基本にして最強のスキル・Webディレクターのコミュニケーション力とは?(2) 事例詳細|つなweB
基本にして最強のスキル・Webディレクターのコミュニケーション力とは?(2)

【2_ヒアリング】良いヒアリングは、良い準備から

→「聞き出せる」距離感をつくるために、相手をよく知ることが大切だから

 

準備不足は関係構築の機会も損なう

プロジェクト初期のヒアリングは、クライアントの悩み・希望・課題感など相手を深く知る最初の機会。お互いよく知らない段階でコミュニケーションをするなら、それなりの準備が必要です。話してくれることを受け身で聞く姿勢では、ヒアリング不足になります。

まず、5W3H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように・どのくらい・いくらで)に加え、依頼の背景や思惑など聞きたい点をヒアリングシートにまとめておくことが基本です。

次に、事業内容、企業概要、Webサイトの状況などについて、できるだけ詳しく調べます。私は、『会社四季報』を読んだり(ベンチャー企業なら目論見書をもらうことも)、代表のプロフィール、SNSでの発言、関連記事なども調べるようにしています。

これらも、土台にあるのは相手に興味を持つ姿勢です。どんな思いを持って事業を興したのか、どんな歴史や経験を経て今へ至ったのか、いま何に困っているのかなど、知りたいと思って調べるうちに質問が具体的になってくるはずです。

その上で、現場ではいかに真剣に相手のことを考え一緒に課題解決していきたいか、思いを持って聞く姿勢が相手との距離感を縮めます。ここで縮められないと、話し合える関係を構築する大きな機会を逃してしまいます。

 

Webのプロとしての知識は大前提

プロとして仕事で話を聞く以上、顧客を知ると同時に自分たちの仕事についても知識と理解が必要です。Webサイトに関する各種のテクノロジー、用語、また自社が提供するサービスや制作リソースを理解し、ヒアリング内容と自分たちの仕事とを結びつけられるようにしましょう。

相手への興味と自社の仕事の理解が、プロとしてのヒアリング力を支えます

 

【3_会議】目的と必要性を事前に理解させる

→参加意義がわからないとメンバーがモチベーションを持てないから

 

メンバーの意識づくりも仕切りのうち

会議、ミーティング、定例会など、プロジェクトを動かすためにはさまざまな話し合いの場が欠かせません。これらを仕切るのもディレクターの役割。とはいえ、参加者の積極的な姿勢がなくては難しいものです。そこで、セッティングするなら事前に場の目的と必要性を参加者に共有しておくことが大切です。

積極的な姿勢のない人は、自分がその場にいる必要性を理解できず、モチベーションを持てずにいることが少なくありません。まずはきちんとアジェンダを作成し、事前に参加者へ共有します。加えて、なぜその場が必要か、何を決めたいか、決まらないとなぜダメなのか、といった目的・意義まで伝え、責任感を持って参加してもらうことが大切です。これはクライアントとの会議でも、社内の会議でも共通するポイントです。 会議冒頭には改めてアジェンダ、目的、そして進行予定を明確にし、全員でゴールを共有しましょう。

会議中は、トークのテクニックが進行に役立つ場面があります。私の場合、人に話を振ったり、いいタイミングで長い話を転換するといった「話芸」は、上手い芸人のトーク番組から多くを学びました。

特に、相手を立てながら発言を促す振りや、失礼にならないよう笑いに持ち込む受けは、クライアントの役員や社長が同席される際に役立ちます。テレビや動画を見て、意識して研究してみるとよいでしょう。

 

「伝える」のゴールはどこか?

「共有する」「伝える」の作業は、自分側の発信完了ではなく相手側の理解・行動がゴールです。伝えたことによって相手にどう行動してほしいのでしょうか。例えば会議のアジェンダなら、送りっぱなしにするのではなく、必要性や相手にあわせてアイデア出し・資料集めなどの行動を促すフォローも必要です。

伝えるだけで手放しては、コミュニケーション不足の原因に

 

笠井美史乃/Illustration : 高橋未来