誰もが使いやすい!管理画面を変えたUXデザイン 事例詳細|つなweB

仕事で使う業務ツールは、慣れないと使いこなすのが難しいものが多く、CMSもその一つ。では、誰もが使いやすい業務ツールの管理画面とはどのようなものだろう? その一例として、UX領域のプロ集団・グッドパッチがデザインを手掛けた、リンクアンドモチベーションのBtoBサービス「モチベーションクラウド」のインターフェイスを紹介します。

 

教えてくれたのは…治部 裕明
(株)リンクアンドモチベーション ビジネスデザイン室 マネジャー。「モチベーション」にフォーカスした経営コンサルティング会社。国内初の組織改善クラウドサービス「モチベーションクラウド」を提供し、社員の高いエンゲージメントと組織成果の最大化を両立するためのソリューションを提供している。https://www.lmi.ne.jp/
石井 克尚
(株)グッドパッチ デザイナー
大竹 智史
(株)グッドパッチ プロジェクト マネージャー
大角 将輝
(株)グッドパッチ フロントエンド エンジニア。UI/UXの領域に特化したデザイン会社。「デザインの力を証明する」をミッションに、さまざまな企業の新規事業立案フェーズから関わっている。2017年より「モチベーションクラウド」のデザインと開発をサポートしている。https://goodpatch.com

 

「モチベーションクラウド」とは?

「モチベーションクラウド」は、 (株)リンクアンドモチベーションが、3,940社、91万人のデータや組織人事コンサルティングのノウハウをもとに開発した、組織改善のためのクラウドサービス。さまざまな組織が共通のフォーマットを使用し、効果を上げています。会社の理念への共感度合い、仕事への納得度など、組織に関するさまざまなアンケートを従業員に実施し、組織と従業員のエンゲージメント状態を可視化・数値化したエンゲージメントスコアを算出。その結果に応じた実効性の高いアクションプランの設定や進捗の管理、アクションの効果測定というサイクルを繰り返し、組織力向上を実現します。

2016年のリリースから1年後に、(株)グッドパッチの協力のもと、UXの再設計からUIのフルリニューアルが行われました。

 

 

タスクベースで過多になりがちな画面を解消するには?

2016年にサービスがリリースされた時(Before)の画面は、「エンゲージメントスコアをモノサシ(指標)に、PDCA を回して組織を改善する」という「モチベーションクラウド」のコンセプトを踏まえて、1つの画面の中で、エンゲージメントスコアとPDCAの状況がすべて把握できるようになっていました。「エンゲージメントスコアを表示する部分」「アクションプランを入力する部分」「プランの進捗状況を確認する部分」「アクションに対してフィードバックのコメントを表示する部分」をそれぞれダッシュボードに配置。新たな機能を追加したい場合は、ダッシュボードの中に加えていく形にしていました。

リニューアルの話を受けた時、グッドパッチのメンバーは、ダッシュボードの中でかなり多くのユースケースに対応している状況を改善しようと考えました。「モチベーションクラウド」は、アンケート結果をベースに、アクションプランを考えてそれを実行することを繰り返すことで組織改善を図るシステム。このままだと、機能が増えるにつれてダッシュボードの中の要素や画面がどんどん増えていき、必要な情報が探しづらくなる懸念があったからです。その課題が解決できればユーザーの学習効率も高まり、このサービスをより身近に捉えてもらえると考えました。

さらに、「モチベーションクラウド」は共通のフォーマットをさまざまな組織が使います。ユーザーインターフェイスにおいて、すべての人にとって使いやすいものをつくろうとすると、どんどん説明的になり、画面が煩雑になる恐れも。そのような課題を踏まえ、機能の追加や変更が容易にできて、初めて使う人でもわかりやすい理想的UIをつくり上げるために試行錯誤を繰り返しました。

 

 

サービスのカギとなるものを検討し、シンプルなUXデザインを実現

悩んでいた画面設計にブレイクスルーを起こしたのは、オブジェクト(モノ)をベースにする「OOUI」というデザイン手法です。通常、システムに新機能を実装していく場合にありがちなのは、やりたいことを業務フローに沿って単純に実装して行くパターン。例えば、「改善項目を表示する」「アクションプランを入力する」「プラン進捗へのフィードバックをする」…というようにタスクを積み重ねていくと、どうしても画面が増えがち。それに対して、「改善」というオブジェクトを起点に画面を構築すると、できるタスクを増やしても画面数を抑えることが可能になります。つまり、オブジェクトベースで考えることがUIデザインのポイントです。

そこで開発メンバーは、このサービスの中で核となるオブジェクトは何かを考えました。サーベイ、組織、社員、改善…など、さまざまなオブジェクトを抽出していき、その中からコアとなるオブジェクトを選ぶ作業を行いました。実はこの作業こそ、UI/UXデザイナーの専門性が求められるところ。選び方を間違えると、後で新しい機能を増やす時に画面数が増えて使いにくいものになってしまいます。そこで、このサービスの特性や将来の機能追加など、さまざまなことを考えながら、コアとなるオブジェクトの検討を行いました。

「モチベーションクラウド」は、アンケートの「結果」をもとに組織を「改善」することがサービスの基本です。そこで、「結果」と「改善」という2つの名詞を軸に画面を設計しました。「結果」画面には、エンゲージメントスコアを、「改善」画面には、Plan、Do、Check&Actionの要素をまとめました。こうすることで、新しい機能が増えても画面数を抑え、シンプルで誰もが使いやすい画面を実現することができました。

 

 

 

 

 

Text:水溜兼一(Playce)
※Web Designing 2019年4月号(2019年2月18日発売)掲載記事を転載

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