曖昧なる私的コンバージョンポイント 事例詳細|つなweB

サービスやプロダクトを運営していると、ユーザーがいつ課金してくれるか気になるものです。私自身、ユーザーのコンバージョンポイントがどこであるかをよく分析しますが、追求すればするほど人による気がしますし、大体は大まかなユーザー属性に区切って何となくアタリをつけるものの、本当の意味でそれを知ることは不可能だと思うことが多々あります。

たとえば、絶対買わないと思っていたものを最近3つ買いました。それは車と、家と、PlayStation 5です。

車は維持費が高そうだし、カーシェアで十分だと思っていました。家も、断然賃貸派。ゲームは自作PCがあってだいたいプレイできるし、なによりも本体の大きさ。あんな大きいものを狭い部屋のどこに置くのかと思っていました。それが、たった一つの購買をきっかけにトントンとオセロをひっくり返すように購入することになりました。

理由の一つ目はわかりやすく、コロナの影響です。まず、カーシェアに乗らなくなりました。ウイルスがどうとかもありますが、数年潔癖な生活をしていたせいか、他人が何していたかわからない車に乗るなんてないね…という感覚になってしまいました。しかもそのタイミングで子どもも生まれ、より一層、車を使う頻度が上がるタイミング。公共の移動手段も、赤ちゃん連れではそもそも辛い。我が家は一転して車購入ムードになり、なんと新車を購入。そんな神経質なのは我が家だけかな、と思ったのですが世の中的にもコロナを経て、車を買った人はそれなりに多かったようです。

そうなるとどうなるか。我が家は当時電車通勤がしやすい都心の駅チカ物件に住んでいたのですが、駐車場がない。家にもないし、近場で探しても空いていないし、あっても高額。しばらく徒歩10分の駐車場に契約して使用していたのですが、これが思ったよりもストレス。車が停められる家が欲しい…と日に日に思うようになり、これからの子育ても考えて、もう少し広くて自然のあるところを求め、郊外で居住地を探そうということになりました。

郊外でもまあまあ人気のエリアで探そうと決め、前段のように賃貸を中心に探していたのですが、いかんせん高い。これもコロナの影響なのかもしれませんが、我が家の条件だと都心よりは安いが、気合い入れて離れた割にはそんなに安くないという状況。特に駐車場つきの物件が少なく、その価格帯を見ていくうちにだんだん買った方がいいのではないか? という思考になり、不動産に関する猛勉強が始まり(主にYouTubeですが…)、紆余曲折を経て、なんと駐車場つきの中古マンションを購入。数年前の自分が見たら「どういう心変わり!?」となるくらい自分的にはびっくりなイベントでした。

郊外で割と広めのマンションを購入したのですが、居住空間が増えるとどうなるか? そうです、PlayStation 5を置いてもいいかな、という気分になるのです(筆者はゲーマーなので持っておきたいとは思っていました)。残る関門はゲームにまったく関心がない妻への説明と、品薄なPS5をどう手に入れるかだったのですが、なんとこのタイミングでハリーポッターのゲーム『ホグワーツ・レガシー』が発売。ハリーポッターマニアの妻を無事こちら側に引き込み、買えるムードに。そして郊外に引っ越したことで、あっさり近所のGEOで本体を発見し、PS5は運命のように我が家にやってきたのでした。

少し大げさですが、車購入からのPS5購入がすべてがバタフライエフェクトのようにつながっているような気がして、つくづくコンバージョンポイントというのはわからないものだな…と感じる今日このごろです。

 

数年前、ホンダのフリードを買いました。室内が広くてとても便利で気に入っています。ここから思ったよりも大きくライフスタイルが変化しました…

 

三瓶亮
株式会社フライング・ペンギンズにて新規事業開発とブランド/コンテンツ戦略を担当。また、北欧のデザインカンファレンス「Design Matters Tokyo」も主宰。前職の株式会社メンバーズでは「UX MILK」を立ち上げ、国内最大のUXデザインコミュニティへと育てる。ゲームとパンクロックが好き。 個人サイト: https://brainmosh.com Twitter @3mp

 

三瓶亮
Web Designing 2023年6月号(2023年4月18日発売)掲載記事を転載