【技術選びの事例】開発の統一性や要件を意識 事例詳細|つなweB

株式会社ラナユナイテッド https://www.ranaunited.com/

[会社概要]
RANA UNITED(ラナユナイテッド)は、3つのデザインカンパニー(ラナデザインアソシエイツ、ラナエクストラクティブ、ラナキュービック)からなるデジタル・クリエイティブグループ。実験的なラボやプロジェクト開発にも積極的に参画する。
[開発体制]
●エンジニア 6名

 

辺見 直哉さん
ラナユナイテッド:執行役員/ラナエクストラクティブ:シニアテクニカルディレクター

 

 

 

インタラクティブな案件対応に効果的なモダンフロントエンド

弊社では、全体の案件に対してVue.jsを中心にReactなどモダンフロントエンドでの開発が約半分、残りがjQueryで開発しています。

こうした内訳になるのも、以前からの私たちの実績が双方向性、インタラクティブな要件のWebサイトを多数手がけているからです。例えば、ユーザーが何かしら入力した情報をWebサイトに反映したり、投票機能があるようなデータ量をたくさん扱うWebサイト制作には、モダンフロントエンド開発が便利です。

モダンフロントエンドだと、メンバーの経験値が多いVue.jsを使う割合が、より高い傾向となってきています。Reactは、一定以上の規模感で保守性の高さが求められる案件と相性がいいと考えていて、Webベースの社内システム開発に選ぶ機会が多いです。

メンバーの担当箇所は、それぞれの得意不得意によってフロントエンド、バックエンド、またはその両方、というように分担しています。同時期に手がける案件を複数抱えるため、外部パートナーと一緒にやる機会も増えています。どの技術を選定するかは、こうした案件の特性とともに、アサインするメンバーの相性やタイミングで適切な判断を行っています。

 

納品後の対応を見据えてモダン技術の特長にも着目

モダンフロントエンドのメリットは、フレームワークやライブラリを通じて、つくり方に統一性が生まれることです。JavaScriptはさまざまなことが実現しやすい便利な言語ですが、その分、いろいろなつくり方ができてしまいます。

ReactやVue.jsの仕様をつかみ、そのフローに則り開発すると、クライアントに納品後のメンテナンスや保守、改修の際にも便利です。例えば、納品後の成果物を運用する中で出てくる対応は、開発メンバーと異なるエンジニアが担当することもあります。改めて中身を知る必要がある時、仕様書にはプログラムのすべてを記載していません。ここでフレームワークを使っていれば、記述の意味や理由が把握しやすく、効率的な対応が可能です。

運用も踏まえた開発上のタイムラインの中で、モダンフロントエンド開発によってエンジニア同士の共通認識が持てる点は大きなメリットと言えます。

もしデメリットを挙げるなら、学習コストになるでしょうか。今はモダンとされるReactやVue.jsが、永遠にモダンではあり続けず、やがて新たな技術が台頭します。特定の技術への精通も大事ですが、「技術の本質をつかむ学習を心がけてほしい」と自社のエンジニアチームにはよく話をしています。例えば「このライブラリは、どう動くものなのか」といった「フローの認識」を大切にしてほしいですね。おすすめは、案件で動いているコードを読むこと。実際に動くもので動作を把握できると、核心をついた学習になります。

その点では、新たな技術に意欲的なエンジニアをアサインできることも、中長期的に開発体制を盤石にしていく要素の1つと言っていいでしょう。

 

モダン技術との向き合い方
特定のフレームワークやライブラリに強くなる以上に、「新たな技術に遭遇しても困らないように、技術の本質をつかむことに注力してほしいです」とも、辺見さんは語ります

 

POINT
技術の流行り廃りは宿命。時代に右往左往されない本質をつかむ!

 

 

遠藤義浩
※Web Designing 2022年12月号(2022年10月18日)掲載記事を転載