“趣味のコンバージョン”はのびのびと 事例詳細|つなweB

今号のテーマは「コンバージョン」。これまでのように仕事にまつわるお話ではなく、今回は思い切って私の“個人的なコンバージョン”について書いてみたいと思います。

唐突な始まりではありますが、昨年「バックステージパス」を目指して仕事仲間4人でバンドを結成しました! このバックステージパスとは、アーティストの楽屋など通常は立ち入ることのできない場所に入ることができる夢のようなチケットです。バックステージに入れるようなバンドになり、このパスを獲得することこそ、目標を達成するという意味での個人的なコンバージョンになっています。ちなみに、人生で一度だけROCK IN JAPAN FESTIVALのバックステージに入る機会があり(もちろん仕事関係です)、当たり前なのですが見渡す限り知っているアーティストばかりで、自分が場違いな空間にいることにとても緊張したことをいまだに覚えています。

余談はさておき、もともと私自身は大学時代にほんの少しだけベースをかじっていたのですが、就職後に一人暮らしを始めたことでベースも実家の屋根裏に眠ってしまい…(笑)。コロナ禍をきっかけに趣味として復活し、気が向いた時に弾いてみたり、同じくギターを趣味で弾いていた友人と「今この曲を練習してる!」といったやりとりをしていました。その時点では特にバンドを組みたい、本格的にやってみたいという気持ちはそこまでなかったのですが、たまたま「ベースが弾ける人を探してて」とメンバーから声をかけてもらい、あれよあれよと話が進んで今に至ります。

バンドを組んだという話をすると、「ライブとかやってるの?」と聞かれるのですが、冒頭に書いたバックステージパスは夢のまた夢レベルで、私たちはまだライブに出たことがありません。それでも、大人になってから出会った仲間と月に1度、スタジオで合わせの練習ができているので意外と継続している方なのかなと思っています。「このバンドの曲が良かった」「ミュージックビデオが良かった」「ライブの演出がかっこよかった」といったLINEのやりとりも頻繁で、少し目を離した隙にとんでもない数の通知が溜まっていることもしばしば。また、メンバーの本職が広告やSNS関係のプランナーやディレクター、PdMということもあり、「こういう戦略で発信したらファンがつきそう」「◯◯なグッズがあったら面白そう」「こんな演出をしたい、パフォーマンスを入れたい」という企画戦略的な話ができるのも、意外なところで本職が役に立つ気がして面白いな、と思っています。そして私はというと、メンバーから出たアイデアを形にするにはどうしたらいいか、話を聞きながらあれこれ考えたりしています。ある意味これも、バックステージパスというコンバージョンのための施策かもしれません(笑)。

仕事では、「コンバージョン」というとしっかりと成果を求められ、達成できた時もできなかった時も、振り返りをして施策の内容を見直したり、成功体験を再現性のあるものにしていくために分析をする必要があります。けれども趣味のコンバージョンは、達成目標は大きく、でも楽しくのんびり頑張るくらいでいいのかもしれません。むしろ、趣味だからこそ失敗しても誰にも怒られないし、自分たちのペースでのびのびとやっているからこそ、継続できているのかなと思います。とはいえ、バックステージパスの前にまずはライブハウスでのパフォーマンスができるように、コツコツと頑張っていきます。

 

スタジオ練習の帰りに撮影。いつかバンドのWikipediaができたら、“2022年、目黒の沖縄料理店 なんちち食堂で結成”とか書きたいねと話しています!

 

ナビゲーター:小島香澄
株式会社KOS デザイナー。ハウスメーカーに新卒入社、資料のデザインが褒められたのをきっかけに、デザイナーとしてWeb制作会社に転職。日々の学習記録をSNSで発信していると、“モテクリエイター”として活動するゆうこす(菅本裕子)の目に留まり、2019年より現職。ゆうこすの手がけるサービスやプロダクトのデザイン全般を担当。 Twitter:@_mi_su_ka_

 

小島香澄
Web Designing 2023年6月号(2023年4月18日発売)掲載記事を転載