Googleアナリティクス 4を生んだ環境変化とは 事例詳細|つなweB

ユニバーサルアナリティクスが使われ始めてから、Googleアナリティクス 4が登場するまでの8年の間に、デジタルマーケティング環境は大きく変化しました。まずはその変化を確認しておきましょう。

 

GA4を生み出した環境の変化とは

UAが登場した2012年からGA4が登場する2020年までおよそ8年の間に、デジタルマーケティングをめぐる環境は大きく変わりました。UAとGA4の違いは、そうした環境の変化を強く反映しています。では実際に何が変わったのでしょうか。

ここでは、Google公式ブログをもとにしながら、GAが刷新に至った背景を見ていこうと思います。

要点は大きく3つありますので、1つずつ見ていくことにしましょう。

 

① フルジャーニーの顧客理解が求められるようになった

近年のデジタルマーケティングは、「Webだけ」「スマホだけ」でそれぞれ完結するものではありません。ユーザーがブランドを知ってから、意思決定に至るまでの間に、スマホやタブレット、PCなどのWebサイトやアプリを行き来しながら、時には実店舗を訪れて意思決定をする、オムニチャネル環境が当たり前になりました。

また、企業や店舗の側も、ユーザーに一度購入してもらうだけではなく、二度、三度とサイトや店舗を訪れ、自社の商品やサービスを利用してくれるユーザーをいかに増やしていくか、といった点に焦点を当ててマーケティング活動を行うようになっています。

このように、今のマーケティング環境では、LTV※1を高めることを目標に、カスタマージャーニー全体をとらえ、継続的にサービスを提供することが重要になっています。

GAのようなツールも、そうした環境に適合することが求められるようになってきたと言えるでしょう。

※1 LTV
LTV(ライフタイムバリュー)とは「顧客生涯価値」、すなわち顧客が自社と関わる期間中(生涯)にもたらす利益(価値)のことをいいます。【平均購入単価】×【平均購入頻度】×【平均継続期間】で計算することができます

 

② データとアクションをつなげる技術が登場した

2つ目のポイントは、この8年の間に、「解析したデータをアクションにつなげる」技術が登場したことです。従来の解析ツールは、データを解析できたとしても、それをマーケティングのアクションにつなげるのは難しかった、と言えます。

しかしこの数年、機械学習のような、学習を重ねることでデータの背景にあるルールやパターンを発見する技術が一般化しました。それが画像認識や音声認識、自然言語処理などに応用されるようになり、マーケティングの領域、例えば需要予測や来店予測などでの活用が大きく進みました。こうした機械学習の技術を、直接データを扱う解析ツールに応用すれば、これまで難しかった「アクションにつなげること」ができるのではないか、そう考えられるようになっています。

 

③ 新たなユーザー識別方法が必要になった

進みつつある「クッキー規制※2」も、この8年の大きな変化の一つに挙げられるでしょう。

例えば、アップルのブラウザであるSafariはすでに、サードパーティクッキーの受け入れを拒否していますし、最大のシェアを持つGoogle Chromeも、近い将来、同様の規制を行うことを発表しています。また、日本ではこの春より改正個人情報保護法が施行されており、ユーザーの同意を得られていないクッキーの利用はできなくなりました。

UAは、基本的にクッキーを使ってユーザーを識別していますので、今後、その精度が大きく下がっていくと考えられます。将来のことを考えれば、クッキーに頼らずに、ユーザーを識別する方法の採用が求められているということになります。

※2 クッキー規制
ブラウザにおけるサードパーティクッキーの規制は「クッキーレス問題」として、大きく話題となっています。この問題については本誌『Web Designing』でも、2022年2月号特集記事で詳しく解説しています

 

マーケティング環境3つの変化

GA4登場の背景をGoogle自らが説明したブログ。 2020年10月14日に公開されたもの https://blog.google/products/marketingplatform/analytics/new_google_analytics/

 

まとめ
★2012年当時から大きく変化したマーケティング環境に対してツールを対応させる必要性が生じている
★ポイントは「フルジャーニー」「機械学習」「ポストクッキー」の3点

 

 

Text: 小泉森弥
※Web Designing 2022年6月号(2022年4月18日発売)掲載記事を転載