ECのCMS~WordPressプラグイン・Welcart~ 事例詳細|つなweB

ネットショップ開設に使えるシステムはさまざまあります。WordPressもよく取られる手段ですが、いかに自店舗の戦略やユーザビリティに即したカスタマイズができるかが鍵になります。今回はそんな要望を叶えてくれるWordPressプラグインをご紹介しましょう。

 

WordPressでECサイトを構築

日本におけるECのCMSと言えば、楽天やAmazon、ヤフーショッピングなどのモールでのCMS、フューチャーショップのコマースクリエイターやショップサーブ、GMOペパボのカラーミーショップなどといった自社サイト構築用のCMS、さらに無料に近いBASEやSTORESもあります。海外のショッピングカートにもCMSにはさまざまあります。その中の一つの選択肢として、「WordPress」があります。WordPressでECサイト構築も、一般的には多く採用される手段となります。WordPressでECサイトを構築する大きなメリットは、2つあります。まずはWordPressでブログサイトを運営していた方にとっては、使い慣れたCMSですので新たにいろいろ覚える必要がありません。しかも多店舗展開したい企業はカートやCMSによって使い方が違う、仕様が違うといったことに悩まされることはありません。今はいろんな切り口でECサイトを構築することも多いので、使い慣れたCMSはメリットが大きいです。

そして、ECに向けたプラグインも充実しています。そんなプラグインの中でも今回は、国内でも人気が高い「Welcart」を紹介しましょう(01)。Welcartはコルネ株式会社が提供しているWordPressのプラグインです。ブログコンテンツを使って集客して商品詳細ページ、購入までスムーズに誘導したい企業や店舗にオススメです。特徴はコンテンツとショッピングカートの一元管理で、顧客や受注データを保有できるので、制限なく自由にマーケティングができることです。プラグイン自体は無料ですが、比較的自由度を高くカスタマイズできます。そして、オープンソースならではの機能開発や機能拡張もできます。提供元が国内企業なので、サポートも安心ですし、直接相談して自社に必要な機能を開発してもらうこともできます。

 

 

01 WordPressでのEC運用におすすめのプラグイン
WordPressで心配なサーバのスペックやセキュリティについてもホスティングのサービスを提供したり、決済サービスもソニーペイメントサービスの2つの決済モジュールを提供しています。機能を最低限にして手数料を抑えた廉価版の「e-SCOTT Smart」と、徹底的にWelcartとの連携を重視した高機能版の「WelcartPay」の2つがあります。ECサイトには決済機能が必要なので、素早く事業活動につながるのはとてもうれしいサービスです。国内での開発を行っていることで、WordPressのプラグイン同士の整合性やセキュリティ、アップデート対応などに対して日本企業ならではの安心感があります

 

自店舗にあわせた自由なカスタマイズ

ではここで、Welcartの導入事例を紹介しましょう。日本ロイヤルガストロ倶楽部(02)とあおいの給食室(03)です。

日本ロイヤルガストロ倶楽部では、動物のお菓子や文字入りどら焼き、バウムクーヘンなどを販売しています。伝えたい気持ち・メッセージを最大15文字が入れられるので、お祝い事や感謝を伝える贈り物、企業イベントのお土産・記念品などに使われています。

このECサイトはWelcartを使っており、名入れやオリジナルメッセージの記入欄、全国にちらばっている発送元からの配送コントロール機能、商品ごとの配送希望日・複数発送対応、マイページでのメール確認、産地別送料計算、冷蔵冷凍送料の制御機能、並び順制御など、ユーザビリティを徹底的に追究しており、それに伴って商品の差別化に沿ったカートのカスタマイズを行っています。これにより更新作業や設定作業の自動化などを行うことができます。しかも商品や用途によってネットの多店舗化を行っています。更新を合理化していくには同じCMSを利用するというのも一つの手です。

一方、幼児食専門YouTubeチャンネル「あおいの給食室」の公式ECサイトは、栄養バランスを考えた食材とレシピがセットになった「子どもと食べる魔法のミールキット」や、具体的なレシピを紹介する「子どもがパクパク食べる!魔法のおうちごはん」など人気コンテンツが多くあります。つまり、コンテンツマーケティングに力を入れているECサイトと言えます。

ここでは、ゴールド会員のみ閲覧できるコンテンツの表示制御やスライダー設定、「画像」「動画」「レシピ」「リンク先URL」など自由度の高いTOPページ表示設定機能、特集設定、週替わりのミールキット販売の販売開始日、終了日制御機能、さらに特定権限会員(無料招待)への招待QRコード生成、さらにはマイページのクーポン表示や月別献立記事の自動作成、チャットボット対応など、こちらもお客様の使い勝手を考えたカスタマイズを行っています。

YouTubeやInstagramのリールのアップロード、ECサイトでのコンテンツ作成など、やることがいっぱいあるECではいかにCMSで楽に更新作業ができるかどうかは非常に重要なことです。その点、Welcartはカスタマイズの自由度の高さから自店舗の商材や作業フローの都合にあわせたカスタマイズがしやすいので、おすすめです。

 

 

02 店舗独自のサービス受付をWelcartで実装
https://www.aionline-japan.com/

販売商品総数2,185件、発送件数67万6,099件、レビュー総数3,908件(2023年7月16日現在)を誇るECサイト。お菓子をはじめ季節のフルーツ、カニ、牛肉など贈り物として喜ばれる食品を中心に販売しています。特徴はお菓子に名前やメッセージを入れて世界で一つの贈り物がつくれるサービス。ロゴや手書きイラストを入れることができ、記念品や配布用お菓子としても人気があり、インターネット上で多店舗展開をしています

 

 

子どもと食べる魔法のミールキット「あおいの給食室」
https://spoondreams.com/

日本の保育園に10年間勤務した管理栄養士であり、YouTubeでチャンネル登録数23万人のあおいさんが運営している「あおいの給食室」サイトです。保育園の献立作成会社を経営し、子どもの食事にお悩みのお父さんお母さんのために、実際に保育園に納品している献立やレシピを時短化し、公開しています。その中で「子どもと食べる魔法のミールキット」を販売しており、レシピコンテンツを有料会員(サブスク)向けに公開しています。もちろん、一般に向けてオリジナルの商品を販売しています

 

Text:川連一豊
JECCICA(社)ジャパンE コマースコンサルタント協会代表理事。フォースター(株)代表取締役。楽天市場での店長時代、楽天より「低反発枕の神様」と称されるほどの実績を残し、2003 年に楽天SOY受賞。2004年にSAVAWAYを設立、ECコンサルティングを開始する。現在はリテールE コマース、オムニチャネルコンサルタントとして活躍。 http://jeccica.jp/
川連一豊
※Web Designing 2023年10月号(2023年8月18日発売)掲載記事を転載