ECとノーコードツール~商品、ビジネスにあわせて最適解を見つけるコツ~ 事例詳細|つなweB

Webデザインや業務効率化目的だけでなく、ノーコードツールはECでも浸透しています。数多あるツールの中で、何を選べばいいのでしょうか。今回は、ECサイト制作でおすすめのツールや考えておくべきポイントをご紹介します。

 

売りたい商品でノーコードツールも変わる

EC業界ではすでに一部HTMLが使用できるローコードツールも多く登場しており、ノーコードツールにも比較的違和感を持つ方も少ないのではないかと思います。ただ、ECサイトのデザインにこだわればこだわるほどカスタマイズやCSSの変更をしたくなりますし、機能を追加すればさらに調整やカスタマイズも発生します。結論から言えば、ECで何を販売して、どのようなECサイトにしたいのか、また何を優先したいのかによって選択が変わってくると言えます。まずは、つくりたいECサイトの要件を確認しましょう。例えば、ECサイトで売りたい商品は何でしょうか?

 

商品によって、ノーコードツールも変わってきます。例えばファッション用品でワンピースを販売する場合と冷凍で販売したい和菓子では入力する内容が変わってきますし、カート内で冷凍と常温商品を一緒に購入したい場合はどのような送料計算になるのか等により異なるからです。

サイトに掲載できる商品数に制限を設けるツールもあるので、事前に販売予定の商品数を確認しておく必要があります。また、サブスクリプションで販売したい場合も、どのような機能があるかを確認しておいたほうがよいでしょう。化粧品のようにロットでの製造が必要になるなど、在庫調整が難しい商品でサブスクリプションを行う際には、ツールがどこまで対応しているかを確認しておく必要があります。

さらに、工場で製造して販売する場合にはロットの確認が必要です。農家がつくる果物や野菜はその年の天候によって出来不出来があります。そのため、在庫ゼロの状態で販売を続けるのかどうか、予約販売は可能なのかといった機能があるかどうかも確認が必要になります。

名入れ商品はネットでもよく売れる商品カテゴリですが、これもツールに機能がないとメールでのやり取りになってしまい、後工程が大変になります。真珠や中古品だと1商品のみという状況もあり、ツールの機能と自社販売システムの連携についても確認の必要があります。

 

01 ECサイトへのこだわりで向き不向きが変わる
ECサイトの細部までこだわりたい場合、ノーコードツールで制作するのは現状では限界があります。一方、テンプレートを使ってもいいという場合には、制作時間も短縮されオススメです

 

ノーコードサービスの代表格

ここからはECにおけるノーコード型サービスを見てみましょう。日本において代表的なものといえば、BASEやSTORES、Shopifyなどがあります(02)。例えばBASEなら、初期費用やランニングコストが不要です。なので例えば、つくった商品、企画した商品が売れるかどうか試す際に、期間限定や商品限定で一時的にネット販売を行うには適しており、売上手数料のみで販売が可能です。

また、拡張機能として「BASE Apps」というアプリが用意されています。例えば定期便、予約販売、年齢制限、インスタグラム連携や広告、ブログ機能など多くのサービスやECショップの運営に便利な機能を簡単に追加できます。柔軟に販売する商品や方法を設定・変更できるのは大きなメリットです。

Shopifyも基本無料で利用できるのでビジネススピードを優先したい方には向いています。ただし、無料で利用するには限界がありコーディングを覚える必要も生じます(コーディングしない場合は有料)。また、BASEと同じくShopifyにもオプションのアプリが用意されていますが、アプリ同士の相性を確認しておかないとサイトが動かなくなることもあります。サポート面はというと、サポートチャットの言語はほぼ英語です。カートをカスタマイズしたい、日本向けのECにしたいという要望を日本語でサポートしてほしいならば、考えなければなりません。

最後に、集客です。モール型は、そもそもユーザーがいますが、Shopifyなどは集客はしてくれません。そのため自力で集客することになりますが、商材によっても方法が変わってきます。他社の成功例が自分の商品やサービスにあうかどうかはやってみないとわかりません。ノーコードツールは自分に必要な機能や要素をよく考えて選びましょう。

 

02 ノーコードサービスの代表格(1)
BASE
https://thebase.com/

80種類を超えるBASE Appsが魅力。デザインや販売方法の拡張だけでなく、SEOやSNSでのPRなどに利用できるアプリも揃っています
02 ノーコードサービスの代表格(2)
STORES 
https://stores.jp/

STORESで特筆すべきは決済手数料の低さです。フリープランが売上の5%、スタンダードプランは3.6%。できるだけ利益を残したいなら一考です
02 ノーコードサービスの代表格(3)
Shopify 
https://www.shopify.com/jp/

利用できるアプリやテーマが豊富でカスタマイズ性が高いのが特徴です。世界中で提供されているため、海外配送に対応した機能もあります

 

 

03 ノーコードツールのメリット&デメリット
ECサイト制作・運用におけるノーコードツールのメリットとデメリットをまとめてみました。現状、カスタマイズの必要性やサイト規模によってはまだまだのところがあることは否めませんが、技術は急速に進化しますので、大規模サイトをノーコードツールのみで構築運用する日もそう遠くないかもしれません

 

Text:川連一豊
JECCICA(社)ジャパンE コマースコンサルタント協会代表理事。フォースター(株)代表取締役。楽天市場での店長時代、楽天より「低反発枕の神様」と称されるほどの実績を残し、2003 年に楽天SOY受賞。2004年にSAVAWAYを設立、ECコンサルティングを開始する。現在はリテールE コマース、オムニチャネルコンサルタントとして活躍。 http://jeccica.jp/
川連一豊
※Web Designing 2023年8月号(2023年6月17日発売)掲載記事を転載