アクセス解析は悩みの種。AIアナリストでデータ傍観者を卒業! 事例詳細|つなweB

東大生でもデータ分析は難しい

あなたの会社は「Googleアナリティクス(以下、GA)」を放置していないだろか。データを眺めているだけで、次のアクションへ繋がらないという人も多いのでは?

(株)WACULが提供する「AIアナリスト」は、その名のとおりAIを使ってWebサイトのアクセス解析を行うサービスだ。GAやFacebook、Googleサーチコンソールのアクセス解析ツールをもとに、機械学習の手法を用いて複合的にアクセス解析を行い、改善点を提案してくれる。

Webコンサルティングを行う会社だったWACULが、いち早くAIの可能性に気づき、2015年5月からAIアナリストのサービスを始めた。現在、登録サイトは1万件を超える。もとは、代表取締役CEOの大津裕史さんが社内の開発合宿で提案したことがはじまりだった。

「AIアナリストは、社内システムとして2014年に私が開発したものです。当時は分析担当として現役東大生を10人ほどアルバイトとして雇っていたのですが、日々の業務にストレスを感じていました。データ分析をマスターしてもらうために、5日間の研修合宿を行い、次に実務を通して学んでもらう。2~3週間ほど経験を積んで、ようやく社員によるチェックを通してなら、なんとか外に出せるレベル。それでも提案書を1つ作成するのに5~6日もかかる上、クライアントへの提案の直前にミスを発見したり…。東大生でもデータ分析ができるようになるまでにこれだけ時間がかかるのだから、一般企業の社員が通常業務の合間にGAを使うだけでは正確なレポートを作成できるわけがないですよ。そこで人がつくるデータの不安定さを排除して、機械が網羅的に分析する業務補助ツールとしてAIアナリストを開発しました」(大津)

AIアナリスト
(株)WACULが提供する自動アクセス解析サービス。Google Analyticsを導入しているWebサイトなら月額4万円からで利用できる。無料登録でも一部の分析結果が閲覧可能 https://wacul-ai.com/

AIアナリストを利用する「ソーシャルPLUS」&「DF PLUS」(1)
FacebookやLINE、Yahoo! アカウントなどに対応したソーシャルログイン機能をベースに外部ID連携を簡単に実現できるASPサービス https://socialplus.jp/
AIアナリストを利用する「ソーシャルPLUS」&「DF PLUS」(2)
商品データをダイナミックバナー広告やリターゲティング広告などの多様な広告媒体に合わせて変換、最適化して配信するデータフィード運用ASPサービス https://dfplus.feedforce.jp/

 

成果達成率は6割を超える

データフィードに特化した各種サービスを展開する(株)フィードフォースでは、約1年前からAIアナリストを導入している。マーケティング担当の澤井和弘さんを中心にAIアナリストをチェックしているそうだが、導入前後でどんな変化があったのだろうか。

「以前はデータ分析ができる人間が社内で僕だけだったので、毎日GAを見ていました。異常値があれば細かく分析して、改善策を制作担当に伝えたり。それが毎日となると大変なんです。アウトプットを最大化したいのに、そこにいたるまでの準備に時間がかかる。でも、AIアナリスト導入後は、上がってくる提案のとおりに修正をかけていくだけ。言いなりですよ(笑)。弊社ではコンバージョンを問い合せ数と資料ダウンロードに設定しています。流入はほぼ変わらないのですが、この1年で問い合わせ数は導入前の約1.5倍に増えました」(澤井)

AIアナリストは今年3月に全面リニューアルを行い、個別の事情に合わせてより細かな分析ができるようになった。流入元や自然検索キーワードなどデータをまとめた「レポート」機能、そこから導かれる具体的な改善点をAIアナリストが「提案」してくれる。変更した場合の「成果予測」も表示されるので、どれから対応すべきかの判断もしやすい。現在、AIアナリスト全体の成果予測の達成率は60%を超える。通常のWebコンサルティングが30%ほどというのだから驚きだ。

