CMS(コンテンツ管理システム)の仕組みとメリット 事例詳細|つなweB

企業サイトでもCMSが使われることは一般的になり、すでに利用されているという方も少なくないでしょう。しかし、そもそもCMSとはどういったものかご存じでしょうか?  改めて定義や基礎的な仕組みからご紹介します。

 

西牧八千代
プライム・ストラテジー(株)取締役CMO。プライム・ストラテジー(株)の創業メンバーとして16年間、経営全般のほか、ブランド戦略、Webマーケティングに携わる。企画執筆した『本格ビジネスサイトを作りながら学ぶ WordPressの教科書』(SBクリエイティブ)は2012年度「CPU大賞(書籍部門)」受賞。 https://innova-jp.com

 

CMSの定義とそれ以前の世界

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)の定義は、「Webコンテンツを管理する仕組み」となります。

CMSが登場する以前は、Web制作アプリやテキストファイルでHTMLやCSSなどのコードを書き、それをFTPサーバにアップロードするというような手順で制作していました。ページを増やすたびにナビゲーションへのリンク、トップページに掲載する更新情報のアップデートなど、追加したコンテンツ以外にもサイトのデザインや構造的な部分を都度制作・調整しなければなりませんでした。

そのため、Web制作の知識が必要だったり、Web制作会社に依頼する場合もコンテンツ以外の部分も含めて指示を出す必要があったりと、非常に手間のかかるものでした。

しかし、CMSの登場により、コンテンツを規定の場所に入力するだけで誰でも簡単に投稿できるようになりました。 また、プラグインで多様な機能が簡単に追加でき、情報発信のみならずECサイト運営やマーケティングなどさまざまな用途で活用することができます。現在は世界の主なWebサイトの55%で、CMSが利用されています。

 

静的CMSと動的CMSの違い

CMSは、大きく分けて「静的CMS」と「動的CMS」の2種類があります。

静的CMSは、ユーザーがリクエスト(サイトの閲覧)をするとWebサーバから直接HTMLが返される仕組みになっていて、下記左に挙げたような特徴があります。

一方、動的CMSは、ユーザーがリクエストするとWebサーバからさらにCMSのデータベースにアクセスするというステップを踏む仕組みになっています。そのため、下記右に挙げたような特徴を持ちます。

このように、構造の違いからメリットとデメリットがあります。静的CMSの代表的なものにはMovable Typeがあり、たとえば公共機関のサイトなど、機能性は求めないけれどセキュリティは堅牢にしたいという場合に向いています。

動的CMSの代表的なものにはWordPressがあり、多様な機能を実現しやすいため、情報発信だけでなくさまざまな用途で活用したい企業に向いています。

 

 

 

CMSのシェアとトレンド

CMSが登場したのはだいたい2000年以降で、2005年頃から利用者を増やしてきました。世界中でさまざまなCMSが提供され、なかにはECパッケージやマーケティングオートメーションといったツールと組み合わせたサービスとして提供されているものもあります。

現在、世界中のCMSを利用したサイトのうち60%でWordPressが利用されていて、日本国内ではさらにシェアが高く81.5%を占めています。世界で2番目に利用されているJoomla!が5%、日本で2番目に利用されているAdobe Dreamweaverが3.4%なので、圧倒的なシェアと言えます。

静的CMSには前述したような表示の速さや堅牢性という特長があり、国内では静的CMSのMovable Typeと動的CMSのWordPressが代表的な二大CMSという時代もありました。しかし、静的CMSは1文字修正してもサイト全部を再構築するので、ページ数の多いサイトは修正時間がかかることや、機能を実装する場合は手間がかかるという運用や制作のしづらさがあります。また、WordPressやJoomla!はオープンソース(ソースコードが無償で公開され、誰もが自由に改良や配布ができる)のため無償で利用することができ、Movable Typeなど有償のサービスよりも初期投資を抑えやすいというのもシェアに差がつく要因となったのではないかと思われます。

Web技術に関するデータを公表しているW3Techsの調査結果によると、WordPressのシェアは年々増えていて、

CMSを利用していないサイトのシェアは減っています。おそらく今後もCMSへの移行、その中でもWordPressを導入するという流れはしばらく増加傾向が続くのではないでしょうか。

 

Text:平田順子