マーケターは多忙。AIソリューション「SiTest」が支えます! 事例詳細|つなweB

効率的に業務をこなすためにマーケターが喜べるサービスを

「SiTest」(サイテスト)は、2007年にマーケティング支援会社として設立された(株)グラッドキューブが提供する、AIを搭載したサイト改善サービスだ。サイト内のユーザー行動データを解析するオールインワンのソリューションを強みとしているサービスで、ヒートマップによるユーザー行動の可視化、AIによるレポート出力やA/Bテストなどが実行できる。

全機能が1カ月間試せるトライアル版を用意し、有償版も初期費用はかからず、特に期間の縛りを設けずに1カ月5万円からスタートできることから、大手企業とともに中小企業にも幅広く利用されている。

「設立から継続的に行ってきたマーケティング支援の知見を基盤にしたソリューションです。現場で多忙なデジタルマーケティングのマーケターやWeb担当者のために、導入による成果や効率性を引き出すことが開発コンセプトです」(グラッドキューブ・財部友希氏、以下同)

社内ではかねてから、AI搭載による機能強化がマーケターへの支援強化につながるという目論見があり、AIの独自開発を続けていた。そして2015年夏から、AIによるA/Bテスト機能が新搭載され、2016年に入ってからもAIによるアドバイスコメントやレポート出力機能が加わった。

「SiTest」(サイテスト)とは
ヒートマップで来訪ユーザーの傾向を探るスクロール解析のほか、入力フォーム支援機能(EFO対策)、AIによるレポートやアシスタントコメントの生成など、オールインワンのソリューション機能を搭載する

 

AIが解析し、サイトUIの変更点を予測表示

「SiTest」では、サービス登録後に指定されるタグを対象サイトページ内に埋め込むと設定完了。あとは専用サーバにデータが貯まりながら、AIによる解析を含めてSiTestの各種機能が利用可能となる。AIを搭載した各種機能は、2015年以前からSiTestを導入済みの企業にも(追加料金が発生することなく)適用された。

こうして手軽に実装し、スタートできるSiTestだが、ユニークなのはAIを搭載した狙いだろう。

「サービスのベースには“原点はマーケティング支援会社という思い”、“決してAIが万能ではないこと”の2点を踏まえています。つまり、人間ができないことをAIにやらせるという考え自体はあまり持っておらず、人間がやるには“面倒なこと”、“時間がかかること”をAIで解決するという考え方が、開発の根底にあります」

だからこそ、AIが得意なことを活かしながら、AIが不得手であることも認識した上で、SiTestにAI機能を取り込んだということだ。

では、最初に導入されたA/Bテストについて。SiTest内で対象サイトのページを設定すると、元の状態をベースに変更要素をAIがサジェストしてくれる。例えば、サイト下部にクリック率が高いエリアに対して上部への移動を促したり、ボタンにインタラクションを指定したりする。

「導入後1カ月くらい経つと、実行できるだけのデータが貯まるでしょう。具体的な改善材料の一つと考え、すべてを反映せず、最終判断は人間が行うことを推奨しています」

AIによるA/Bテストとは?
WDサイトをベースにした例(実際の実行結果ではない)。A/Bテストによって、導入後に蓄積した来訪ユーザーの行動情報に基づき、どこを改修すれば成果に結びつくかをAIがサジェスト。人間だけでは気づかないことも提示できる

 

人工知能による分析がマーケターの負担軽減に一役

2016年に入り、次に導入されたのが「スマートレポート」。ヒートマップを使った分析結果をExcelファイルにエクスポートできる機能のことだが、分析結果に基づいたAIによる改善提案やレコメンドとして、アドバイスコメントを生成してくれる。短いながら的を射たコメントでレポートの見せ方を補強してくれる。

