ECサイトの導入計画をチェックシートで確認しよう 事例詳細|つなweB

ECサイトの開設にあたって検討すべきことは多数あります。まずはWebサイトの現状を分析し、EC開設のニーズや機能を洗い出しましょう。モール型ECでもWeb制作会社に依頼する際にも役立ちます。

 

ECサイトをなぜ始めるのかという目的は、自分たちにとっては自明なことのようにも感じられます。しかし、会社の方針として明確に定義されていないと、担当者とそれ以外の関係者の間で認識のずれが生じたり、時間を経るうちに当初の目的が見失われてしまうことがあります。もちろん、定期的に目標と実際の姿を比較して軌道修正する必要もありますが、自分たちのECサイトではどの価値を優先するのかを最初に決めておき、運用に関わる関係者全員で共有することをおすすめします。

また、すでに実店舗を運営しているかどうかなど、それぞれの会社が置かれた個別の事情を整理するのも重要です。それによって、どの商品をどのように販売して、どの程度の売り上げを目標とするのかといったゴールの設定が変わってくるからです。まったく初めてネットショップに挑戦する場合は見当がつかないこともありますが、競合他社のWebサイトを参考にするなどして、できる限り具体的なイメージを掴んでおきましょう。ECサイト開設のコンサルティングを受ける場合にも的確なアドバイスが得られやすくなります。

計画中のECサイトは新規かリニューアルか、実店舗があるかどうかなどの前提条件を整理して、事業におけるECサイトも位置付けを明確にすることが出発点です

 

世の中には多種多様な業態がありますが、大きく分類すると法人をメインの顧客とする「BtoB」ビジネスと一般消費者を顧客とする「BtoC」ビジネスがあります(個人間取引は省略します)。それぞれ取引の慣習や顧客の好みが異なりますが、これはECにおいても同様です。すでに事業を展開しているのであれば、顧客が求めるニーズはつかみやすいはずなので、そのサービスや商品がオンラインで手に入れたいものかを顧客側の視点に立って考えてみましょう。

また、時間と場所の制約が少なくなるECの特性を活かすことで、これまで実店舗で取り扱っていた商品をより広い地域で多くの人に届けることも可能になります。海外でも喜ばれる商品であれば、「越境EC」を検討する余地も出てきます。もちろん、単にECを始めればよいわけではありません。なぜなら、対面で売れないものがオンラインで売れることはごく稀だからです。自分たちが扱う商品のうち、ECでの購入に向いているのは何か、お客さんの気持ちや行動を想像しながら商品のラインアップを揃えていきましょう。

ECで売れる商品かどうかは、ターゲットとなる顧客を正しく定義できるかによって大きく左右されます。多くの商機を創出できるECですが、対面販売以上に顧客の理解が求められます

 

自社のECサイトで取り扱う予定のアイテムを整理できたら、その商品の一覧表を作成してカテゴリ分けする準備が必要です。小規模のショップでアイテム数も十数点程度であればMicrosoft Excelでの管理も可能です。しかし、取り扱うアイテム数が多く、仕入れ状況や季節によって変動する商品などであれば、在庫管理のデータベースと連動したシステムの導入が必要となるケースもあります。大手ECモールやクラウド型のECサービスには在庫管理の機能が備わっていることもありますが、基本的には自分たちが販売したいものが何で、どの価格でどのように販売するかという情報は把握して整理しておきましょう。自分たちが把握できていない状態で商品を並べても、お客さんは欲しいものを探すことができません。特に衣料品や雑貨などサイズや色のバリエーションが多いものは、アイテムよりもさらに細かな単位である「SKU(Stock Keeping Unit)」での管理が一般的です。

SKU単位で商品を管理できる状態が整ったら、販売方法についても事前にシミュレーションしておきます。例えば、新商品が追加で登録された場合に予約注文を行うかどうか、予約数に応じて受注生産するかなどのルールを想定し得る限りリストアップすることをおすすめします。また、取り扱う商品やサービスによっては、繰り返しの購入や月額で提供する「サブスク(サブスクリプション)」に対応するかどうかも検討する必要があります。さらに、一般消費者への小売を想定していても、オンラインではさまざまな立場の人が訪れることがあります。例えば、企業からの注文であれば一括購入を求められたり請求書による掛取引となることもあります。事前の検討で機会損失を減らしましょう。

ECサイトで商品をカテゴリで整理する大きな理由のひとつに、目的のアイテムに辿り着きやすくするというものがあります。実店舗の商品棚のような一覧性を確保するためには必要な準備です

 

ECサイトの新規開設でよくある失敗に、オープン初日にお客さんが誰も来ないというものがあります。これは良い商品を取り揃えていても、スタッフのやる気が十分でも起こり得る事態です。しかし、それもそのはず。街中で飲食店やコンビニを出店するのに人通りや立地を気にしない店主はいないと思いますが、ECサイトではなぜか開店するだけでお客さんが勝手にやってくると誤解するケースがよくあります。オンラインでの人流や立地にあたるものは、基本的に「検索」です。探してもらえないECサイトは荒野にポツンと出店したのと同じです。

出店のコストやハードルが高くても大手ECモールが盛況なのは、モール自体の知名度が高く商品を探している多くの人が集まるからです。そのため、最初はこれらのサービスの集客施策を利用しつつ、ECショップの運営を安定化していく方法も考えられます。ECサイト運用の初期段階では、購入してくれたお客さんが再び訪れたくなったり、知人にも勧めたくなるような丁寧な接客ができるようになることが先決です。

ECショップの立ち上げでは確かに集客も大事です。オンラインでは認知獲得や販売促進の手法が多数ありますが、まずは顧客の信頼を得るためにすべきことは何かを考えましょう

POINT
ツールを選ぶことよりも先に顧客視点で考えよう

※Web制作・運用バイブル 2022(2021年11月8日発売)掲載記事を転載