InstagramのUGC施策とUGCの効果的な活用 事例詳細|つなweB

いま、企業におけるInstagram活用に注目が集まっています。そこで、本連載ではアライドアーキテクツ株式会社にて、SNSプロモーション支援領域の統括およびInstagramプロモーションツール「echoes on Instagram」のプロダクトを開発を行っている井出修二朗さんに、「Instagramで認知・集客・販促効果を高める方法」について解説していただきます。

 

前回の記事では、Instagramキャンペーンの効果的な活用と事例について紹介するなかで、キャンペーン実施においては掛け捨ての単発施策で終えるのではなく、Instagramアカウントへの繋がりをつくって持続的な成果拡大を図ることの重要性や、フォロワー増加に留まらずインスタントウィンやデジタルクーポンなどの仕組みを組み合わせて、自社が重視する成果指標にアプローチすることがポイントであることをお伝えしました。

最終回となる今回は、企業のInstagram施策においてキャンペーンと並んで重要視されている「UGC」について、その効果的な活用方法を解説します。

UGC(User Generated Contents=ユーザー生成コンテンツ) とは?

UGCは、ユーザーの手によって制作・生成されたコンテンツの総称です。Instagramを含むSNSやブログ、動画共有サイトなどに投稿されたコンテンツだけでなく、ECサイトやレビューサイトなどに書き込まれた感想・レビューコメントなども含まれます。

企業のマーケティングにおいてUGCは、いわゆる「クチコミ」として自社商品・サービスの購買喚起に大きな影響を与える存在です。実際に「63%の生活者が、購入前に商品のUGCをSNSで探している」といった調査結果もあることから、UGCは特にInstagramを始めとした企業のSNS活用において重要な存在になってきていると言えます。

 

引用画像 出典:Olapic『Facebook & Instagram Advertising With UGC : A Practitioner’s Guide』より
アライドアーキテクツにて作図

 

企業のInstagram施策におけるUGCの重要性

Instagramでは、ユーザーが企業名や商品を表す「ハッシュタグ」を投稿に付けたり、写真に企業アカウントを「タグ」付けすることや投稿文(キャプション)に「@メンション」を付けることで、自身が投稿したことを企業アカウントに通知したりする機能があります。

『Instagramを見て購買する』ユーザーの実態調査 2021」によると、Instagramユーザーの内、企業や商品のハッシュタグを付けた投稿をしたことがある人は37.6%に上ります。さらに、「Instagramを見て月1回以上購買している」購買アクティブなユーザーに限ると、なんと92.3%が企業や商品のハッシュタグを付けた投稿の経験者であり、67.1%が月1回以上同様のハッシュタグ付き投稿をしていると回答しています。

 

 

このようなInstagram上のUGCは、投稿者のフォロワーだけでなく「発見タブ」や「ハッシュタグ検索」を通して多くのユーザーの目にも触れることになります。日本のInstagramユーザーは他国のユーザーに比べ5倍多くハッシュタグ検索を行っており、また42%のユーザーは、興味のあるブランドをInstagramで発見するとより詳しく知るためにプロフィールを見るとされています(※)。UGCが無い状態はこの機会を損失していると言えます。

また過去の記事でもお伝えしたとおり、Instagramは他のSNSに比べてフォロワーを増やすことが難しいことや、コンテンツ制作コストが肥大しやすいことから、「UGCをいかに増やし、活用するか」が、Instagram上でのマーケティングにおいて極めて重要であると言えるでしょう。

※参照:好きと欲しいをつくるInstagram
https://business.instagram.com/blog/house-of-instagram-japan-2020?locale=ja_JP

 

Instagram上でUGCを増やすために

それでは、Instagram上でUGCを増やすためにはどのような打ち手があるでしょうか。

理想はファンや既存顧客と継続的にコミュニケーションを取り続けることで自然発生的にUGCが増えている状態をつくることですが、短期的な成果が分かりづらいためになかなか時間や人手を割くことが難しい、という声も多く聞かれます。

そこで、短期間でUGCを増やすための施策を3つご紹介します。

 

1. インフルエンサーを探してギフティングする

Instagram上でインフルエンサーを探して直接DMを通して投稿を依頼する方法です。自社ターゲットに合ったインフルエンサーにピンポイントでアプローチできるため、UGCの質を重視する場合は有効ですが、適切なインフルエンサーを探す手間やコミュニケーション負荷が高く、多くのUGCを創出するのはやや難しいと言えます。外注した場合でもキャスティングのコストが掛かるケースが多くあります。インフルエンサーによってはセルフブランディングとなるため費用を掛けずに実施できる場合や、継続的に投稿してもらえる場合がありますが、すべて交渉次第となるため、既に強いブランドを持っている企業が有利な手法といえます。

