制作会社との付き合い方:<br>Webサイトの表示速度が遅いときに改善してもらえる?

Webサイトの表示がなんだか遅く感じた場合、制作会社に頼んで改善してもらうことはできるのでしょうか。また、新規で構築したWebサイトが遅い場合と、今まで運用していたWebサイトの場合では、対応に違いがあるのでしょうか。ここでは、Webサイトの速度改善で行なっている方法とコストについてお伝えします。

■ メールサーバの移管も忘れずに

Googleは、2018年に検索アルゴリズムを刷新した際、ページの表示速度が検索順位に影響することを明示しました(Speed Update)。表示の遅いWebページがSEO面で不利になることは明らかです。また、表示速度が遅いページは、コンバージョン率にも悪影響をもたらします。購入/予約フォームの表示が遅いと途中で離脱してしまう人が増えるというのは、自身の感覚に照らし合わせても理解できるのではないでしょうか。表示速度というのは、内容やデザインに決して引けを取らないほど、Webサイトにとって重要な要素なのです。

もしWebサイトが遅く感じたとしても、「遅いのはたまたまかも…」と、制作会社への相談をためらう人がいるかもしれません。実際、Webサイトの表示が遅い理由は、見ているマシンやインターネット回線が影響している可能性もあります。確たる証拠がないのに制作会社を責めるようで気が引ける、という気持ちになるのもわかります。

そういう場合は、一度「Page Speed Insights(https://developers.google.com/speed/pagespeed/insights/)」というWebサイトを利用してみましょう。これはGoogleが提供しているWebサイトで、表示速度をスコアリングしたり、表示の遅さの原因となっている要素を指摘してくれたりします。アクセスしたら、調べたいWebページのURLを入力欄に入力し[分析]ボタンを押すだけと簡単です。エンジニアでなければ細かな診断結果を理解する必要はないと思いますが、一番上のスコアが極端に低い場合(49点未満)は、制作会社に相談してみたほうがいいでしょう。

■ Webサイト高速化の具体的な対策内容

新規でつくったWebサイトが遅い場合、なんらかの人為ミスが原因の場合もあります。例えば、配置している画像が異常に大きく、読み込みに時間がかかっているのかもしれません。また、そのページの表示に必要のないスクリプトを大量に読み込んでいるのが原因の可能性もあります。制作時のミスが原因だった場合は、当然ながら無料で対応してくれるでしょう。時間が経つほど原因の切り分けがしにくくなってきますので、早めに調査してもらうことが肝心です。

一方、制作時のミスが原因でない場合、何をどこまで対応してもらえるか、その場合の費用がどうなるかは、ケース・バイ・ケースだといえます。本来、制作会社のミスでなければ、エンジニアの作業時間が発生する分の費用がかかるのは致し方ない部分だといえます。とはいえ、新規サイトの構築直後であれば、多少費用面を考慮してもらえるかもしれません。この辺は、制作会社によって判断が分かれるところだと思います。

では、具体的にはどのような対応を行うのか。表示を高速化するために行う具体的な処理内容をいくつか紹介しましょう。

1. 画像の調査とサイズの最適化
無駄に大きなファイルがないかを調査します。また、JPEGファイルやPNGファイルの圧縮率を上げ、ファイルサイズを軽くします。

2. より効率的な画像フォーマットへの変更
「WebP形式」など、より圧縮効率の高い画像フォーマットに変更します。ただし、単純に配置している画像フォーマットを変えてしまうと、対応していないWebブラウザで表示されない事態が発生します。それを避けるため、訪問者のブラウザを判別して画像を出し分ける処理を書き加えます。

3. LazyLoadへの対応
LazyLoad(レイジーロード)とは、画像の遅延読み込みのことです。Webページにあるすべての画像を最初に読み込ませるのではなく、訪問者がページをスクロールして画像を表示させたタイミングで読み込ませるという技術です。実装するには、スクリプトやプラグインを読み込ませたり、各ページのHTMLのimgタグ(画像部分のコード)の記述方法を少し変更したりします。

4. CSSやJSの結合
CSSはWebページ内のスタイルを記述したファイル、JSはJavascriptファイルのことです。1つのWebページを表示させるために、複数のCSSファイルや複数のJSファイルを読み込むことはしばしばありますが、読み込むファイル数が多くなるとその分読み込みに時間がかかる可能性があります。そこで、複数のファイルを結合して読み込み回数を減らします。

5. コンテンツの圧縮
画像の圧縮だけではなく、Webページ内のHTMLやCSS、JavaScriptなどを圧縮することで、読み込み速度を改善する技術です。現在はGZIPという圧縮形式を使うことが多いですが、それ以外にもさまざまな圧縮形式が存在します。

6. ブラウザキャッシュの最適化
キャッシュとは、Webページの情報をPC内に一時保存することで、読み込み速度を高速化する仕組みです。制作側が特別な設定をしなくても、Webブラウザは自動的にキャッシュを利用してWebページを表示しますが、制作側がキャッシュの利用期間をファイルの種類ごとに細かく設定することも可能です。

7. 表示するコンテンツの見直し
外部サービスが表示スピードのネックになっている場合もあります。例えばSNS投稿の埋め込みがネックになっていた場合、埋め込みをやめることで速度が大幅に改善するかもしれません。


ざっと挙げてみましたが、実際に制作会社がどの処理をするのかもケース・バイ・ケースです。作業難易度の割に効果が薄いと判断した場合は、最初から提案しないこともあるでしょう。また、ここに載せた内容以外の処理を提案されることもあると思います。

■ 既存サイトの高速化は大仕事

すでに存在するWebサイトを高速化する場合は、新規構築のWebサイトよりも話が複雑になるケースがあります。

構築してから年数が経っているサイトは、そもそもページ数が肥大化して調査に時間がかかる可能性があります。画像の最適化をするにも、ページ数が多ければその分作業に時間がかかります。また、細かなメンテナンスや拡張を繰り返し行なってきたWebサイトの場合、CSSやJavescriptの読み込みが複雑化していることもあります。すでに必要のないCSSやJavascriptを読み込んでいたり、あるいは不要だと思って外したら意外な場所で読み込まれていた、などというケースもあります。

加えて、新しい技術を取り入れるために、サーバやCMS(WordPressなど)のバージョンアップが必要になるケースもあります。サーバやCSMのバージョンアップは、思わぬところで不整合が出たり、今まで使えていたスクリプトやプラグインが動作しなくなるなどのトラブルが発生する可能性があります。非常に神経質にならざるを得ない作業なのです。

以上のような理由から、既存サイトの高速化は新規サイトの場合よりも手間がかかり、その工数が見積もりに反映されていきます。気軽に高速化の見積もりを依頼したら、まったく予想外の金額を提示された…という人もいるかもしれませんが、それにはやむを得ない理由があるのです。

Webサイトの速度改善は、単純なWebページ作成に比べコストがわかりにくいと感じるかもしれません。しかし冒頭に述べたとおり、表示速度はWebサイトの成果にも直結してきます。信頼できる制作会社と相談しながら、前向きに速度の改善を図っていくのがいいでしょう。

Text:Web Designing編集部 Illustration:高橋美紀