SWOT分析で現状整理。ネット施策や補助金申請に役立つ! 事例詳細|つなweB

「セールストークが苦手」という多くの場合、現状の分析が足りていません。自社や競合企業、市場環境の分析は、ネット施策以外にも補助金の申請等にも役立ちます。SWOT分析を用いて現状を整理してみましょう。

 

1分半で、御社から商品やサービスを買いたくなるようにプレゼンをしてください、と言われて、淀みなく論理的に説明できる自信がありますか?

補助金活用を考えている事業者も多いと思いますが、その申請で添付する事業計画が、A4×2枚程度。聞き取れるスピードで音読して、およそ1分半というところだと思います。すなわち、採択されるには、その短い間で、御社の事業概要や成功可能性をアピールしなければいけないわけです。

ホームページの制限時間はさらに短く、最初のほんの数秒だけがアピールタイムです。そこで興味を惹ければ数秒のアディショナルタイムが与えられ、延長が許されます。つまり、ホームページをじっくり読んでもらうには、より洗練した内容で、端的に自社の魅力を伝えなければなりません。

ホームページを強くするにはまず、御社自身が御社のことを的確に語れるようになることが必要です。自社のことくらい把握できている、と思われるかもしれませんが、一度SWOT分析という方法で情報を整理してみましょう。60ページの記入シートを使って、ぜひ実践してみてください。

ホームページは閲覧開始数秒が勝負と言われています。簡潔かつ明瞭に自社のことをアピールするには、自社の魅力や相手を把握し、真に伝えるべきことを明確にする必要があります

 

SWOT分析は、4分割された紙面を用い、下記の分類に従って情報を書き出していきます。各頭文字を取ってSWOT分析と呼ばれます。

[左上]自社の強み(Strength):自社や自社商品のセールスポイント

[右上]自社の弱点(Weakness):自社の課題や、他社と比べて見劣りすること

[左下]機会・チャンス(Opportunity):社会情勢や取引先、顧客など、ビジネスチャンスや追い風になりそうなこと

[右下]脅威(Threat):競合企業の台頭や法律規制などビジネスの逆境となりそうなこと

上図では例として、24ページの定食屋の事例で書き出してみました。思いつくことをどんどん書いていきましょう。それぞれの欄に、最低7点ずつは欲しいです。また、他と比べてスカスカの欄はその部分の分析が足りていないのでもう少し考えてみてください。書くことの正否は気にしなくて構いません。正解ではなく、意外なチャンスや誤算等、気づきを得るために頭を整理することが、SWOTの目的です。

初めてのことで戸惑うかもしれませんが、まずは御社のセールスポイントから書き出してみましょう。手を動かさずに固まってしまうことが一番ダメです。手を動かしましょう!

 

SWOT分析は、ここからが本番です。さきほど記入したSWOTを図の所定位置に置き、また4つの欄に分けて、それぞれ条件をかけあわせて具体的な打ち手を考えていきます。

[左上]積極的戦略:「強み」と「チャンス」を活かせる事業アイデアはないか?

[右上]補完的戦略:「弱点」を「チャンス」でカバーできる方法がないか?

[左下]差別化戦略:一般に「脅威(逆境)」となる状況でも、自社の「強み」が逆に活きる方法はないか?

[右下]防衛・撤退:「脅威(逆境)」と「弱点」の悪条件が重なる最悪のシナリオを避けるための予防案はあるか?

前段階で行ったSWOTの分類は、柔軟に変えてもよいです。例えば「買物困難者の増加」は一見では「脅威」に見えますが、この件ではむしろチャンスだと捉え直し「機会」に分類し直しました。

筆者個人の考えですが、現状を打開するヒントの宝庫は、[補完的戦略]と[差別化戦略]だと考えています。SWOT分析をしてもらうと、自社の状況を上手く説明できない事業者は[積極的戦略]だけ書き出して満足する傾向があるように思います。しかし、もし業界で一人勝ちできるような、無敵の強みと追い風があるなら、今こうして悩んではいないはずです。

企業を取り巻く環境は、オセロのように有利と不利が混ざりあう盤面です。誰にとっても必勝の手はないからこそ、局面の捉え方が逆転の一手につながります。そのため、起死回生の策があるとするなら、好悪の混じる[右上]と[左下]の欄にこそ、なのです。

前ページのS・W・O・Tを交差させて考えることから「クロスSWOT分析」と呼ばれています。状況整理から進んで、ここでは具体的な施策を考える段階に移ります

 

定食屋の事例から、クロスSWOTを使って具体的な施策を考えてみます。

[左上]弁当宅配の経験と買物困難者の増加という意外なチャンスを考えると、宅配事業は推進すべきです。[左下]外食規制のある逆境ではありますが、弁当宅配のノウハウや許可があるので、他店よりクオリティの高いテイクアウト弁当を提供できるのが強みです。やってみる価値はありそうです。[右上]ネットが苦手なことが課題でしたが、周りも同様なので支障ありません。逆にチラシが有効な地域であることを活かし、宅配とテイクアウト開始のお知らせをチラシで告知するとよさそうです。

しかし一方で[右下] を見ると、当初構想していた「ECを始める」は、経験や許可がないことと大手競合の存在等の不利な条件が重なる、本来「撤退」に該当する選択だったことがわかります。

このように、情報を一度分解して再整備してみると、現実的な発案やその勝算の把握がしやすくなります。

この例だと右上と右下がわかりやすいです。課題に感じていたSNSは実は弱点ではなく(右上)、逆に宝の山だと思っていたEC事業はかなり不利だったことがわかります(右下)

POINT
SWOTで「正解」はない
あるのはレベルアップのみ…!

※Web制作・運用バイブル 2022(2021年11月8日発売)掲載記事を転載