ヘッドレスCMS運用にマッチする組織の形とは 事例詳細|つなweB

ヘッドレスCMSの導入は、従来の垂直統合型の制作手法を、水平分業型へと変えていく、大きな変化を促すものです。その強みを活かす組織づくりと意識改革が重要なポイントになります。

 

垂直統合型と水平分業型の違いとは

これまでCMSを使ったWeb構築といえば、フロントエンドとバックエンドが一体化したカップルドCMSを利用した、「垂直統合型」の制作が主流でした。その構造上、全体を統括するリーダーの権限と役割が大きくなる一方で、制作者一人ひとりの仕事の境界が曖昧になりがちでした。

一方、ヘッドレスCMSをバックエンドに採用し、APIを利用してフロントエンドや外部リソースをつないでいく「水平分業型」の制作では、リーダーの役割はマネジメントがメインとなり、制作者一人ひとりの責任範囲が明確化します。

垂直統合型の制作から水平分業への転換は大きな変化です。リーダーの役割のみならず、制作者一人ひとりに求められる能力も責任意識も変える必要があります。当然、外部パートナーを選定する場合や、新しい人材を発掘・育成していく際にも、その適性を見極める必要があるでしょう。

「垂直統合型の制作手法がうまくいっているし、組織にもマッチしている」というのであれば、今はあえて手をつける必要はないかもしれません。

ただし、Webの世界において、APIを使って多様なリソースを活用していく流れはもう止まることはないでしょう。つまり、Web制作環境は遅かれ早かれ水平分業的な世界へ変化していくのです。いちはやく舵を切れるかが将来に向けた鍵になるのは間違いありません。

Webの世界の流れを注視していく必要性

この考え方は、制作会社のみならずWebを活用してサービスを提供したり、マーケティングを行っている企業の皆さんにも必要です。水平分業型にマッチした仕組みを構築することのメリットが今後一層大きくなっていくからです。

すべてを自社でつくるのではなく外部のリソースを積極的に活用する。内向きに閉じたシステムを構築するのではなく、機能や情報をAPIを利用して積極的に公開していく。近い将来、日本においてもそうした考え方が標準になっていくでしょう。

ヘッドレスCMSはそうした時代を生き抜くための武器になるはずです。

 

まとめ
★ヘッドレスCMSがもたらす水平分業化にマッチした人・組織を育む
★リソースを活用するだけでなく提供する組織に変えていく

 

 

Text: 小泉森弥
※Web Designing 2022年2月号(2022年4月18日発売)掲載記事を転載

関連記事