Web制作会社に複数案を要望するメリット・デメリット 事例詳細|つなweB

発注側としては、複数のデザインバリエーションを見せてもらってその中から選びたいという気持ちを抱くかもしれません。しかし、漠然と依頼してしまうことで余計な軋轢を生むリスクもあります。

 

デザインの段階に入ったとき、企業によっては「とりあえずトップページのデザイン案を2~3点出していただけますか?」と制作会社にリクエストするケースがあります。

しかしこの要望は、制作会社とって実に悩ましいリクエストです。単に色の違いで構わないのなら、想定しているペルソナでも複数のバリエーションを出すことができます。しかし実際は、単に色を変えただけのバリエーションを提出することは少ないと思います。場合によっては、1つのデザイン案をつくった後、別のパターンをつくるためにペルソナの再解釈を行い、微妙に違う人物像を想定してデザインするケースもあります。

当然、デザインの作成には時間がかかり、複数案をつくるにはそれなりの時間がかかります。厳密に言えば、作業時間はコストに反映されるべきものですが、実情は、細かくコストを請求する制作会社は少ないのではないでしょうか。安易にデザインバリエーションを要望すると、制作会社との関係がギクシャクする可能性もあるのです。

 

どのようなバリエーションを求めているのかわからないと、制作会社側も複数案をつくりにくいものです。この場合、バリエーションの方向性を尋ねたとしても、あまり深く考えていない場合が多いのです

 

とはいえ、複数のデザイン案を比較検討したいケースもあるでしょう。例えば初稿デザインを見たあとに、「これもいいけれど別案も見たい」と思うのはよくあることです。

その場合、どのようなバリエーションが見たいのかをハッキリ伝えることで、制作会社も考えやすくなります。例えば、ペルソナは変えずにもう少し華やかな色合いにしたい、あるいは、全体的にもう少し楽しい雰囲気を出したい、もう少しインパクトが欲しい、といった感じです。こういった一言があると、制作会社も別パターンを考えやすくなります。

具体的な方向性があれば、制作会社はまた新しいアイデアを盛り込んだデザイン案をつくってきてくれるでしょう。それを見ながら、またプラスアルファの意見交換が生まれることもあります。単にA案かB案かの選択ではなく、発展的な打ち合わせにつなげることができるはずです。

なお、それでもデザインがしっくりこない場合、闇雲に別案を求めるのではなく一度参考サイトやムードボードに戻ってイメージのズレを埋めるのがよいでしょう。

最初にトップページだけデザイン案を依頼し、そこからさらに別案をリクエストしてみましょう。その方がリクエストも明確になり、制作会社も対応しやすくなります
※Web制作・運用バイブル 2022(2021年11月8日発売)掲載記事を転載