リモートワークが人材採用に貢献。本社と地方の温度差も憂慮 事例詳細|つなweB

(1)現状と地方に拠点を持つようになった背景について

本社含めて3拠点で社員数40名(2019年6月末時点)。東京に29名、兵庫県豊岡市に6名(在宅勤務、サテライトオフィスあり)、会津若松に1名(シェアオフィスのデスクあり)。豊岡市以外の自宅でのフルリモートワーク4名(神戸、山口、福岡、鹿児島)。

兵庫県と豊岡市が協調して実施する「兵庫高度IT起業家等集積支援事業」に弊社が認定。豊岡市内で、在宅勤務で採用業務を行うママメンバーを採用するとともに、事業所も開設しました。自社内では、もともと柔軟な働き方を実践するために、2017年よりフルリモートワークを実現。豊岡市以外については、社員の転居先や採用人材の居住地がそのまま拠点となっています。

 

(2)それぞれの地方拠点と本社をつなぐ仕組みは?

リモートワークなどの活用を念頭にG Suiteを全社的に導入し、クラウド上にファイルを集約しています。管理系ツールも外部SaaSサービスを利用し、遠隔でも業務対応可能に。チャットツールは、全社的にSlackを採用。

会議システムは、リモート勤務者の増加とシステムの安定性からZoomを使用。全社員がアカウントを持ち、本社中継用にアカウントと機器(スピーカーマイク、カメラ)なども準備。クラウド上に勤怠ツールを入れて管理し、勤務開始と勤務終了の挨拶はSlack投稿をルール化。

 

(3)地方、複数拠点の役割について。所属社員やスタッフの人事評価は?

豊岡拠点メンバーは現地採用でフルリモート。主に採用代行(求人票作成と運用)のサービス開発など。会津は顧客/パートナー開拓。神戸は豊岡拠点メンバーのマネジメントと採用応募者一次対応、山口はバックオフィス業務、福岡および鹿児島はともにWebデザイン業務。

社員の評価は、OKR(Objective Key Result)を導入。決めた目標に対してどう活動し結果を出したかで評価し、遠方を理由に評価上の特別対応はしていません。

 

(4)地方、複数拠点を持つメリットや成果について

2018年末よりスタートした豊岡拠点は、想定以上に関心を集めて、約4カ月で6名を採用。独立性高く始まりましたが、東京本社と連携を申し出てくるなど、会社の雰囲気に変化が出ました。

全体的には、社内メンバーの離職防止。転居を理由に退職というケースがなくなりました。例えば、「地元に帰って働く」と決めていた社員が今年Uターンを実現。採用面談の場でも、率直に働き方の希望を応募者から引き出しやすくなりました。

 

(5)地方、複数拠点を持ったからこその気づき、注意点は?

東京のビジネスのやり方でそのまま地方企業と接すると、うまくいきにくいと感じています。在宅勤務やリモートワークという勤務形態が、地方ではまだ先進的で、在宅勤務当事者の周りに同じ境遇の人がおらず、孤独を感じやすいという報告も入ってきています。

本社の温度感がリモートでは伝わりづらく、温度感の伝え方や情報格差の埋め方は試行錯誤中です。特に現地採用者には東京本社を遠く感じる人もおり、本社への定点カメラの設置や常時Zoom起動なども検討中です。

遠藤義浩
※Web Designing 2019年10月号(2019年8月17日発売)掲載記事を転載

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