信頼と成果を生む、2つの“スキル” 事例詳細|つなweB

今号からコラムを担当することになった、株式会社メンバーズの三瓶(さんぺい)です。普段はクリエイターのための学びの場をつくる仕事をしており、「UX MILK」というUXデザインに関するメディアやその関連でイベントなども行っています。どうぞよろしくお願いします。

さて、今回のテーマは「リモートワーク」ということですが、ご多分に漏れず、私もフルリモートで働き始めて3カ月が過ぎました。オンラインイベントの開催も増えてきて、自宅のデスクが着々と配信スタジオ化しております。

弊社は地方展開にも力を入れており、元よりリモートの準備を進めていたおかげで、1,500人規模の会社にしてはスムーズに移行できたと思います。超迅速に行われる制度改革や進められる環境整備にリスペクトを送りつつも、現場側では当然のように戸惑いも多く、必死にマインドセットを切り替えて順応しようとしている状態です。

かくいう私はあまり勤勉なタイプではなく、完全在宅のフルリモートだと「サボってしまうのではないか…」という懸念があったのですが、いざ自宅で仕事をこなしてみると、きちんとバリューを発揮できているかの方が気がかり。結果、サボるどころかむしろ仕事をし過ぎてしまうことがあるくらいです。

リモートワークは、Web会議とテキストチャットのペアで進行するケースが多いと思うのですが、どちらも基本的に仕事の用件でしか使いません。それゆえ、従来の働き方よりもコミュニケーションの幅が狭くなっていると思います。オフィスにいたときは、要所でその場の空気感や雰囲気でフォローする場面もあったような気がします。

そのような行間抜きのリモート環境では、Web会議とテキストチャットという限られた接点を最大限に活かしていかなければならないという、ある種の緊張感を強いられる感覚を覚えるようになりました。

たとえば、会議でのこと。「何も喋らないのは、出席していないのと同じ」であることをリモート会議でより実感するようになりました。全員の顔がアップで正面から映っていたり、声の大きさも一定だったりするせいか、消極的な姿勢はネガティブな印象を増幅させてしまうように感じます。誰が設定した会議であっても、常にファシリテーション側に回るくらいの主体性があって初めて、うまくいく気がします。

Slackなどテキストベースのやりとりも気が抜けません。他者へのお願い、指摘、作業報告、会議の議事録など、自分のライティングスキルを披露する場面は多くありますが、たまに見返したとき、ビックリするほど(!)おかしな日本語を並べている自分を見付けてしまいます。口頭でフォローしづらい環境では、それだけで信頼を失う恐れもあるので、より丁寧に、簡潔で明快なライティングを心がけています。

差し当たり、リモートワークでは「ファシリテーション」と「ライティング」の2つのスキルが問われている気がします。これらのスキルを意識することで、リモート環境でもチーム内の信頼関係を保ち、どんな仕事でもバリューを発揮していけるのではないかと思う、今日この頃です。

ちなみに私自身、ライティングは苦手意識があるので書籍を何冊か読んだのですが、本田勝一氏の『日本語の作文技術』(朝日新聞出版刊)は自身の作文を見直すきっかけになった1冊です。かなり昔の本で文章のクセも強めですが、目からウロコな例題も多く、オススメです!

オンラインでのイベント開催も増えてきて、自宅のデスクが着々と配信スタジオ化しています。機材やイベントの配信方法については、先日はじめて投稿したnoteにまとめてあるので、興味のある方はぜひご覧ください!
ナビゲーター:三瓶亮
株式会社フライング・ペンギンズにて新規事業開発とブランド/コンテンツ戦略を担当。
また、北欧のデザインカンファレンス「Design Matters Tokyo」も主宰。前職の株式会社メンバーズでは
「UX MILK」を立ち上げ、国内最大のUXデザインコミュニティへと育てる。ゲームとパンクロックが好き。
個人サイト: https://brainmosh.com Twitter @3mp
三瓶亮
※Web Designing 2020年8月号(2020年6月18日発売)掲載記事を転載

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