【PR】製品の提供価値とユーザーの価値観を結びつける! ユーザーの「共感」を生むクリエイティブのつくり方 事例詳細|つなweB
畑谷 友香
貝印株式会社/クリエイティブエージェンシーやWebインテグレーターの会社で企業のデジタルプランニング、ディレクションに従事。現在は総合刃物メーカー貝印(株)の広報宣伝部にて主にデジタル/SNS関連を担当。
宮内 一政
株式会社ユニットベース/2015年に株式会社ユニットベースに参画。主にデザインディレクションやプロジェクトマネジメントなどに従事。マーケティングとクリエイティブの接点として、戦略を具現化するクリエイティブの開発を担当。
●PRODUCT INFO
「紙カミソリ™」はハンドルに紙素材、ヘッドの刃体に金属を利用した脱プラスチックの製品です。厚さ3.1mmの耐水性に優れた板状の紙を組み立てることで、従来のプラ製品に遜色ない使い勝手を実現しました。価格は5色セットで1,100円、2021年4月に発売後予約分は完売、増産待ちとなっています。

 

「機能」より「価値」を生み出す

畑谷友香:「紙カミソリ™」は、その名のとおり金属の刃体以外は紙素材を利用し、プラスチックを極限まで減らした商品です。SDGsに貢献すること、薄型軽量で持ち運びに便利なこと、使い切りで清潔に使えるなどの特徴がありますが、これをどのターゲットにどんなコンセプトで伝えていくか当初はイメージが描ききれていませんでした。そこで、クリエイティブ戦略のプランニングから制作まで実行できるユニットベースさんにお願いした次第です。

宮内一政:最初にお話を伺ったとき、本当に今までにないプロダクトでしたので、他社と比較されがちな「機能」を前面に出してはいけないなと考えました。そこで、環境への貢献など紙カミソリ™が提供できる新たな「価値」とそれを伝えるための指針を明確にしましょうというお話をしました。最終的にWebサイトだけでなくキービジュアル(図01)を手掛けたのですが、これらをただ言われたとおりつくるだけではなく、それぞれの目的を整理するところから取り組みました。

畑谷:紙カミソリ™は部門横断的なプロジェクトで、さまざまな開発者の想いが詰まっています。それらをまとめる必要もあったので、方向性がブレないよう明確にしてコミュニケーションのところまで見ていただけたのは助かりました。

宮内:年齢や性別を問わない製品なので、どのように認知されていくかを想定したコミュニケーションを設計する必要がありました。これは新ブランド構築の戦略でもあるのですが、いきなり全方位的に打ち出しても価値を正しく理解してもらえないので、特定の層に絞ったコミュニケーションが必要だと感じました。

01 紙素材のハンドル採用でプラスチックを98%削減した「紙カミソリ™」。エコと新たな楽しさが両立した世界観を表現するため、ユニットベースではWebサイトの開発に加えキービジュアルの策定などクリエイティブ開発全体の設計を行いました。公式キービジュアルは、商品発表後も新聞広告や雑誌広告での展開に幅広く用いられるなど、Web制作だけではないユニットベースのクリエイティブ能力が発揮された事例と言えます

 

脱プラの未来に共感するユーザー像

宮内:本件は広告クリエイティブの方向性を探るより前にPRを実施されていたので、SNS上に多くの好反応が寄せられていました。そして、これがユーザーペルソナ策定の手がかりとなりました。中でも紙カミソリ™に強い共感を持つ方がいて、その人物像を知るためにTL(タイムライン)を遡って、どのような価値観や興味を持っているのかを調べ、それを具体化したペルソナをつくり上げました。

畑谷:ご提案では「事業会社勤務、SDGsや環境に興味があり、新しい価値観を大事にし、ジェンダーニュートラルにも強い関心がある」というスーパーウーマンのような感じで、本当にこんな人いるの? という話になりましたが、実在するんですね。

宮内:社内でのご理解を得るのは大変でしたか?

畑谷:弊社は創業113年目の会社で、SDGsがどの層に響くかなど理解が追いつかない部分もあったり「うちの会社らしいのか?」などの意見が出ました。しかし、新しいユーザー層に向けた商品という意識は社内にあったので、宮内さんから提案いただいた戦略やアウトプットイメージなどを見てゴーサインが出ました。

 

非デザイナーも「これだね!」と納得

宮内:クリエイティブについては、ポップなトーンがよいのではという話もありましたので、提案書ではカメラマンのクロカワリュートさん(図02)がピッタリと思い、ラフのビジュアルをつくってお見せしました。

畑谷:いろいろなキーワードが頭を巡って悩んでいたときに見せていただき「あ!これだ!」と瞬間的に確信しました。SDGsだからと難しく捉えなくても「これを選ぶだけでSDGsに参加できるんだ」と思ってもらえる軽やかで明るいイメージがマッチすると感じました。弊社の「さわやかな あじわいのある生活を」という企業メッセージも同時に表現できます。

宮内:視覚的なデザインは主観が入りやすく言語化も難しいものです。しかし、デザインが本業ではないクライアントの方が「これだね!」と納得する瞬間をつくっていくことが大切です。そのため、私たちはデザインをビジネスソリューションと捉えていますので、担当者の方の感覚的な判断よりもクリエイティブ戦略に則っているかで判断するように心がけています。

畑谷:本件はゼロベースからクリエイティブの方向性や伝え方をユニットベースさんと一緒に考えていただき、Webページだけでなくキービジュアルを新聞や雑誌広告の紙メディアにも展開できました(図03)。公開後の反応も好評で、「コピーとビジュアルが明快でインパクトがある」「破った紙から綺麗な手が出ていることで、紙カミソリ™の切れ味の良さが伝わる」といった声がありました。こうした反応が得られたのは、クリエイティブで伝えたかったコンセプトがきちんと届いた結果なので、私たちも満足しています。

02 ブランド価値の体現には、製品の機能性以上にユーザーの価値観に根ざしたクリエイティブが求められます。想定ユーザーが大事にする価値や嗜好を綿密に検討し、それにマッチするビジュアルイメージとして、写真家クロカワリュート氏の起用を提案しました
03 Webサイトでは紙カミソリ™が提供する価値と、貝印グループの目指す未来像を提示しました。訪問したユーザーの製品理解、価値の共感、自己関与を通じたブランドイメージ向上に寄与します http://kamikamisori.com/

本記事はWeb Designing 8月号のタイアップ記事を転載しております。