そして、SiTest導入企業の中でもっとも反響の高い機能が「AIレポート」。SiTestを導入してきた合計約17万サイトの全データに基づいて、時間帯別分析やページスクロールの状況といった各分野の数値を自動出力。AIによるテキストコメントは、スマートレポートのアドバイスコメントよりも長く、しっかりとした内容が自動生成される。一度設定しておけば、SiTestにログインせずとも、月に一度、決まったタイミングでAIレポートが送信されてくる。

「AIによって、自動出力での判定の確かさとともに、そもそもレポートそのものを作成する手間が省けます。このサービスの根底には、ただでさえ忙しい現場のマーケターやWeb担当者にとって、少しでも負担軽減につながってほしいという開発設計の原点が活きています」

取材時には、いくつかのAIレポートのサンプルを参照したが、わりと厳しいコメントが書き連ねられていたり、対象ページの評価で「偏差値22.4」といった辛辣な判定が目についた。

「人間ではなくAIが判定しているというお墨付きは、受け手のスタンスを冷静にさせる副次的な効果も実感しています。AIが主語になることで、厳しい判定やコメントをかえってクールに受け止めさせてくれます。もし人間が判定した、となると、伝える側も受け取る側も、遠慮や判断を鈍らせる情に左右されるかもしれませんが、その心配は無用だと言えます」

「スマートレポート」のAIコメント
対象サイトのヒートマップ分析結果がExcelファイルにまとめられるほか、人工知能によるアドバイスコメントがつく。日本語もこなれている
AIレポート(1)
対象サイトの解析の全容や曜日/時間帯別分析、ページスクロールの状況、性別/年代別、ソーシャル、自然検索キーワード、コンバージョンに至った日数など、各項目についてAIが自動でレポートを出力
AIレポート(2)
「多角的サイト評価」では、SiTestを導入した17万サイトの全データに基づいた評価を各項目で算出

 

化粧品ブランドサイトの改善例AI機能が最適な構成を導く

ここでSiTestを実際に導入した実例にも触れておきたい。(株)レストフォースが展開する、主に30~50歳代女性がターゲットとなる化粧品ブランド「OEUF D'OR(ウフドール)」のサイトでは、A/Bテスト機能を使ってユーザーの声の掲載数について、4つのパターンを効果検証したという。AIによる自動テストを行い、4人のユーザーの声を載せるパターンがもっとも成果が高かったという結果を引き出した。

「商品特性を考慮すれば、ユーザーの声はコンテンツの肝となってきますし、つい多数の声を掲載したくもなりますが、よりコンバージョンを引き出すために掲載数に配慮する判断をしたわけです。ただし、人力で工数をかけながら適切な数を探ったところで、時間と費用、人手がかかってしまう。それらをAIにまかせることで、少ない労力で成果につながる検証ができた、と手応えを感じてもらえた事例です」

また、初期費用がかからず、最低5万円(+税)から全機能が利用できる点に加えて、実装のハードルが低いことによって、社内の意思決定までの時間が短くなる企業も多いと財部氏は補足した。SiTestにAI機能を搭載してから2年近くが経つが、最後にSiTestにおける今後の展望について話を向けた。

「特にAIレポートは、現場の担当者だけでは見過ごしがちな気づきもまとめてくれて、しかも自動で反映される点が好評です。当面は、現状よりさらに精度を高め、業種別へと絞り込んだ分析が可能なAIレポート化を実現したいと思っています。実際、かなりのフェーズまで開発が進んでいますので、近い将来に正式公開に踏み切りたいとも考えています」

少ない労力で成果につながった検証例(1)
化粧品ブランド「OEUF D'OR(ウフドール)」シリーズを開発/販売する(株)レストフォースは、SiTestを導入。ウフドールのLPにおける実績向上に貢献しているという OEUF D'OR
少ない労力で成果につながった検証例(2)
商品ページに掲載するユーザー(購入者)の声について、何人分掲載するのが適当なのか、SiTestの自動テスト機能で調査。4人掲載するのが最適と判定された
財部友希_Yuki Takarabe
(株)グラッドキューブ 取締役 COO
遠藤義浩
※Web Designing 2017年6月号(2017年4月18日)掲載記事を転載

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