「コンサルティングを依頼すると、できるだけWebサイトを作り直そうと提案される。でも、Webサイトをリニューアルして流入が増えることって、実はめったにないんです。ユーザーにとって慣れもあるので、結果的に流入が下がることが多い。私たちとしても手間のかかるリニューアルを勧めたいわけではなくて、動線を少し変えるだけで改善できるのであれば、それで充分です。現在、成果達成率が6割を超えているのですが、それでも修正した結果、数値が下がるということがたまにある。でも、小さな修正ならすぐに戻せる。AIアナリストはユーザーのコストを削減して、成果を上げることを目指しています」(大津)

 

1万件の事例から最適解を導く

サービス開始から2年ながら、1万件以上の膨大なアクセス解析データがAIアナリストに蓄積されている。その数は大手広告代理店にも負けない。成功した提案も、うまくいかなかった提案も数が増えるほど、データ分析の精度が増す。それもAIならではのメリットと言えるだろう。

「導入前は僕が分析した結果と修正の方針を制作担当に伝えても『なぜそうしたいのか?』という説明を求められた。でも、今はAIが分析した結果だとを理解してくれているので、スムーズに方針を共有することができています」(澤井)

フィードフォースがAIアナリストに信頼を寄せるのは、IT企業だからこそ。一般企業ではAIの分析結果よりも、自分でデータを見て感じた体験こそ重要だと言う人も多いそうで…。

「企業のWeb担当者の仕事の約半分は社内への説明なんです。今回のリニューアルでは『レポート機能』を充実させたので、具体的なデータを見たがる上司への資料としても満足いただけると思います。正直、データを見たがる人にはそれだけでは、次のアクション繋がらないことに早く気づいてほしい。Web担当者の日々の苦労や気持ちをわかってもらいたいですよね」(大津)

AIがデータ分析をすると聞くと、機械的な印象を受けるが、AIアナリストのポイントは、AIが導き出した提案を受けて、アドバイザーと呼ばれるスタッフが具体的な修正案を伝えてくれることだ。澤井さんは、何か変更する際に、まずアドバイザーに相談することも多いと言う。しかし、AIアナリストの分析結果によっては、コンテンツの削除を勧められる場合もある。

「AIアナリストが『経由が悪い』と判断したら削除をお勧めすることもあります。『せっかくつくったのにもったいない』と思うかもしれませんが、それがあることでお客さんとうまくコミュニケーションがとれていないということ。修正によって数値が伸びた時には、データを通して『お客さまと会話ができた』と思ってほしいです」(大津)

デザイナーとクライアントの関係はよく医師と患者に例えられるが、そこで言うとAIアナリストは病理診断に近いと大津さんは言う。

「アドバイザーが医師で、AIアナリストが病理部門なんです。患者であるユーザーの不調をアドバイザーが聞いて、検査分析はAIアナリストにおまかせ。分析結果から考えられる具体的な治療方法は、医師から患者に伝えられる。この関係性がアクセス解析を行う上で最高のパフォーマンスを発揮すると思っています」(大津)

分析結果をもとにした「提案」
経由が悪いと診断された提案に対して、引用元のデータとともに、その理由をビジュアル化して伝える
流入元の月次レポート
データを表やグラフ化して表現するレポート機能。流入元だけでなく、経由ページやフォーム誘導なども確認できる
成果予測
提案をもとに修正した場合の成果を具体的な数値で教えてくれる。この場合、修正するとコンバージョン数が30日間で20増加すると診断している ※すべてサンプル画像
アドバイザーとのやりとり
(株)フィードフォースの澤井さんとAIアナリストの担当アドバイザーのやりとり。実際の「ソーシャルPLUS」のWebサイトをもとに、アドバイザーが具体的なデザイン修正案を提案してくれる ※専任アドバイザーはオプションサービスとなる
Webデザイン(before)
アドバイザーとのやり取りを受けて変更する前の「ソーシャルPLUS」

Webデザイン(after)
AIアナリストの分析結果を受けて、お問い合わせフォーム周りを変更した
大津裕史_Hirofumi Otsu
(株)WACUL 代表取締役
澤井和弘_Kazuhiro Sawai
(株)フィードフォース マーケティングチーム マネージャー
森岡まこぱ
※Web Designing 2017年6月号(2017年4月18日)掲載記事を転載

関連記事