知識とスキルのアップデートに資格試験を活用する 事例詳細|つなweB

厚生労働省が所轄する技能検定は、プロとしての知識や技量に関する資格で、建設施工から機械整備、食品加工など専門技術が必要な約130職種を扱っている。取得すれば「技能士」の資格が与えられ、履歴書にも書くことができる。仕事をするには取得必須という業界も多い。

その技能検定で得られる「ウェブデザイン技能士」は、Web関連で唯一の国家資格だ。2007年以来、のべ3万8,000人が受験し2万人が取得。学科と実技両方の合格が必要で、特に1級は合格率10%台、毎年10名前後しか合格しない難関だ。セキュリティや関連法令、エンジニアリングの知識も必要となる。

Web制作は、学歴や資格などはあまり関係ない実力勝負の世界なので、資格が不要と考える現役のWebデザイナーも多いだろう。しかし資格をとらなくても、この試験を目標にテキストなどで勉強することは大きな価値がある。実務や関心で身につける技能は偏りがちだが、資格試験対策で必要な技術を系統的、網羅的に学べるからだ。3級レベルなら基礎知識のチェックリストとしても使える。

一方、たとえ資格を取っても求められる技術そのものは変化する。特にインターネットに関わる技術は変化のスピードが著しい。ウェブデザイン技能士は生涯有効(更新不要)の資格だが、検定制度の始まった頃と現在では必要な知識も異なり、取得したからといって安心できない。プロとしてさらに学習すべきだろう。

近年、リスキリングという言葉が注目されている。営業職や事務職からデジタル・IT関連の新しい仕事に転換するための学び直しという意味で使われることも多い。しかし、どんな仕事でも技術のアップデートは不可欠だ。資格試験や技能検定はその標準を示す役割も担っている。

 

「ウェブデザイン技能検定」の受検者数と合格者数について、公表されたデータ直近3年を見ると、1級の合格者率が毎年極端に低いことが明らかだ。 出典:出典:インターネットスキル認定普及協会 https://www.netskill.jp/about/public/

 

萩原雅之
※Web Designing 2023年2月号(2022年12月16日)掲載記事を転載

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