ヘッドレス導入でWeb制作はこう変わる 事例詳細|つなweB

ヘッドレスCMSを採用することで、フロントエンドとバックエンドを分離して制作ができるようになります。では、これによってWeb制作会社の仕事はどう変わるのでしょうか。

 

効率化を進めることで本来の業務に集中できる

近年のフロントエンド制作の仕事は多様化し複雑化しています。Web制作会社のそもそもの仕事はUIデザインや体験設計といった、人との接点の部分の構築にあると思うのですが、最近はバックエンドが担う仕事の一部をWeb制作会社が担当するケースが増えています※3。実際にWordPress等のカップルドCMSの構築をすべてWeb制作会社が行なっているケースも少なくないのではないでしょうか。

長くバックエンド側にいる人間としては、そうした面倒なバックエンドの仕事については、自分たちで担当するにしても、もっと単純化し、効率化できるのではないかと感じています。

そこで役に立つのがヘッドレスCMSです。例えばクラウドで提供されているような、安価なヘッドレスCMSを活用すれば、非効率な部分をそちらに任せることができ、「人との接点部分の構築」に集中できるようになりますし、マルチデバイス施策のような、将来性の高い提案もできるようになる。そのメリットは非常に大きいのではないかと思います。

プロジェクトは2つに分けられる

ヘッドレスCMSを利用したサイト構築では、フロントエンドとバックエンドがAPIでやりとりする形になるので、あらかじめAPIの仕様さえ決めておけば、それぞれ独立した形で仕事を進めていくことができます。また、サイトの機能の一部を完全に切り離すこともできます。つまり、Web制作という1つのプロジェクトを、複数のプロジェクトに分けることができるのです。こうした専門領域を分けた仕事の仕方を「水平分業型」と言い表すとわかりやすいでしょう。

水平分業型を、「垂直統合型」ともいえるカップルドCMSの制作と比較してみると違いは明らかです(上図参照)。カップルドCMSはフロントエンドとバックエンドが分離していませんから、プロジェクトの進行は、全体の流れを見ながら行うことになります。一部の仕様が決まらないため、進行がストップしてしまうといったことも起きます。

Web制作は水平分業型を目指す!?

一人で制作を行える小規模案件や、すべてを理解し把握する強力なリーダーがいる場合には話は別ですが、近年の高機能かつ複雑なWeb制作においては、専門性の高い人材にそれぞれの領域を任せる形の水平分業型の制作がマッチすると思います。ヘッドレスCMSを導入する意味は、こうした点にもあるのです。

 

フロントエンドとの接続だけでなく、さまざまな外部リソースと接続する際にもAPIが使われます。ちなみに、APIを通じて情報を呼び出すことを「APIを叩く」と言ったりもします

 

【Check】ヘッドレスCMSに jamstackは必須なの!?

近年話題のjamstack。ヘッドレスCMSと一緒に語られることが多いこともあり、ヘッドレスCMSのフロントエンドにはjamstackを利用したフロントエンドが必須だと思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。ヘッドレスCMSではもっと柔軟にフロントエンドの選択が可能です。ただし、静的サイトと動的サイトのいいとこ取りをするjamstackがヘッドレスCMSと相性がいいのは確かです。今後この組み合わせで制作が行われる機会は増えていくでしょう。

 

まとめ
★ヘッドレスCMSを使うとフロントエンドとバックエンドを分離できる
★Web制作という1つのプロジェクトを複数のプロジェクトに分割することができる
★それそれの専門性を活かした水平分業型の制作に移行できる

 

 

Text: 小泉森弥
※Web Designing 2022年2月号(2022年4月18日発売)掲載記事を転載

関連記事