2. インフルエンサーを抱える媒体を活用する

手法としては1と同じですが、積極的に商品紹介をしてくれる(マイクロ)インフルエンサーを抱える媒体を活用することで、インフルエンサーを探す負荷やコミュニケーションの負荷が低く、UGCの質・量を担保することができます。媒体やツール費として一定の費用が掛かりますが、新興ブランドでも不利になることなくUGC生成を図ることが可能です。(参考:モニプラ ファンブログ 導入事例

3. 自社アカウントでモニターサンプリングを行う

インフルエンサーの起用を重視しないのであれば、自社Instagramアカウント上でモニターサンプリング型のキャンペーンを実施し、一般ユーザーからのUGC創出を図ることも1つの方法です。

このキャンペーンのメリットは、Instagramユーザーに広く募集を掛けることでUGCの数を増やしやすいことや、キャンペーンに参加した商品に興味のある方に自社アカウントのフォロワーになってもらうことで継続的なアプローチが可能になることです。キャンペーン事務局の手間や代行コストは掛かりますが、コメントやアンケートなどを参加条件とし、当選者を選定することで質を担保することもできます。数千名といった大量サンプリングを実施する場合は、DM送信作業の工数が莫大になるため、キャンペーン管理ツールの導入をおすすめします。(参考:【Instagram上で2,000名の大量サンプリング施策】株式会社アルビオンの「IN FIORE」が、Instagramでインスタントウィンキャンペーンを開催!大規模サンプリングを実現した取組とその効果とは?

 

Instagram上のUGCを活用する

UGCは、Instagram上で「発見タブ」や「ハッシュタグ検索」により自社ブランド情報へのリーチが増える以外にも、マーケティング成果を高める様々な活用方法があります。ここでは、代表的な3つのUGC活用手法をご紹介します。

 

 

1. 商品購入ページにUGCを掲載する

Instagramで集めたUGCをランディングページやECサイトの商品購入ページに掲載することで、クチコミ効果により購買意欲を喚起し、離脱を防止して購入転換率(CVR:コンバージョン率)を上げる効果が期待できます。(参考:企業のUGC活用事例20選!CVRが向上した成功事例をご紹介

2. SNS広告クリエイティブにUGCを使用する

UGCは、SNS上の他のユーザーの投稿と並んでも違和感なくフィードになじむため、企業視点での訴求が強い広告然とした写真や動画よりも、生活者に受け入れられやすいと言えます。そのため、SNS広告のクリエイティブにUGCを活用することで、クリック率を上げ、広告効果の向上を図ることができます。また、SNS広告は運用型のため、大量のクリエイティブパターンを作成してPDCAを回すことが求められますが、UGCを活用することにより撮影やモデル起用に掛かるコストを下げて広告素材を増やすことができます。

3. 自社SNSアカウントの投稿素材にUGCを使用する

同様に、自社SNSアカウントの投稿素材としてUGCを活用することで、フォロワーからの高いエンゲージメントを得ることができます。また、UGC投稿をしてくれたユーザーの@メンションを付けて紹介することで投稿者に通知が届けることができるため、そこからコミュニケーションが生まれたりさらに愛着度が高まることも期待できます。「SNSをきっかけとした購買行動・口コミ行動調査」によると、企業がInstagramユーザーの投稿を引用して投稿した場合、49%のユーザーが「そのブランドやお店・サービスがより好きになる」と回答しています。

 

まとめ

以上、InstagramのUGCを増やす施策と、その効果的な活用について紹介しました。Instagram上のUGCは、自社アカウント投稿だけでは実現できない情報の広がりをつくるだけではなく、企業発信とは異なり「親近感」「客観性」が醸成されるコンテンツとしての特徴から、広告・投稿素材や自社サイトへの掲載まで、様々な活用方法があります。自社投稿や広告施策に限界を感じている場合は特に、UGCを増やす・活用する施策を検討されることをおすすめします。

これまで「いまこそ学びたいInstagram企業アカウントの活用術と集客・販促効果を高めるコツ」として5回に渡り連載してきましたが、今回の記事が最終回となります。

Instagramはコンテンツづくりやコミュニケーションといった本質的な運用が重要な一方で、企業にとってはその負荷も高くなりやすいSNSですが、本連載が少しでも効果的なInstagram活用と成果向上の一助となれば幸いです。

 

井出修二朗
アライドアーキテクツ株式会社 Promotion本部 本部長。Web制作会社を経て2009年よりアライドアーキテクツ入社。ソーシャルメディア黎明期より、SNSとWebを活用したマーケティング支援におけるセールス・コンサルティングに従事するとともに、Twitter・Instagramプロモーションツール「echoes」やハッシュタグキュレーションツール「Social-IN」といった自社プロダクトを立ち上げ、統括。
アライドアーキテクツ・グループ
アライドアーキテクツ・グループは、日本、アジア、欧米に7つの拠点を持つマーケティングDX支援企業です。2005年の創業以来累計6,000社以上への支援を経て得られた豊富な実績・知見を活用し、自社で開発・提供するSaaSプロダクトやSNS活用、デジタル人材などによって企業のマーケティングDXを支援しています。https://www.aainc.co.jp/

 

Text:井出修二朗