サテライトオフィスで地方の関係人口増加へ取り組む 事例詳細|つなweB

(1)現状と地方に拠点を持つようになった背景について

本社を含めて、4拠点で社員数23名。岐阜に18名、名古屋に4名、在宅テレワークが1名です。東京と福岡にあるサテライトオフィスには常駐者はいません。

名古屋支社は、市場開拓目的ではなく、名古屋方面から電車通勤3名がいたため、該当社員の働きやすさ目的で新設。本社と同じ仕事をしています。

岐阜にいるからこそわかる、地方の面白味や課題感があるため、東京や名古屋などの都市圏に本社を置いていません。地元採用は限界があるので、IターンやUターン採用に積極的です。さまざまな企業や自治体との施策を通じて、地方における雇用創出、観光PRによる関係人口増加に取り組み続けたいです。県外の案件が約4割あるので、比重が高く出張時に利用できる場として東京と福岡にサテライトオフィスを開設しました。

 

(2)本社と各拠点を支える仕組みは?

業務連絡や案件相談はChatworkかSlack、クライアントとの連絡はメールかChatwork、工数管理(個人のタスク管理、スケジュール)はBacklogかTrello、ミーティングはZoomかGoogle meet、欠勤などの連絡はLINEを使用。本社と名古屋支社とは、常時オンラインで様子がわかる映像を配信しています。また、オンラインミーティング用に会議室に専用カメラとスピーカーを設置し、各社員にヘッドセットを配布。

 

(3)本社とは別拠点の役割について。所属社員やスタッフの人事評価は?

拠点別で役割は分けていません。岐阜、名古屋それぞれにデザイナー、コーダーが在籍。ディレクターは全員が本社勤務です。そのため制作部全体では、週2~3回、岐阜と名古屋のメンバーが全員集まり、情報共有のためのオンラインミーティングを開催します。

また、拠点問わず共通の給与査定を導入し、成果物の内容や会社への貢献度で評価。3カ月に1度のマネージャー面談、1年に1度の社長面談をそれぞれ実施します。勤怠管理はクラウドでの勤怠管理ソフトウェアを利用。

 

(4)地方、複数拠点を持つメリットや成果について

月間平均約50件の問い合わせのうち、2~3割が県外からになります。毎年130%の増収で、順調に事業拡大中です。

現在、従業員の55%が県外移住者。名古屋支社ができて、名古屋なら勤務できるという人を採用でき、名古屋方面の採用応募が支社開設前より年間約20名増加しました。

弊社は、岐阜県内の10万事業者のうち124社が選ばれる「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」に認定され、認定後は通常より2倍のエントリーがあるなど、採用活動も好転中です。

 

(5)本社以外に拠点を持ったからこその気づき、注意点は?

メンバー同士のコミュニケーションは薄くなりがちなので、総会や社内イベントなど、メンバー同士が直接会う機会を大切にしています。従来、地方に本社を構えると新規採用が困難ですが、多様性や自由度など、一人ひとりの希望にあわせたメリットを多く出すことでエントリー数の増加につなげています。取引先を全国に加速させながら、今後社員が全国各地で働ける状態もつくりたいです。

遠藤義浩
※Web Designing 2019年10月号(2019年8月17日発売)掲載記事を転載

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