リスキリングでも期待されているノーコードツール 事例詳細|つなweB

ノーコードという言葉を知ったのはつい最近のことだ。「プログラミングを自分でやらなくてもよい開発手法」くらいの認識はあったが、ホームページ作成のWixやECプラットフォームのShopify、データ可視化のTableauや予測と分析を自動化するDataRobotなど、有名な業務支援ツールなども広い意味でノーコードのカテゴリに入ると聞いて驚いた。だとすれば、多くの人が言葉としてノーコードを知らなくても、すでにビジネスに活用され大きな恩恵を受けていることになる。

キャリアスクールを運営するリンクアカデミー社が、デジタル職種へ転換するためのリスキリングに関するアンケート調査を5月に公表、5つのスキルや知識についてそのニーズを探っている。プログラミングが「高度」スキル、ExcelやPowerPointが「基本」スキルとすれば、ノーコードやRPA(自動化技術)は「中程度」スキルに位置づけられている。それを「高めたいスキル」(単一回答)として挙げたリスキリング対象者(従業員)は、2022年の6.1%から23.6%へ増加した。おそらくノーコードという呼び方の認知度が高まったのも理由の1つだろう。

また、リスキリング施策を導入する経営者・人事担当者からの「高めてほしいスキル」も、10ポイント以上増加し、27.8%でトップとなった。

かつてITエンジニアが数十万人不足するという政府の見通しが話題になり、高校の新科目「情報」ではプログラミングが必修となった。しかし、誰もがプログラミングの適性があるわけでなく、エンジニアになるわけでもない。ノーコード、ローコードでできるタスクは今後も確実に増える。まずは、ノーコードツールを使うことから経験を始めて、面白さを感じればローコードへ、さらに適性を感じれば高度なプログラムを学ぶというキャリアも一般的になるのではなかろうか。

 

(株)リンクアカデミーによる、企業のリスキリング対象者層(経営者・人事担当者以外の従業員)およびリスキリング施策導入者層(経営者・人事担当者)への「リスキリング対象者層のITスキル教育」に関する調査より
出典:株式会社リンクアカデミー(2023年5月8日に「PR TIMES」よりリリース)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000070464.html

 

Text:萩原雅之
トランスコスモス・アナリティクス取締役副社長、マクロミル総合研究所所長。1999年よりネットレイティングス(現ニールセン)代表取締役を約10年務める。著書に『次世代マーケティングリサーチ』(SBクリエイティブ刊)。http://www.trans-cosmos.co.jp/

 

萩原雅之
※Web Designing 2023年8月号(2023年6月17日発売)掲載記事を転載