Google Chromeの「オムニボックス」、生成AIや独禁法の影響で戦略変更か 事例詳細|つなweB
Google Chromeの「オムニボックス」、生成AIや独禁法の影響で戦略変更か

Vox Mediaは10月19日(米国時間)、「Google’s Chrome search bar can now fix typos and search your bookmarks - The Verge」において、GoogleがChromeに対する戦略を若干変更しつつある可能性について伝えた。生成AI(Generative Artificial Intelligence)や独占禁止法訴訟がこうした行動に影響を与えた可能性が指摘されている。

GoogleはChromeのアドレスバーを「オムニボックス」と呼んでいる。これはアドレスバーがURLを入力するだけの機能ではなく、検索クエリの入力、ブックマークへのアクセス、履歴の検索など、さまざまな機能を持っていることに由来している。このため、ラテン語で「すべての」「全体の」といった意味を持つ「omnis」という言葉を組み合わせたオムニボックスという名称が使われている。

Googleはこのオムニボックスの改善と調整を続けている。URLのタイプミスは自動的に修正され、オートコンプリート機能はますます賢くなっている。しかし、最近の変更はこれまでのGoogleの戦略から外れるものとThe Vergeは指摘している。

これまでであれば、オムニボックスで「Facebook」と入力した場合、Google検索のページで「Facebook」を検索した結果が表示されていた。Googleにとって検索ビジネスは事業の重要な収益源であるため、ChromeからGoogle検索を介さずに直接Webサイトに移動するような機能の導入は進んでいなかった。しかし最近、Googleはこれまでの姿勢を変えてオムニボックスからGoogle検索を介さずに直接Webサイトにアクセスする機能の提供を始めているという。

こうした変化が起こっている理由の可能性として、Googleが検索において独占的なポジションにあるということに対する独占禁止法訴訟が起こっていることと、生成AIの普及によってクエリのコストがこれまでよりも高価なものになったことが挙げられている。Googleにとってこれら検索のほとんどは広告を含まないことから、検索結果ページを表示することが逆に負担になっている可能性が指摘されている。

著者:杉山貴章