ノーコードツールは、制作スキルを持つプロが使えば企業の課題解決や成長・成果をより高いレベルで実現する手段になります。世界190カ国で利用されているノーコードWeb制作ツールWixと、Wixを使うプロの制作者との関係から、可能性を考えます。

- 積田英明さん
- Wix.com Japan株式会社 代表/MicrosoftのBtoB部門、EvernoteのAPAC代表を経て、2019年Wix日本法人設立と同時に代表就任。

- 間島ゆかりさん
- Wix.com Japan株式会社 PR・コミュニケーションズディレクター/外資系IT企業のPR会社から、Evernoteの広報・マーケティング担当などを経て、2019年にWixへ。
制作期間を短縮し成果・成長をより早く
Wixは2006年、「誰もがウェブサイトを制作、運営し、ビジネスを成長できるようにすること」をビジョンに掲げ、イスラエルで設立されました。
Webサイトを必要とする人がその先に求める成果、成し遂げたいことは多岐に渡ります。その可能性をプラットフォームの制限によって妨げることがないよう、誰にでも使いやすい基本のエディターから、ネットショップやオンライン予約、プロのための高度な開発環境、成長に役立つマーケティング機能まで、目的とスキルに応じて使える機能を幅広く提供していることが特徴です。
近年、従来からWebを制作してきたプロの制作者の方にWixをお使いいただくケースが増えています。理由の一つに、クライアントの求める成果をより迅速に提供できることがあります。制作期間を短縮できるだけでなく、ビジネス成長に必要なマーケティング機能を運用開始直後からいち早く活用することで、成果獲得までの期間もより短くできます。保守管理のコストを抑え、セキュリティ面もプラットフォームに任せられます。さらに、より高度なデザインができる「Editor X」や、JavaScript開発環境「Velo」を使うことで、WordPressを使う場合とほとんど変わらない自由度の高い開発が可能です。
Wixのテンプレートは800種類以上ありますが、日本でもっとも使われているのは「白紙」のテンプレートです。上流工程はこれまでのやり方と同様に進め、デザインが決まったらWixで「白紙」を開いて構築する形で利用されています。逆に、ワイヤーフレームの段階からEditor Xを使い、すべてWix上で完結させるケースもあり、規模やスケジュール、制作体制などにあわせて、さまざまな形で活用されています。
マイナスのカバーでなくプラスに活かすノーコード
Webサイトは、企画・デザイン・開発・マーケティングなど、戦うために多数のスキルを組み合わせる必要がある、いわばITの“総合格闘技”のようなものです。中小企業が社内のリソースだけでこれに対応するのは難しく、ノーコードツールはその一助となるものではありますが、やはり「社内で使ってみたがうまくいかない」といったケースは少なくありません。WordPress等で構築した既存のサイトを、デザインを変えずにWixへ移行して運用性を高めたいというケースもあります。そこで、最初の構築段階にプロの力が求められるのです。
これに加え、Webサイトをより積極的にビジネスへ活用する目的でプロにWixでの制作を依頼するお客様も増えています。例えば、独自機能を追加したい、自社の商品データベースと連携させたい、ブランディング強化のためECモールへの出店から自社店舗に移行したい、といった例です。
単にオンラインで売るだけでなく、商品の背景や作り手のストーリーを自分たちらしく伝えたり、SEOやCRM、広告を含めた運用で顧客やリードを増やし、つながりを強めていくことが求められている現在。できないことをカバーする目的に加え、できることをプラスする目的においても、ノーコードが有効な手段となっています。
プロのスキルと知見で「プラス」目的の活用

パートナーと共に企業の課題解決を
クライアントのために制作を行うプロのWixユーザーが増えてきたことに対応し、制作者自身のビジネス成長をお手伝いする目的で提供しているのが「Wixパートナープログラム」です。誰でもパートナーに登録でき、実績でポイントを獲得し、ポイントに応じた「レベル」別に各種メリットを受けられます。
例えば、進行中のプロジェクト、クライアントからのフィードバック、チーム管理などが一元管理できる「パートナーダッシュボード」や、他の制作者と横のつながりができる「パートナーフォーラム」などです。パートナーフォーラムでは、新機能やアップデートに関する情報提供、事例紹介、パートナー同士の情報交換が行われています。また、ゲストを招いてスキルアップやビジネスのヒントを学べるウェビナーも開催しています。
レベルが上がると、24時間受付の優先サポート、ユーザーから依頼を受けられる「Wix Marketplace」への参加申請、さらに最上位なら専属の担当者によるサポートや、対象プランの販売に応じたレベニューシェアが利用できるようになります。専属担当者は、ニーズにあわせた情報提供やアドバイスでパートナーのビジネスの成長をサポートします。要望によってはVeloのエンジニアやマーケターなど専門性の高い他のパートナーを紹介することもあります。
私たちはビジョンのもと、新機能やアップデートを日々リリースしています。しかし、必ずしも最終的なユーザーの課題解決や成長にすぐ活用されているかというと、まだまだ改善の余地があります。そこにパートナーの方々の力が求められているのです。日本企業のIT事情には課題が多いと言われますが、私たちがパートナーの一層の活躍に尽力することで、それを一緒に解決していく共生の関係を築いていきたいと考えています。
より良い形で課題を解決するために
