですが、悪いカードだと逆になります。

——「マネージャー」「エース」「トラブルメーカー」と、キャラを決めるカードも。

砂川 これらはチームに影響を与えます。マネージャーやリーダーはいい影響を、トラブルメーカーは…(笑)。

——実際のプロジェクトにある要素がしっかりと入っているんですね。

砂川 先ほど申しましたが、このゲームは自分のことだけ、目の前のことだけ考えていると失敗します。もちろんゲームですから、いくら失敗してもいいんですが。

——人によって、さらにはチームによってゲームの進め方は違うでしょうね。

砂川 どういう順序で建設をするのかを考える「見積もり」に、ものすごい時間をかけるチームもあります。実は、1ゲーム30分くらいを想定していたのですが、2時間以上かけるチームもあるんですよ。

——時間をかけたくなる気持ち、だんだんわかってきました。さっそくやりこんでみますね。今日はありがとうございました!

教えてくれたのは…砂川祐樹さん
「プロジェクト テーマパーク」の制作者。株式会社アピリッツでゲーム開発・運営のディレクション、開発に広く携わった後、株式会社ヌーラボに入社。プロジェクト管理ツールBacklogの開発に携わる
「プロジェクト テーマパーク」
プレイ人数3~5人/プレイ時間30分~/対象年齢12歳以上/参考価格:4,500円/(株)ヌーラボ
プレイヤーは納期までに必要な数のアトラクションを建てるというプロジェクトを協力して完成させていく。クライアントとの信頼関係も重要だ!
Text:小泉森弥
Photo:黒田 彰
※Web Designing 2020年2月号(2019年12月18日発売)掲載記事を転載

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