ペルソナの設定でWebデザインはどう変わる? 事例詳細|つなweB

Webサイトの設計段階で、ターゲットとペルソナを決めたと思います。デザインの方向性を決めるときには、単なる思いつきではなくこのペルソナを中心に検討を進めましょう。

 

参考サイトを見ていくと、「あれもいい、これもいい」と目移りしてしまいがちです。結果として、ついインパクトの強いWebサイトの影響を受けてしまいそうになりますが、そんなときは、Webサイトの設計段階で想定したペルソナのことを思い出してみましょう。

Webサイトのデザインは、つくる人のセンスや好みで決まるものではありません。通常、デザイナーは設定したペルソナを意識して、その人物像がどんなデザインに興味を持ちそうか、想像しながらあしらいを変えていきます。感覚的な部分もありますが、意外と戦略的につくり上げていく行為なのです。

複数人数でデザインの打ち合わせやブレインストーミングを行なっていると、時として突飛な意見が飛び出すことがあります。そこからアイデアが広がっていくこともあるので新しい提案も大切にしたいところですが、準備段階でせっかく決めたペルソナを無視した方向性に進んでしまうのは避けたいところです。最初に決めたペルソナの資料を全員で見返しながら意見交換を行うといいでしょう。

 

例えば温泉旅館のWebサイトをつくる場合でも、どんなペルソナを想定しているかでデザインはまったく別のものになるはずです。常にペルソナを意識しながら方向性を考える必要があります

 

設定したペルソナが、具体的にデザインのどんな要素に影響を与えるのでしょうか。例えば色使いは、ペルソナによって変わる要素の代表だと思います。性別や年齢によって、受け入れられやすい色使いが変わってくるからです。同様に、細かなパーツの形状もペルソナで変わります。ボタン1つとっても、角を丸めた方がいいのか、斜めのラインを使ってシャープな印象を出した方がいいのかなど、ペルソナを意識しながら考えていきます。

文字要素も同様です。ペルソナによってフォントが変わるのはもちろん、見出しなどの大きな文字と普通の文章の大きさの比率も、変わってくるのです(文字の大きさの比率のことを「文字のジャンプ率」と言います)。

もちろん、デザインのすべてがペルソナだけで決まるわけではありません。競合との類似性を避けたり、インパクトを出すために意外性のある組み合わせを採用することもあります。しかし、それらも計算した上での形であり、決して思いつきで出来上がったわけではないのです。

ペルソナを意識してデザインしたWebサイトの例。高齢者という明確なターゲットがあったので、そこからペルソナを考えて細部のデザインにまで落とし込みました
※Web制作・運用バイブル 2022(2021年11月8日発売)掲載記事を転載