これからのWeb広告戦略のポイント 属性の管理から興味・行動の管理へと発想を変える 事例詳細|つなweB

サイトを訪れたユーザー、一人ひとりに最適化されたマーケティング活動を提供する「パーソナライゼーション」。では、個人情報の取得が厳しく制限されるこれからの時代にマッチしたパーソナライゼーションの形とはどんなものでしょうか。

 

本当に属性情報は必要なのか

これまで「ユーザーの情報を集める」というと、その人の年齢、誕生日や出身地や初回の購入日、さらには職業や役職、家族構成、さらには関心事など、さまざまな情報を、できるだけ広範に取得することが大切だと言われてきました。また、そうした情報を漏れなく集めるために、ユーザーを無理矢理にでもログインさせようと考えてきた方も少なくないと思います。ただし、実際のマーケティングの際に、そうした属性に関する情報はどれだけ必要なのでしょうか。

簡単な例ですが、カメラやレンズの広告を打つ際には「40代男性」「東京在住」といった属性情報に頼るよりも、「風景写真が撮りたい」「新しいレンズが欲しい」といった興味が明確な人にターゲティングをする方が、効果的ですよね。このように、属性情報がなくとも、今、そのユーザーが何に対して興味を持っているのか、行動しているのかさえわかれば、ターゲティングは十分に可能なのです。

 

AIの力を利用して情報を補完する

仮に足りない情報があった場合でも、AIのような、最新のテクノロジーの力を借りることで、情報を補完することが可能です。例えばアドビが提供する「Adobe Experience Cloud※1」では、「Adobe Sensei※2」のAIと機械学習の力を活用することで、すでに取得している情報をもとに精度の高い予測を行ってターゲティングに活かすことが可能となります。

こう考えていくと、Webサイトの回遊でユーザーの興味や行動に関するデータを1stパーティクッキーを使ってしっかりと収集できれば、商品のレコメンドを行うことが十分に可能であることがおわかりかと思います。

さらに、ユーザーの興味を元にメールマガジンの購読を促したり、クーポン取得を提案するなどすれば、ユーザーに強制することなく、自らの意思でユーザー登録をしてもらうことも可能でしょう。言わずもがなですが、それができれば1stパーティデータをよりいっそう、充実させることが可能となります。

属性ではなく興味や関心をもとに、顧客に最適な情報を提供する。これがパーソナライゼーション2.0の時代のデータ取得の基本的な考え方になります。

※1 Adobe Experience Cloud
アドビが提供する、オンラインマーケティングや、より良い顧客体験を提供するためのCXM(Customer Experience Management)基盤。その詳細についてはP033で紹介しています。

※2 Adobe Sensei
アドビが開発する、AIと機械学習を組み合わせたテクノロジー群のこと。これまで時間がかかっていた作業を高速化したり、隠れた原因を見つけ出したり、意思決定をサポートしたりといったマーケティングに欠かせない工程をサポートしてくれます。

 

属性管理から興味・行動の管理へ



これまでのデータを活用するには、属性情報を大量に収集してユーザーの顔をはっきりさせる必要があるとされてきましたが、本当にそうでしょうか? ユーザーの「興味」や「行動」に関するデータさえあれば、データの活用は可能なのです。
まだ知り得ていないユーザーの背景情報を機械学習を利?して補完することで、その瞬間のユーザーのニーズに応えた情報を提示します。

 

個人情報を使わずに顧客の解像度を上げていく

 

 

Text: 小泉森弥