GA4は今までと違って簡単なところもあれば、システム技術者に依頼しなければならないところも出てきています。1年前の2022年4月頃と比べればだいぶ使いやすくなってきていると言えます。今回はGA4を使ってECサイトでの改善についてお話します。
ECサイトは「推奨イベント」が必須
ECサイトだけの話ではありませんが、Googleアナリティクス4(以下GA4)を導入すると、従来のGoogleアナリティクス(UA)とはかなり違うので混乱する方も多いと思います。とはいえ、乗り換えをしなければいけない時間は確実に迫ってきています。実は、使用しているショッピングカートのシステムによってはまだ対応していない、バージョンをアップしないと使えない場合もまだあるのです。何はともあれすぐに確認しましょう。
ECサイトで必須の設定は、GA4では「推奨イベント」とされているイベントです(01)。GA4を導入後すぐに設定を忘れてしまうと、その間のカート投入率やコンバージョンが測定されません。そのため、どこに何のイベントを設定するか、必要かどうかも含めて確認しましょう。
UAではイベント計測タグの構造として「カテゴリ」「アクション」「ラベル」の3つを設定する必要がありましたが、GA4では「イベント名」「パラメータ」というシンプルな構造になっています。ここがわかるとUAからGA4への移行も進みやすくなります。まずはシンプルにECでのイベントは図02のように整理できます。ここからスタートしてどこにイベント設定していくかを関係者で話をしながら埋めていきましょう。
「売上の公式」に当てはめる
GA4になっても、ECでの改善で注目する点は変わりません。ECサイトは、「アクセス数╳客単価╳コンバージョン率」で売上が決まります。それぞれの要素を上げていくことでECの改善ができます。この売上の公式に必要な要素が「集客」「接客」「コンバージョン」「リピート」の4つになります。
「集客」は各チャネルから顧客がどのくらい来ているか、クロスネットワーク(03)で来ているか、どのデバイス(PCなのかスマホなのか)からアクセスされているのかといった確認が必要です。「コンバージョン」はユーザーが、カゴに商品を入れたかどうかと最終的に購入まで行ったかです。
最近ではランディングページの動画を見たあとにユーザーが遷移してしまうと直帰率が高いページとなってしまうので、動画の内容が悪いのか、配置が悪いのかなどが不明だったのですが、GA4では動画の再生開始をイベントとして計測することができるので、動画を見て直帰したのか、動画を見て他のページへ行ったり、購入まで至ったのかがわかりやすくなっています。ただし、直帰率はカスタムレポートで作成する必要があります。
ただ、今までECの改善でよく使っていた「ページの価値」は廃止されてしまいました。GA4ではユーザーがECサイトを開いている、またはアクティブな時間のユーザーエンゲージメントで見ていくことになります。
従来の計測値とは変わってくる
UAからGA4になると計測値が変わってきてしまいます(03)。GA4での変化を比較するというのが大事になります。現時点で前年比較はわからないと思うのですが、前月比や前週比で比較していけば徐々にGA4での解析ができるようになります。必要であればUAとの比較もしておけば、より自社での確認もしやすくなるでしょう。
また、UAとGA4の違いを経営者に説明しなければならないことも出てくると思います。ただ、単に違うと言っても納得はしてくれませんので、どう違うかは説明できるようにしておきましょう。例えば、コンバージョン数、コンバージョン率はUAより増えます。ECサイトの運営者は喜んでしまいそうですが、これは、1セッションで問い合わせを3回行った場合には、UAでは1コンバージョンとなりますがGA4では3コンバージョンとなります。
一方で、セッション数はUAより減ります。例えば、GA4では参照元が、検索オーガニックと広告から来た場合に1セッションとされますが、UAでは2セッションでした。UAだと日をまたぐと昨日1セッション、今日1セッションで2セッションですが、GA4では1セッションになります。このため、セッション数が低くなりコンバージョンが上がるので、絶対数だけではなく相対的にもコンバージョン率が上がってしまう可能性が非常に高くなります。
GA4は日々改善が進んでいます。現在使いにくいと思っていても、スピーディに改善されていくはずです。しかし、もし慣れないと感じるなら、UAとの違いも確認しつつ、GA4と両方でのデータ確認しながらPDCAを実施するのもよいでしょう。