グッドパッチに聞く「UIデザインの本質的意義とその可能性」 Part.1 UIの基本 事例詳細|つなweB

UIとは何か、UIデザインとは何をデザインすることなのか。国内でいち早くUIデザインというテーマに向き合い、現在もトップランナーとしてUIデザインの実践と理論化に取り組む株式会社グッドパッチの皆様に、UIデザインの定義から、具体的な制作手順、そしてこれからの可能性についてお伺いしました。

 

蔡 漢翔さん
株式会社グッドパッチ https://goodpatch.com/
デザインマネージャー UIデザイナー
栃尾 行美さん
クリエイティブディレクター UIデザイナー

 

「UI」って何だろう?

言葉の意味から考えると、Interfaceは「接点」や「境界面」のことです。すなわちUser Interfaceとは、ユーザーとサービス(あるいは道具)が対話するためのユーザーとサービスの間にある一つの面と捉えることができます。

具体的には、WebサイトやWeb・モバイルアプリケーション等における、サービスとユーザーを取り持つ「接点」と定義することができるでしょう。

 

 

UIとUXはどのような関係性にあるのか

UXという言葉がUIとセットで使われることがありますが、両者の関係を理解する上で概念の混同には注意が必要です。UX(User Experience)は、サービスに対してユーザーが得た一連の「体験」や「感情」であり、それはUIから得られる体験に限りません。例えば商品・サービスそのものの満足度や、店舗等での体験といったことも含む広い概念です。

すなわち、UIを考える上では、UIの中でUXを実現するのではなく、UXという大きな枠組みを俯瞰し、サービスに対して良い体験・感情を持ってもらうためには、どのようなUIであるべきかを考える視点が重要です。

一方で、Webやモバイルアプリケーション等のUIは、高い頻度かつ長期に渡ってユーザーに触れられ、サービスの印象を醸成していくものです。そのために現在、UXの中でも特にUIに大きな注目が集まっているのだと考えられます。

 

 

UIデザインを考える上で大切なことは?

UIデザインは、基本的にはデジタルプロダクトのデザインを指し、つまりソフトウェアの世界に属するものです。そのため、UIをデザインする時には、ソフトウェアのデザインをしているという意識が重要です。

また、表層的なデザインに関する知識だけでなく、エンジニアリングやビジネス、文化等、UIに関わる広い領域を学ぶことが重要です。

 

 

UIデザイナーの業務内容とは

UIデザイナーは名称のとおり、ユーザーとサービスが対話するための「接点」をデザインする仕事です。より具体的には、Webサイトや各種アプリケーションについて、どうすればユーザーにとって使いやすく・見やすくなるのかを考え、デザイン・改善していく役割といえます。

UIデザイナーの特徴としては、表層(視覚的)なデザインだけでなく、仮説立案や情報設計等、従来はディレクター等が行っていた業務も分業せずに行う点です。

Goodpatchではディレクター職は置いておらず、UIデザイナーが、UXデザイナー、エンジニア、プロジェクトマネージャー等のチームメンバーと協働しながら、UIデザインに関する業務を包括的に行っています。

 

UIデザイナーに大切なことは?

UIデザインを行う上では、チーム間での議論は欠かせません。そのため、情報設計や表現を考えることは前提として、(1)形にして出すことができること、(2)仮説を持ってデザインできること、の2点は資質として重視しています。

また、エンジニアやUXデザイナー等、他職種と協働する場面も多く、良いUIをつくるためには、ユーザーのため、サービスのためという気持ちを持ちながら、チームの中で自分ができることは率先してやっていくマインドは重要だと感じます。

 

 

 

Text:原明日香(アルテバレーノ)
Web Designing 2023年4月号(2023年2月17日発売)掲載記事を転載